健康診断の費用は会社負担?基本検査項目や追加検査項目の費用ついて解説します
12月になると、会社から催促を受けて健康診断や人間ドックをかけこみ受診する、そんなことはありませんか?
労働安全衛生法で定められた健康診断の費用は基本的に会社負担ですが、補助額を超えた場合や、追加検査を受ける場合は自己負担となります。
日々の健康管理に活かすためにも、健康診断の目的と検査項目、健康診断にかかる費用について理解しておきましょう。
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健康診断の4つの目的
企業の雇用管理のひとつに社員の健康管理があります。
社員の健康を維持するために常時使用する社員に対しては「労働安全衛生規則44条」のルールに従って、医師による定期健康診断を行うことが企業に義務付けられています。
健康診断を行う目的は、以下の4つが挙げられます。
- 早期発見と予防
- 健康管理
- 疾患リスクと評価
- 健康情報の提供
この4つの目的について具体的に解説します。
目的1.早期発見と予防
日本人の死因は、がん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病が多くなっています。
健康診断の最も基本的な目的は、疾患に至るリスクファクターを早期に発見し、予防や治療に繋げることです。自覚症状がない方でも健康診断を定期的に受けることでリスクファクターを早期発見できれば、病気に罹るリスクを軽減することができます。
また、生活習慣を見直すことで、将来的な生活習慣病を予防することにもつながります。
目的2.健康管理
日頃、忙しくて健康を意識できていない方でも、健康診断を受けることで、自分の身体の状態について考える時間を持つことができます。
健康診断によって何か指摘があった場合は、生活習慣を見直すきっかけとなり、食事の改善や運動不足の解消に繋げることができるでしょう。
このように、健康診断はいったん立ち止まって健康状態を見直す契機ともなります。疾患の兆候を見つけることができれば、様々な予防ができます。
自力で出来る予防法としては、食生活、運動、睡眠の見直しなどがあります。
目的3.疾患のリスク評価
血液検査などを通じて、糖尿病や高血圧症などに罹患するリスクを可視化し、今後の生活習慣の改善や医療的なアドバイスを受けることが可能になります。
健康診断の結果は、体の異常のレベルに応じて判定区分が設けられています。
- A:異常なし(今回の検査では特に異常がない)
- B:軽度異常(今回の検査では軽度の異常が見られるが特に問題はない)
- C:要再検査・生活改善(疾患リスクがあり生活改善と再検査が必要)
- D:要精密検査・治療(病院で精密検査が必要)
- E:治療中(現在、医師の診断による治療中)
※日本人間ドック学会の判定区分による
健康診断で再検査や精密検査が必要と判定された場合は、必ず医師に相談して適切な時期に再検査や精密検査を受けるようにしましょう。また、軽度な異常のみと判定された方も生活習慣を見直して1年以内に再度健康診断を受けるようにしてください。
ただし、何らかの不調を自覚している場合は異常なしや軽度な異常のみと判定されたとしても放置せずに医療機関を受診しましょう。
目的4.健康情報の提供
生活習慣病に罹患するリスクが高いと診断された場合は、健康診断後に医師や保健師による保健指導・健康相談を受けることができます。健診診断の結果を元に、それぞれの健康状態に合わせたアドバイスがあります。
特に生活習慣病となるリスクが高い40~74歳までの方を対象に「特定保健指導」が行われています。「腹囲 男性 85cm以上/ 女性 90cm以上」または「BMI 25以上」の方に、生活を改善するための計画を立てて目標達成までのプロセスをサポートしています。
特に健康診断で血糖、脂質、血圧の数値が一定以上だった方は、日常生活を分析して目標摂取カロリーなどの具体的な設定を行い、数か月にわたって継続的な指導を行う「積極的支援」の対象となります。
健康診断の費用
一般的な健康診断の費用は、一人当たり10,000円前後です。ただし、診断の種類や追加健診、医療機関の選択、医療保険の適用などによって費用は変わってきます。
会社員の場合、健康診断の費用は基本的に会社負担となりますが、再検査や精密検査については自己負担となることが多いようです(健康保険の適用はあります)。
生活習慣病予防健診の自己負担額は、以下の表の通りです。
診断の種類
健康診断は大きく2つ「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。
費用負担について、基本的には会社負担となりますが、人間ドックやオプション検査をした場合は、自己負担になります。
診断内容
健康診断は、検査の内容によって費用が異なります。検査項目が多くなると費用はその分高くなります。実施が義務化されているのは11項目の検査です。
それ以外の検査を追加すると費用負担が増えます。
医療機関の種類
病院、クリニック、健診センターなど、施設の規模や設備によって費用負担は異なります。
企業が定期健康診断用に提携している医療機関を利用する場合と、健康診断を受ける対象者が任意で最寄りの医療機関で行う場合のいずれかによっても費用が変わります。
健康保険の適用
