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適応障害で公的保険制度はどこまで役立つの?就業不能保険は支払われるの?

通勤中に体調不良を感じる女性

適応障害に悩まされている方は少なくありません。

厚生労働省の患者調査の概況(2020年)では、適応障害が分類される「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」の患者数は約124万人とされ、2008年の患者数約58.9万人から倍増しています。

 

適応障害になると日常生活を送るのが困難な状態になり、治療を受ける必要も出てくるでしょう。生活費や治療費の工面にも苦労するかもしれません。

適応障害になってしまった場合、どのような制度が利用できるのでしょうか。

本記事では適応障害と診断された場合に利用できる、公的保険制度や就業不能保険などについて解説します。

目次


  1. 適応障害の症状とは?うつ病との違い
  2. 適応障害と診断されたらどうする?
  3. 適応障害と診断され、休職した際に受取れるお金
  4. 適応障害と診断されたときに使える公的保険制度
  5. 就業不能保険とは
  6. 適応障害になってしまったら?
  7. 支援施設などの関連情報
  8. まとめ

適応障害の症状とは?うつ病との違い

ホームで座り込む女性

適応障害とは、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの「こころの不調」が現れる病気のことをいいます。
適応障害の症状としては、焦りや緊張、怒り、不安、抑うつ気分といった情動面の症状があります。また、適応障害をきっかけとして涙もろくなって泣く、パニックを起こす、わめくなど、行動面に問題が生じるケースもあります。

適応障害は精神疾患の一種であり、原因がはっきりしているケースが多いのが特徴です。例えば、転校や転職など環境の急激な変化によって適応障害が引き起こされたりします。

一方、多くの人が一度は聞いたことがある「うつ病」は「生きるエネルギーの枯渇」とも言われ、発病のきっかけが明らかでないケースが多いようです。
うつ病と適応障害は似た感じを受ける人がいるかもしれませんが、全く異なる病気です。それぞれ適切なアプローチで治療する必要があります。

適応障害であっても、うつ病であっても、それらの症状が疑われる場合はすぐに専門医の診断を受けましょう。

適応障害と診断されたらどうする?

説明する医師

適応障害と診断された場合、治療期間が長期にわたるケースもあります。仕事をしている人は、すぐに次の行動を取ることをおすすめします。

  • 会社の制度を確認する
  • 医師の診断書をもらう
  • 上司へ報告する
  • 人事部門へ相談する

会社の制度を確認する

適応障害になってしまった場合、まず会社に利用できる制度が整っているかを調べましょう。休職制度が用意されている会社であれば、適応障害の治療期間中、会社を休むことができます。

休職できる期間や、休職中の処遇は会社によって異なるため、注意が必要です。また、業務上の理由から適応障害になったと認められれば、休業(補償)等給付を受けられるケースもありますが、実際は適応障害で給付が受けられることはまれです。
そして、原則、休職制度の利用中に賃金の支払いはありません。なぜなら、労務提供がなければ、会社に賃金の支払い義務が発生しないためです。

ただし、休職制度について就業規則に特段の定めを置いている会社の場合、適応障害で休職中の期間も、賃金の支払いを受けられるケースもあります。事前に確認をしておきましょう。
具体的には、就業規則の中に、休職期間中の給与やボーナスの支給について言及されている箇所を確認します。就業規則において、休職中に給与が支給されると記載されている場合は、会社側に支払いの義務が生じます。

医師から診断書をもらう

適応障害を理由に休職したい場合は、医師から診断書をもらう必要があります。
診断書には、必要な休職の期間が記載されます。一般的には1~2か月の期間が記載されるケースが多いようです。

上司へ報告する

医師から診断書をもらったら、上司に適応障害について報告しましょう。その際は、診断書を渡して伝えます。
しかしながら、上司との人間関係や業務などが原因で適応障害になった場合は、直接伝えるのが困難な場合もあると思います。

その場合は、メールや手紙で伝えましょう。もしくは、人事労務担当に伝えることで、上司に適応障害の事実を知らせないようにすることも可能です。
上司に報告した結果として、休職ではなく、業務量の調整や、職場環境の調整、業務内容の変更などを行ってもらい、働き続けられるケースもあります。環境を変えても働き続けることが困難な場合は休職することになります。

人事部門へ相談する

適応障害と診断された場合は、人事部門に相談しましょう。診断書を提出すれば、別部門への異動が認められるケースもあります。また、休職のサポートを受けることも可能です。
人事部門から異動や休職サポートなどの提案を受けることで、休職することへのハードルが下がるでしょう。将来的に会社に復職する際にも人事部門がサポートしてくれるはずです。

