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社会課題も解決する「空き家バンク」とは? 仕組み、使い方を解説

社会課題も解決する「空き家バンク」とは? 仕組み、使い方を解説

コロナ禍でリモートワークが浸透し、地方移住をする人、考える人も見られるようになりました。地方移住を決断した人が、地方で物件を探す際の選択肢の1つとして空き家バンクという制度があることをご存じでしょうか。今回は、空き家バンクが生まれた背景や仕組み、使い方について紹介します。

目次


  1. 空き家バンクとは
  2. 空き家バンクの使い方
  3. 空き家バンクのメリット・デメリット
  4. 全国にはどんな空き家がある?
  5. 地方での物件探しなら空き家バンクもあり

空き家バンクとは

空き家バンクとは

空き家バンクとは、地域の空き家情報を自治体のホームページで紹介し、空き家の所有者と利用希望者をマッチングする制度です。なぜ空き家バンクが生まれたのか、その背景や仕組みについて紹介します。

空き家バンクが生まれた背景

空き家バンクが生まれた背景には、全国的に空き家が増加し、空き家の有効活用が社会的な課題として広く認識されるようになったことがあります。2015(平成27)年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、所有者が空き家を適切に管理することが定められました。

それに伴い空き家バンクを設置する自治体がふえたものの、自治体ごとに個別に運営されており、「わかりづらい」「検索が難しい」といった新たな課題が出てきました。

2017(平成29)年からは、国土交通省から選定されたLIFULLとアットホームという2つの企業が「全国版空き家バンク」の運用を始めています。国土交通省によれば、現在は930の自治体が参加しており、約12,900件の物件が成約されています(2022年12月現在)。

空き家バンクの仕組み

空き家バンクは、空き家の所有者が物件を登録し、空き家の購入・賃借を検討している利用者が、空き家バンクで見つけた条件に合う物件を申し込む仕組みです。申し込み後の手続きは自治体によって異なります。

自治体と協定を結んでいる宅地建物取引業者(不動産業者)が仲介したり、当事者間で直接交渉することもありますが、自治体は交渉・契約には関与しません。

民間の不動産会社に直接依頼する場合と似ている部分もありますが、目的に違いがあります。前者が営利目的であるのに対して、空き家バンクはあくまでも空き家の有効活用と地域の活性化を目的としています。

そのため、不動産会社を介さずに所有者と直接交渉・契約する場合であれば、一般的な不動産取引で発生する仲介手数料はかかりません。

【空き家バンク制度のイメージ】

 【空き家バンク制度のイメージ】

空き家バンクの使い方

空き家バンクの使い方

空き家バンクを利用するには、どのような手続きが必要なのでしょうか。所有者側と利用者側に分けて、使い方の流れを解説します。

所有者側の使い方

空き家の所有者は、次のような流れで利用します。

  1. 自治体に空き家の登録を申請する
  2. 自治体が審査を行う
  3. 自治体のホームページで空き家情報が公開される
  4. 空き家の利用希望者からコンタクトがある
  5. 条件の交渉・契約を行う

空き家の登録を申請する際は、空き家バンク登録申込書・空き家バンク登録カードなどの自治体所定の書式、土地建物の登記事項証明書、所有者の本人確認資料などが必要です。

また、登録できない物件の条件も定められています。一般的には法令に違反している物件や、所有者が暴力団などの反社会的勢力関係者である物件は登録できません。

必要書類や登録できない物件は自治体ごとに定められているので、各自治体に確認しましょう。

利用者側の使い方

物件を探している利用者は、次のような流れで利用します。

  1. 利用したい地域の空き家バンクの物件情報を検索する
  2. 条件に合う物件が見つかったら、利用登録を申請する
  3. 自治体が審査を行う
  4. 現地確認を行う
  5. 条件の交渉・契約を行う

利用したい地域が定まっていない場合は、国土交通省の空き家・空き地バンク総合情報ページが便利です。空き家の情報を紹介するウェブサイトのリンクが複数掲載されており、さまざまな地域の空き家が検索できます。

なお、利用者として登録できる条件が自治体ごとに異なるため、事前に確認する必要があります。自治体によっては、都心部からの移住を促すことを目的に、県外や市区町村外からの移住目的の利用者に限られている場合があります。

空き家バンクのメリット・デメリット

空き家バンクのメリット・デメリット

空き家バンクを利用する際には、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。それぞれ確認していきます。

空き家バンクのメリット

空き家バンクのメリットとして、おもに以下があげられます。

  • 無料で使える
  • 補助金制度が利用できる
  • 地域活性化に貢献できる

自治体を通じて無料でマッチングできる点は、所有者・利用者双方にとってメリットが大きいと言えるでしょう。不動産業者に依頼して物件を売りたい場合は、所有者に仲介手数料などの負担が発生するため、空き家バンクの利用は、とくに所有者にとっては大きなメリットがあります。