健康診断は、治療を目的としていないため、健康保険の適用外となります。健康診断の結果、異常が見つかった場合の精密検査費用や見つかった病気に対する治療費は健康保険の適用になります。
健康診断の検査項目
健康診断の必須項目は、「労働安全衛生規則第43条、44条」によって規定されている以下の11項目です。
健康診断には「雇入時健康診断」と「定期健康診断」があります。
雇入時健康診断では「4.胸部エックス線検査」となっていて、定期健康診断では「4.胸部エックス線検査および喀痰検査」と検査項目の違いがあります。
【健康診断の検査11項目】
- 既往歴および業務歴の調査
- 自覚症状および他覚症状の有無の検査
- 身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
- 胸部エックス線検査および喀痰検査
- 血圧の測定
- 貧血検査(血色素量及び赤血球数)
- 肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
- 血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- 血糖検査
- 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
- 心電図検査
それぞれの検査結果から、一般的に疑われる疾患例をご紹介します。
あくまで一般例ですので、ご自身の検査結果に合あったアドバイスは、医師や保健師などから受けるようにしてください。
血圧が高いことから疑われる疾患例
高血圧は自覚症状がほとんどありません。しかし、放置していると動脈硬化を引き起こし、虚血性心疾患や脳血管疾患など命に関わる病気のリスクを高めます。また、心臓の機能が低下して動悸、息切れ、手足のむくみ等の症状が生じることもあります。
【高血圧によってなりやすい病気】
脳血管障害、心臓病、腎臓病、動脈硬化など
高血圧によって別の病気が引き起こされた場合は、新たな検査が必要となります。
検査の内容は疑われる病気によって異なりますが、脳血管疾患が疑われた場合には以下のような画像検査が必要です。
- MRI検査:8,000~10,000円(3割負担)
- CT検査:6,000~10,000円(3割負担)
また、虚血性心疾患が疑われる場合には心臓カテーテル検査を行うケースが多く、入院が必要となります。
- 心臓カテーテル検査:30,000円(3割負担 ※入院費除く)
尿酸値が高いことから疑われる疾患例
尿酸値が高いと痛風のリスクが高まります。進行するまでは自覚症状はありませんが、足の親指などの関節内に尿酸の結晶が溜まってくると関節に炎症や激痛が起きます。また、尿酸値が高い状態が続くと腎臓にも尿酸の結石ができるようになり、腎機能の低下を引き起こすケースも少なくありません。
【尿酸値が高いことでなりやすい病気】
高尿酸血症、痛風・腎結石など
尿酸値が高いことによる病気を調べるためには、尿酸高値の再検査・精密検査を追加で行います。
- 尿検査:1,000〜2,000円程度(3割負担)
- 血液検査:2,500~3,000円程度(3割負担)
さらに、精密検査として超音波検査やX線検査、CT検査などの画像検査を行う場合もあります。画像検査は3割負担で1,000~10,000円程度が必要です。
眼圧値が高いことから疑われる疾患例
眼圧が高いと緑内障の罹患リスクが高くなります。顕著な初期症状はありませんが、人によっては視力の低下や、かすみが現れる場合もあります。
【眼圧値が高いことによってなりやすい病気】
緑内障
眼圧値が高いことによる病気を調べるためには、追加検査を行います。
- 緑内障検査(隅角検査、眼底検査、視野検査、OTC検査など):2000円~3000円程度(3割負担)
健康診断で病気を早期発見しましょう
健康診断は、病気の早期発見や健康管理のための重要な検査です。
会社は、社員の健康管理のために費用を負担して定期的に健康診断を受けさせる義務を負っています。
健康診断を受ける社員の方は、年に1回の健康診断を受診して、数値に異常が見られた場合は、早めに再検査や精密検査を受けましょう。
ウォーレン・バフェットの言葉
世界三大投資家として知られる、ウォーレン・バフェット氏は次のような発言をしています。
「あなたが車を一台持っていて、一生その車にしか乗れないとしよう。当然あなたはその車を大切に扱うだろう。」
この車を指すのはまさに自分自身の体です。
体をメンテナンスし、100年という長い人生に備えるためにいち早く治療することを心がけましょう。
早期発見は健康診断で!治療費への備えは医療保険で!
健康維持のために重要なことは早期発見、早期対応、早期治療です。
今の健康状態に不安が無い場合も、将来に備えて今から医療保険に加入しておくことも併せて検討してみてはいかがでしょうか。
どんな医療保険に加入したらいいか悩む場合は、ソナミラのコンシェルジュの無料相談を活用してみてください。
▼参考
全国健康保険協会
全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)
政府広報オンライン「生活習慣病の予防と早期発見のために」
生活習慣病の予防と早期発見のために がん検診&特定健診・特定保健指導の受診を! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)