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脳梗塞の入院期間はどのくらい?退院後のリハビリが必要なケースは?

脳梗塞の痛みをこらえるシニア男性

脳梗塞は入院期間が長く、退院後にはリハビリが必要なケースもあります。一方で、最近の医療技術の進歩により死亡率は下がり、治療の成果も向上しています。

 

脳梗塞で入院すると、一般的にはどのくらいの期間、病院に入院することになるのでしょうか?また退院後リハビリが必要なケースはどのくらいでしょうか?

脳梗塞に関わらず、脳出血やくも膜下出血など、脳卒中全般の入院日数を詳しく紹介していきます。

医療保険を検討する際に三大疾病保障が必要かどうか迷っている方は、ぜひご一読ください。

目次


  1. 脳梗塞と脳出血の違いは血管の状態にある
  2. 脳血管疾患で亡くなる人は増えている?
  3. 脳卒中による入院期間は長くなる
  4. 脳血管疾患への生命保険による対策

脳梗塞と脳出血の違いは血管の状態にある

脳卒中とは

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など、脳の疾患は複数ありますが、それぞれの違いは何でしょうか?3つの病気を包括する脳卒中について見ていきましょう。

脳卒中に含まれるの3つの病名とは?

脳卒中とは脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の機能が阻害される病気です。脳卒中や心血管疾患(心臓と血管の病気)を合わせ、これらを循環器病と呼びます。
脳卒中は、3つの疾患の総称です。それぞれ以下のような違いがあります。

脳梗塞

脳の血管が詰まり、脳細胞に血液が十分に行き渡らなくなった状態。手足や顔の半身まひや言語障害、意識障害などの症状が現れます。

脳出血

高血圧などが原因で脳内の細かい血管が破れ、出血した状態。脳梗塞に比べ後遺症が残ることが多く、死亡率も高くなります。

くも膜下出血

脳の表面を走る血管のコブ(脳動脈瘤)が破れ、くも膜の内側の隙間に出血した状態。突然の頭痛や意識障害などの症状が出現し、脳卒中の中では死亡率が高くなります。

脳卒中は病名ではなく病態

ところで、脳卒中という言葉はよく耳にしますが、この名称の由来は何でしょうか?
一般社団法人脳神経学会の解説を引用すると、次のように説明されています。

”脳卒中の語源は、卒然として(急に)邪風に中るということです。急に手足が動かなくなり、倒れる状態を意味しており、脳の血管がつまったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血、くも膜下出血)して、脳の機能がおかされる病気の包括的名称です。"

脳卒中という言葉を聞いても、どこの血管が詰まっているのか、どこで出血しているのか、具体的な部位がわかりにくいのは、脳卒中が病態を表現した言葉だからです。

脳卒中の中で一番多いのは脳梗塞

それでは、ここまで説明してきた脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の患者数は、どの程度いるのでしょうか?
厚生労働省 患者調査 令和2年 「全国編 閲覧第4表(その1)」推計患者総数を元に脳血管疾患の患者数を集計すると次の通りです。

脳血管疾患の患者数

脳血管疾患は脳卒中を更に包括する上位カテゴリーです。その他の脳血管疾患には無症候性や血管性認知症、高血圧性脳症などが含まれます。
脳血管疾患のうちの91.8%を占める脳卒中だけでみると、脳梗塞が脳卒中の約70%を占めて最も多く、次いで脳出血が約23%、くも膜下出血が約7%といった内訳です。

脳血管疾患で亡くなる人は増えている?

日本人の死因の変化

日本人の死因はがんが第一位であり、その次に心疾患や脳血管疾患が上位を占めています。しかし近年、これらの死因には大きな変化が見られます。
1994年の死因の上位は悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患でした。しかし、2022年には脳血管疾患が減少し、老衰が増加しています。

超高齢社会の到来に伴い、医師が死亡診断書に記載する病名として「老衰」という言葉が受け入れられやすくなったこともあるでしょう。とはいえ、脳血管疾患が直接の死因として記録される割合は減少しています。

脳血管疾患の死亡者数の減少理由として、早期診断や治療法の進歩、高血圧防止の取り組みも挙げられます。
食塩の過剰摂取は高血圧の危険因子であり、減塩対策の成果も顕著です。厚生労働省や日本高血圧学会などの減塩キャンペーンにより、食塩の過剰摂取が脳血管疾患を誘発することが一般に知られるようになりました。
また、家庭血圧計の普及や優れた降圧薬の開発も進み、脳血管疾患の予防に役立っています。

脳卒中による入院期間は長くなる

脳のMRIを見る医師

先述した通り、脳血管疾患による死亡者数の減少から、脳血管疾患のリスクは低下したように思えるかもしれません。しかし、脳卒中患者の入院期間は、がんや心疾患よりも平均的に長いことが明らかとなっています。
具体的には、どの程度の入院期間を経て、退院後にどのような経過をたどるのでしょうか?