また、補助金制度を設けた自治体もあります。たとえば千葉県南房総市では、空き家バンクを通じて賃貸借契約が成立した所有者が空き家を改修する場合、200万円を上限として改修費用の3分の2の補助金が支給されます。

改修が必要な物件の所有者にとって、空き家バンクを利用する自治体に補助金制度があると、改修というハードルが少し低くなります。これは大きなメリットと言えるでしょう。

空き家バンクのデメリット

空き家バンクのデメリットは、おもに以下の通りです。

  • マッチングするまでに時間がかかる
  • 掲載されている物件の数が少ない
  • 当事者間で直接交渉する場合もある
  • 空き家バンクを設置していない自治体もある

空き家バンクは積極的に広告を出さないため、不動産会社が仲介する場合に比べマッチングに時間がかかり、掲載されている物件の数が少ないというデメリットがあります。

また、宅地建物取引業者と提携していない自治体では、当事者間で直接交渉する必要があります。万が一トラブルに発展したとしても、国や自治体は関与しないため、自己責任で交渉を進めなければなりません。

なお、移住を希望する自治体に空き家バンクがないケースも考えられます。その場合は、希望に合った物件情報を所有する不動産会社を自分自身で探すなど、別の方法を検討する必要があるでしょう。

全国にはどんな空き家がある?

全国にはどんな空き家がある?

最後に全国の空き家の事例を複数紹介します。移住の目的によって空き家を検索する際に重視するポイントも異なるため、ぜひ参考にしてください。

テレワーク向け物件

コロナ禍でテレワークが浸透したことに伴い、現在の会社に在籍したまま地方へ移住するケースも見られるになりました。そんな人におすすめのテレワーク向け物件は、インターネット環境が整っている、部屋数が多いなどの特徴があります。

テレワークには安定したインターネット環境が必須です。また、部屋数が多ければ、自身のライフスタイルに合わせて環境を整えることができます。テレワーク向け物件は、仕事とプライベートをしっかり分けて、快適な新生活を手助けしてくれる物件と言えます。

農地付き物件

地方に移住して農業を始めたいと考えている人に向けた農地付き物件もあります。農地付き物件は、自宅と農地を合わせて購入できるため、農業で新生活を始めたいと考えている人が、最適な環境を手に入れることができます。

耕作目的で農地を売買・賃貸するには、農業委員会の許可と農業を長く続ける意思が必要です。個人の場合は以下の条件をすべて満たさなければなりません。

  • 農地すべてを効率的に活用する
  • 必要な農作業に常時従事する
  • 一定の面積を経営する
  • 周辺の農地利用に支障がない

なお、空き家と一緒に農地を取得する際、要件の面積を引き下げている自治体もあります。希望に合った物件が見つかった段階で、各自治体の農業委員会に問い合わせてみましょう。

店舗付き物件

空き家バンクには、店舗付き物件も掲載されています。地方に移住して開業を検討している人にとって、空き家バンクの店舗付き物件も選択肢の1つとして考えることができます。自宅と店舗が併設されているため、別途店舗として利用する物件を探す必要がありません。これは大きなメリットと言えるでしょう。

なお、業種によっては都市計画法で制限がかけられている場合や、各種許可が必要な場合があるため注意が必要です。

地方での物件探しなら空き家バンクもあり

地方での物件探しなら空き家バンクもあり

空き家バンクは空き家の発生や増加を解消するために生まれた制度です。空き家の有効活用と地域の活性化を目的としているため、無料で利用できる点が特徴です。

交渉・契約の進め方は自治体によって異なり、不動産会社が仲介する場合もあれば、所有者と利用希望者が直接交渉する場合もあります。不動産会社が仲介する際は、仲介手数料が発生します。

空き家バンクを利用するには、所有者側と利用者側でそれぞれ手続きが必要です。自治体によって手続き方法やルールが異なるため、あらかじめ該当する自治体のホームページで確認しましょう。

空き家バンクを通じて物件をうまくマッチングできれば、空き家の所有者と利用者の双方にメリットがあります。地方への移住を検討する際は、空き家バンクと不動産会社の特徴を比較し、自身が納得したうえで利用するようにしましょう。

▼参考資料

  • 空き家等対策の推進に関する特別措置法平成二十六年法律第百二十七号)
  • 全国版空き家・空き地バンクについて(国土交通省)
  • 吉川市空き家バンク(埼玉県吉川市)
  • 空き家・空き地バンク総合情報ページ(国土交通省)
  • 令和4年度伊賀市移住促進空き家取得費補助金のご案内(三重県伊賀市)
  • 全国版空き家・空き地バンク Q&A(消費者向け)(国土交通省)
  • 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)
  • 農地の売買・貸借・相続に関する制度について(農林水産省)

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