マネー
読む目安3

iDeCoの対象が拡大!企業型DCとの違いも解説

iDeCoの対象が拡大

豊かな老後生活を送るために多くの人が活用している「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。2022年に大きな制度改正があり、企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入者もiDeCoへ加入できるようになりました。まだ加入していない人はこの機会に知識を深めておきましょう。

目次


  1. そもそもiDeCoと企業型DCの違いは?
  2. 2022年10月の制度改正によって加入対象が拡大!
  3. iDeCoとマッチング拠出、どちらを選ぶべき?

そもそもiDeCoと企業型DCの違いは?

iDeCoは20歳以上65歳未満の人が加入できる私的年金制度のことです。一方、企業型DCは企業が福利厚生の一環として導入する退職金制度のことで、iDeCoよりも多くの人が加入しています。iDeCoの加入者数は約278万人(2022年12月時点)であるのに対し、企業型DCの加入者数は約782万人(2022年3月末時点)です。

どちらも老齢基礎年金や老齢厚生年金に老後資金を上乗せする制度であることには変わりありません。一度収めた掛け金は原則として60歳までは引き出せず、受け取れる年金額は運用成果によって変動します。

ただし、iDeCoは個人が掛け金を拠出し、それぞれの個人が運用するのに対して、企業型DCでは掛け金を事業主が拠出し、運用自体は個人が行うといった違いがあります。事業主が毎月拠出する掛け金に、加入者自身が掛け金を上乗せして拠出する「マッチング拠出」があることも企業型DCの特徴です。なお、マッチング拠出ができるかは企業によって対応が異なります。

2022年10月の制度改正によって加入対象が拡大!

確定拠出年金法の一部が改正されたことにより、iDeCoは2022年にさまざまな制度改正が行われました。加入年齢の拡大や、受給開始時期の上限延長とならんで実施されたのが、企業型DC加入者のiDeCo加入要件の緩和です。

これまでも月額40,000円を上限として、企業型DCの加入者はiDeCoにも拠出可能でした。しかし、会社の規約で「iDeCoへ加入できる」と定められていない場合は、たとえ拠出可能枠が余っている場合でも加入できない仕組みになっていたのです。2022年10月からは会社規約の定めがなくても、企業型DCの加入者がiDeCoに加入できるようになりました。これにより、企業の拠出する掛け金が低かった人は、老後に向けてより多くのお金を積み立てられるようになっています。

ただし、掛け金は毎月の拠出限度額の範囲内に収めなければなりません。拠出限度額は以下の通りです。

 

企業型DCのみ

企業型DC以外の企業年金にも加入している場合

企業型DCの掛け金

55,000円以内

27,500円以内

iDeCoの掛け金

20,000円以内

12,000円以内

企業型DC+iDeCoの掛け金

55,000円以内

27,500円以内

出典:iDeCo公式サイト 2022年の制度改正について(国民年金基金連合会)

たとえば、企業型DCで事業主が拠出する掛け金が毎月40,000円だとすると、iDeCoの掛け金上限は毎月15,000円以下にする必要があります。また、掛け金を任意の月にまとめて拠出するのではなく、毎月拠出することも企業型DCとiDeCoを併用する要件の一つです。さらに、iDeCoに加入する場合は企業型DCのマッチング拠出は利用できなくなります。

iDeCoとマッチング拠出、どちらを選ぶべき?

今後より多くの老後資金を準備したい企業型DCの加入者は「iDeCoへの加入」と「マッチング拠出」のどちらか一つを選ばなければなりません。どちらを選んだほうがお得になるのかは、それぞれの個人が重視するポイントによって異なります。

より多くの掛け金を拠出することに重点を置くのであれば、勤務先の企業型DCで掛け金をいくら拠出しているのかを確認してみましょう。というのも、マッチング拠出の限度額は会社が拠出する掛け金以下にしなければならないからです。たとえば、事業主掛け金が10,000円の場合、マッチング拠出できる金額は10,000円までとなるので、20,000円まで拠出できるiDeCoを活用したほうがお得だといえます。一方、事業主掛け金が25,000円の場合、マッチング拠出できる金額は25,000円、iDeCoでは20,000万円が上限となるためマッチング拠出を利用したほうがよいでしょう。

口座管理の観点で見れば、iDeCoと企業型DCを併用すると利用する口座が2つになります。その場合、iDeCoの口座管理手数料は自己負担です。一方、マッチング拠出を利用する場合は運用する口座は一つだけ。口座管理手数料も事業主が負担することになるため、運用の手間やコストを考えると企業型DCに軍配が上がります。

運用商品のラインナップについては、企業が委託する金融機関によって取り扱う商品が異なるため、まずは勤務先の制度でどのような商品を運用できるのか確認してみましょう。もし自分の希望する商品がない場合は、iDeCoを利用するのも一つの手です。

マッチング拠出とiDeCoは途中で切り替えることもできます。たとえば、企業型DCの拠出額は勤続年数や役職によって決められているケースがほとんどです。そのため拠出額がアップし、マッチング拠出できる金額が増えたタイミングでiDeCoから資産を移すのもよいでしょう。

ただし、資産を移動する場合はいったんiDeCoの資産を現金化しなければなりません。手続きの最中に資産価値が変動するケースもあるため、定期預金のような価格変動の影響を受けにくい商品に換えてから移動させた方がよいでしょう。

法改正によって、企業型DCに加入している多くの人が、新たにiDeCoの加入対象となりました。ただし、iDeCoに加入すれば必ずお得になるとは限りません。マッチング拠出の有無や口座管理の手間、運用商品のラインナップなどさまざまなポイントをチェックした上で、うまく活用していきましょう。

▼参考資料

  • iDeCo公式サイト 2022年の制度改正について(国民年金基金連合会)
  • 確定拠出年金(企業型)の統計概況(令和4年3月末現在)(一般社団法人 生命保険協会)
  • iDeCo公式サイト iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について(国民年金基金連合会)

関連タグ

制度 投資 iDeCo

まもなく開催するセミナー

  • すべて