入院期間は100日を超えるケースも

厚生労働省による令和2年の患者調査によれば、脳卒中に関連する3つの疾患の入院期間は以下の通りです。

  • 脳梗塞:75.1日
  • 脳出血:105.7日
  • くも膜下出血:120日

がんの場合は疾患の部位によって異なりますが、入院期間は多くが10日から30日の範囲にあります。心不全の場合は約50日です。これらと比較しても、脳卒中の入院期間は長くなることがわかります。

日本農村医学会雑誌の67巻 4 号 492~499頁(2018.11)「脳梗塞入院患者の在院日数に関わる要因の実態調査」によると、退院後の適切なケア先が見つからない場合、病院での待機期間が増加し、入院期間が長くなる傾向があると記載されています。

脳卒中の約7割が脳梗塞であり、脳梗塞患者の多くが高齢者であることから、退院後の適切な生活環境の確保が難しく、病院での待機が長引いている状況が見えてきます。
また、脳梗塞の入院期間が長引く利用として、患者の生命を脅かす可能性が高い症状の重篤さと、合併症のリスクも挙げられます。例えば、脳手術後には、感染症や脳浮腫などの合併症が起こる可能性が少なくありません。

退院後に自宅へ戻るケースは64%

平成30年版 厚生労働白書『障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会』によれば、退院後の生活場所を見ると、64%が自宅を選択していますが、リハビリテーション病院などへの入所も多く見られます。

脳卒中患者の予後(生活場所)

リハビリテーション病院は、脳梗塞や脳出血などの後遺症で身体機能が著しく低下した患者を対象にした医療機関です。リハビリテーションを積極的に促し、日常生活動作の改善や寝たきり防止、在宅復帰などを行うことが目的です。
このため患者の状態や処方される薬の薬価などによっては、受け入れを断られるケースが少なくありません。

また、リハビリテーション病院では、比較的長期間の入院が必要なため、患者の入れ替わりが悪く、ベッドが満床の場合、新しい患者を受け入れることができず、受け入れを断らざるを得ないこともあります。
そのような場合、患者が自宅で家族による温かいサポートを受けることが望ましいでしょう。自宅でのリハビリや介護を行うことで、患者の心理的な安定や回復へのモチベーションが高まる場合もあるからです。

ただし、自宅での生活に支障をきたす場合には、患者が快適に安全に生活できるリフォーム工事が必要になります。例えば、立ち上がったり歩行したりする際に支えとなる手すりの設置や、バスルーム、トイレなどのバリアフリー化です。
介護を目的とした自宅のリフォームには、住宅改修助成を利用できます。介護認定を受けた方なら、要介護度に関わらず最大20万円の補助を受けられる制度です。

通常、自己負担は1割です。ただし、一定の所得水準を超える方は2割または3割になります。20万円を超える超過分については全額自己負担です。
超過費用は民間の介護保険でカバーすることで、経済的な介護負担は軽減できるでしょう。

予後のリハビリが重要な脳卒中

上記同様、平成30年版 厚生労働白書「障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会」をみると、脳卒中患者の予後として、即座に活動できる状態にならないことが示されています。

脳卒中患者の予後(mRS)

発症3か月後のmRSを見ると、mRSが2〜6の方が全体の48%です(770症例/1584症例)。
つまり、脳卒中患者の約5割の方が退院後に軽度の障害以上を抱えることになります。後遺症には、個人差がありますが、身体機能の障害や日常生活の制約が生じることが少なくありません。

この場合、退院後の機能回復には、通所リハビリや訪問リハビリの活用が重要になります。これらは要介護1〜5の認定を受けた方で、医師からリハビリが必要と判断された方なら利用できます。

通所リハビリには、高度なリハビリ装置が整備されていることが特徴です。専門職の指導を受けながら、安全で効率的なリハビリを行えます。他の利用者との交流が盛んなため、励まし合いや情報共有が行われ、モチベーションが高まることもあります。

一方、訪問リハビリは、リハビリ専門職が患者の自宅を訪問し、リハビリを提供するサービスです。日常生活に役立つ実践的なリハビリが受けられますが、病院や施設にあるような大型のリハビリ装置は利用できません。
このため、両サービスを組み合わせて利用することで、治療効果を最大限に高め、生活の質を向上できます。ケアマネージャーや主治医と協力して、最適なリハビリプランが策定可能です。

歩行訓練や関節可動域訓練などの機能訓練は、デイサービスでも受けられます。
デイサービスは、厚生労働省調査の「令和3年度 介護給付費等実態統計の概況」によると、在宅で利用する介護保険サービス(介護福祉用具貸与を除く)のなかで、最も多い約41%の人に利用されているサービスです。

デイサービスでは、安全な日常生活を送るための身体機能の改善を目指したプログラムが提供されます。とはいえ、脳梗塞や脳出血などの後遺症は運動障害だけではありません。記憶・嚥下・構音障害(呂律が回らない)など、様々な症状があります。デイサービスは、嚥下体操や口腔内ストレッチ、脳トレなど、「機能の向上」と「機能の低下予防」を目的としたプログラムも充実しています。

*mRSとはmodified Rankin Scaleの略であり、日本語版modified Ranking Scale(mRS)判定基準書で判定されます。脳出血や脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経疾患といった神経運動機能に異常を来す疾患の重症度を評価するためのスケールです。

脳血管疾患への生命保険による対策

リハビリを受ける男性

ここまでで、脳血管疾患の9割を占める脳卒中についてみてきました。
脳卒中が原因での死亡率は減少していますが、入院期間が長くなる、退院後のリハビリ期間の必要性などを考慮すると、経済的な負担が大きい疾患と言えます。

この疾患を回避することが最良ですが、高齢化に伴い罹患するリスクは高まります。
もし罹患した場合、健康保険制度や公的介護保険が頼りになりますが、民間の医療保険や介護保険もうまく活用できるとより安心です。

「病気が怖いから医療保険」というのは少し乱暴な考え方かもしれません。
最近の医療の進歩を踏まえて適切な保険に加入することは、無駄のない保険加入につながります。

将来の健康や病気に不安を感じている方は、専門家に相談して適切な保険加入を検討してみてはいかがでしょうか。
ソナミラではコンシェルジュがお金についての相談を無料で承っています。自分に合った医療保険がどれなのか悩んだ際は、一度相談予約をしてみてはいかがでしょうか。

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