適応障害と診断され、休職した際に受取れるお金

お財布を持つ女性

ここでは、適応障害と診断された後、会社を休職した際に受け取ることができるお金について説明していきます。

年次有給休暇中の給与

多くの会社では、休職中に給与は支給されませんが、年次有給休暇を取得する場合は、給与が支給されます。
このような理由から、休職に至る前に、会社側がまずは年次有給休暇の取得を促すケースが多くあります。特に年次有給休暇の残日数が多い場合は、年次有給休暇の取得を優先させるケースが多いようです。

また、症状が出始めの初期段階では、休職するかどうかの判断に迷うケースも出てきます。まずは年次有給休暇を取得してしばらく休み、その間に適応障害についての今後の治療方針を決めるのが効率的です。

会社を休職するという判断は、会社員にとって大きなハードルとなります。ですから、いきなり休職するのではなく、まずは年次有給休暇を取得し、その間の給与を受け取りながら、さらに休職するかどうかを決めるといったように、段階的に判断することが望ましいです。

傷病休暇中の給与

傷病休暇とは、病気やケガなどにより就業できない従業員に対して、就業を免除する制度です。就業が免除される期間は3か月程度の場合もあれば、1~2年と長い期間を設定しているケースもあり、会社によってさまざまです。
傷病休暇は就業規則によって規定されています。そのため、働いている会社の傷病休暇の詳細については、就業規則を確認してみましょう。

多くの会社は、勤続年数に応じて傷病休暇を取得できる期間に差を設けています。また、傷病休暇を取得するための最低勤続期間を設定している場合もあります。
療養に必要な費用や休業補償を会社が負担する義務はありません。したがって、傷病休暇中に給与が支払われる会社はほとんどないといえるでしょう。

傷病休暇を取得する場合は、会社に傷病休暇取得の申し出をしなければいけません。通常は診断書の提出が求められ、会社は申し出についての医学的根拠を集めます。また、休職後に職場復帰する場合は、職場復帰の申し出を行い、会社がさまざまな調査をした上で判断を下します。

適応障害と診断されたときに使える公的保険制度

傷病手当金の申請書

適応障害と診断された場合は、次の2種類の公的保険制度を利用できます。

  • 傷病手当金
  • 障害厚生年金

それぞれの制度について詳しく紹介します。

傷病手当金

傷病手当金とは、業務外での病気やケガを理由に会社を休んだ場合に受け取れる給付金です。
健康保険の被保険者が対象ですので、会社員であれば誰でも支給を受ける権利があります。しかし、自営業者は国民健康保険の加入者となっているため給付を受けられません。

申請の要件は次の4つです。

  1. 業務外で発生した病気、ケガであること
  2. 仕事ができる状態ではないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休んでいる期間中給与の支払いがないこと

傷病手当金の支給額は標準報酬月額の3分の2とされています。標準報酬月額とは、被保険者の毎月の報酬の月額を区分して等級を定めたものです。毎月の報酬には、基本給に加え各種手当を含みます。
したがって、傷病手当金は、毎月の給与総額の3分の2程度の給付金を受け取れるものだと理解していても大きな違いはないでしょう。

休んでいる期間、会社から傷病手当金以外のお金を支給されている場合は、傷病手当金は支給されません(たとえば、すでに障害厚生年金を受け取っている場合や、会社から休業補償保険を受け取っている場合)。

障害厚生年金

障害厚生年金とは、病気やケガが原因で仕事や生活が制限されるようになった時に支給される年金です。
現役世代も受け取ることができ、障害の状態に応じて1級から3級のいずれかに区分されます。

1級:おおむね入退院を繰り返す程度の障害
2級:日常生活に支障が出る程度の障害
3級:労働するのに制限が出る程度の障害

しかしながら、適応障害は障害厚生年金の対象ではありません。適応障害は医学的には神経症に分類され、障害厚生年金の認定対象にならないからです。また、発病から6か月症状が良くならない場合でないと、障害認定はされません。

ただし、精神疾患の病態を示す場合には、適応障害でも障害厚生年金を受け取れるケースがあるとされています。この場合は、医師が「精神病の病態を示している」と診断し、診断書にその旨を記載されることが条件です。支払われるケースは多くありませんが、諦めずに申請してみてもよいのではないでしょうか。

傷病手当金と障害厚生年金は同時には受け取れませんので、ご注意ください。

就業不能保険とは

就業不能保険と記載された積み木

適応障害と診断された時に役立つのが民間の就業不能保険です。そこで、就業不能保険の特徴について紹介します。

就業不能保険の特徴と目的

就業不能保険とは、病気やケガの治療や療養により長期間働けない状態になったときに備える保険です。就業不能保険に加入していれば働けない期間、毎月就業不能給付金を受け取ることができ、収入の減少に備えられます。
就業不能保険は民間保険なので、それぞれの保険商品によって保障内容に大きな違いがある点に注意が必要です。就労不能の判定基準は保険商品によって異なり、中には適応障害が保障対象に含まれていない商品もあります。

これから就業不能保険に加入する場合は、適応障害が対象となるかを確認したほうが良いでしょう。例えば、適応障害の状態が30日間継続したときに給付金を受け取れる商品があります。
また、適応障害による自宅療養で保障対象となるのは医師から指示を受けた場合のみです。自己判断で自宅療養をしたとしても、就業不能保険の対象とはならないため注意しましょう。

就業不能保険のニーズが高い人

就業不能保険に加入するニーズが高い人は以下の通りです。

  • フリーランス・自営業者
  • 十分な資産がない人
  • 住宅ローンを返済中の人

フリーランス・自営業者は厚生年金ではなく国民年金加入者です。また、有給休暇等の福利厚生も会社員よりも少ないのが現状です。
そのため、適応障害で働けないときに受け取れる保障は最低限のものとなってしまいます。フリーランス・自営業者は、減収したときに備えて就業不能保険に加入しておいた方が安心感を持てるのではないでしょうか。

また、十分な資産がない人も就業不能保険の検討をおすすめします。適応障害で長期間働けなくなると、収入が大きく減少することになります。この収入減少に備えるために、就業不能保険が役立つ可能性があります。
さらに、住宅ローンを返済中の人も就業不能保険は検討する価値があります。収入が減少することで、住宅ローンを支払えなくなり、住宅を手放さなくてはいけない事態を避けられるかもしれません。

適応障害になってしまったら?

悩みを抱える女性

適応障害になった場合に意識しておきたいことを紹介します。

気分に異変を感じたら

憂うつや落ち込みなどの状態が続いたり、日常生活や仕事に支障が出てきたりした時は、すぐに医療機関を受診しましょう。適応障害をはじめ、何らかの精神疾患に陥っている可能性があります。
何らかのきっかけがあって以下の症状が頻繁に続く場合は、適応障害の疑いがあるため注意しましょう。

  • 不安感がある
  • イライラする
  • 落ち込みやすい
  • 眠れない
  • 頭痛がする
  • 食欲がない

上記以外にも動悸やめまいがする人もいます。おかしいなと思ったら心療内科や精神科を受診しましょう。

休職期間中にすべきこと

適応障害で休職している間は、定期的に医師やカウンセラーと面談しましょう。
面談することで現在の心の状態を確認でき、アドバイスをもらうことができます。診断や治療に納得できない場合は、別の病院でセカンドオピニオンを受けるのも1つの選択肢です。

休職期間中は休養することを最優先にしましょう。早く治そうと焦ったり、新しいことに挑戦したりすること避け、まずは心身をリラックスさせて回復に努めましょう。
あわせて、規則正しい生活を心がけることも大切です。しっかりと睡眠時間を確保し、バランスの良い食事を摂りましょう。最低限の運動をすることも意識してください。

支援施設などの関連情報

病院施設の外観

適応障害について会社に相談しづらいときには、以下の場所を利用することをおすすめします。

  • 精神保健福祉センター
  • 保健所・保健センター
  • 病院・診療所の精神科・心療内科

精神保健福祉センターは各都道府県に設置が義務づけられている機関で、精神保健福祉相談を受けることを目的としています。
こころの病を持つ方の社会復帰を目指すための指導や援助を行っているのが特徴です。これから何をすれば良いのか、どの医療機関を受診すれば良いのか等の相談に乗ってくれるでしょう。

各自治体に設置されている保健所・保健センターも適応障害の相談に対応してくれます。保健師が休職中使える制度や施設などを紹介してくれたり、こころの相談にのってくれたりします。また、医療機関を受診するべきなのか等助言してくれるでしょう。

自身の心の状態に少しでも違和感があった場合は、病院・診療所の精神科・心療内科を受診することをおすすめします。
適応障害であるかどうかの診断を行い、今後どうするべきか提案してくれるでしょう。

まとめ

手に持った花

適応障害は誰もがなりうる病気です。特に壮年期に適応障害になる患者の数は多く、治療には長い期間がかかる傾向にあります。
前述の通り、会社員であれば年次有給休暇や傷病休暇を活用し、働けない期間も給与を受取ることは可能です。しかし、フリーランスや自営業者の場合や、会社員でも長期間働けなくなってしまった場合は、公的保険制度だけでは給与の減少を補うことは難しいかもしれません。

このような事態に備えて、民間の就業不能保険に加入しておくことも選択肢の一つに入れておいた方が良いかもしれません。
どの保険に加入したら良いか迷う場合は、ソナミラのコンシェルジュに相談してみてください。

▼参考
厚生労働省の患者調査の概況(2020年)
令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

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