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電気代はどう節約する?方法や契約の見直しについて解説

電気代

電気代の高騰で頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。電気は日常生活で欠かすことができませんが、使い方を少し工夫するだけで節電につながることもあります。本記事ではすぐに実践できる手軽な節電方法から、今の電気契約の見直しなど抜本的な方法まで幅広くご紹介します。今より少しでも電気代を節約したい方は参考にしてみてください。

目次


  1. 電気代の平均は?
  2. 電気代の節約方法
  3. 家電製品の使い方を見直す
  4. 電力会社の契約プランを見直す
  5. 電力会社を新電力へ切り替える
  6. 家電製品を買い替える
  7. 手軽にできる節電方法から試してみましょう

電気代の平均は?

一人暮らしと比べ、結婚や親族との同居などで世帯人数がふえて生活スタイルが変化すると、電気を使用する時間や使い方も変わるため電気代は高くなる傾向があります。電気代の平均額を知ることで、自分の家庭の電気代が高いのか安いのかを判断することができます。

また、最近は原油や液化天然ガス、石炭など発電資源の高騰や円安の影響により電気代の高騰が続いています。総務省統計局の家計調査のデータをもとに、2020年と2022年の電気代の平均額をご紹介します。2020年と2022年を比べて、電気代がどの程度高騰しているのかも併せて確認してみましょう。



2020年

2022年

1か月

1年間

1か月

1年間

単身世帯

5,791円

69,498円

6,808円

81,695円

2人世帯

9,515円

114,180円

11,307円

135,684円

3人世帯

10,932円

131,184円

13,157円

157,884円

4人世帯

11,788円

141,456円

13,948円

167,376円

出典:総務省統計局「家計調査 家計収支編」、一部データは同資料から筆者算出

このように、世帯人数が多いと電気代も高い傾向がありますが、特に単身世帯と2人世帯の差が大きいことがわかります。単身の方が結婚や親族との同居などをする場合には、世帯としては電気代がふえることも念頭に入れておきましょう。

また、2020年 と2022年を比べると、どの人数の世帯においても、1か月あたり1,000円以上、1年間で1万円以上負担がふえています。

電気代の節約方法

最近の電気代の高騰や、自分の電気代と平均額との差に驚いた方もいるかもしれません。電気代は今後さらなる値上げが続く可能性もあります。家計の負担を減らすためにできる電気代の節約方法をみていきましょう。

家電製品の使い方を見直す

どの家電製品がどのくらいの電力を消費し、どれくらいの電気代がかかっているのかを把握している人は少ないのではないでしょうか。電気使用量が大きい家電製品を中心に節電を心がければ、電気代を効果的に節約できます。手軽に始められる節電方法について、資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」や電力会社・メーカーなどのサイトから解説します。

エアコンの使い方を見直す

エアコンは電気消費量の多い家電の一つです。使い方を工夫することで電気料金の節約につながります。

・扇風機やサーキュレーターを併用する

夏の暑い日はもちろん、冬の暖房時にも扇風機やサーキュレーターの併用は効果的です。暖かい空気は部屋の上部にたまるため、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させることで効率的に部屋を暖めることができます。

・カーテンを工夫する

夏の暑い日はレースのカーテンや、すだれなどで日差しをカットし、外出時は昼間でもカーテンを閉めておくと効果的です。冬は床まで届く長さの厚手のカーテンを使用すると部屋が暖まりやすくなります。

・室外機付近に物を置かない

室外機の吹き出し口に物を置くと、冷暖房の効果が下がってしまうため室外機のまわりは、きれいにしましょう。

・設定温度と稼働時間を見直す

エアコンの設定温度や稼働時間も手軽に見直せるポイントです。

例えば、設定温度を1℃変えた場合、稼働時間を1時間短くした場合に節約できる金額は次の通りです。

  • 冷房を27℃から28℃にすると年間約940円の節約
  • 暖房を21℃から20℃にすると年間約1,650円の節約
  • 冷房の稼働を1日1時間減らすと年間約580円の節約
  • 暖房の稼働を1日1時間減らすと年間約1,260円の節約

※東京電力エナジーパートナー(以下東京電力)の試算による。2.2kWのエアコンを1日9時間使うと想定

・フィルターをこまめに掃除する

2022年にダイキン工業株式会社が実施したエアコンの節電効果調査によると、フィルター掃除をすれば、しなかった場合より約5割(48.9%)の消費電力量を削減できるという結果が出ています。この調査は10年以上前の家庭用エアコンを使って実際の住宅で実施しており、掃除していないフィルターは3年分のほこりがたまった状態でした。1か月の電気代に換算すると、800円削減できることになるそうです。

簡単に取り組める節電対策ですが、効果は期待できそうです。

冷蔵庫の使い方を見直す

冷蔵庫は毎日使う家電製品なので、使い方を見直すと節電効果も大きくなります。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトから、省エネ対策の具体的なやり方と、モデルケースで見込まれている節約額を紹介します。

・温かいものは冷ましてから冷蔵庫へ入れる

作りたてのカレーやシチュー、麦茶など温かいものをそのまま冷蔵庫に入れている人もいるのではないでしょうか。温かいままだと冷蔵庫内の温度が上がり、冷やすために余分なエネルギーが消費されてしまいます。温かい食品は冷ましてから冷蔵庫に入れるようにしましょう。

・冷蔵庫の中を整理する

夕食の残りなどが冷蔵庫の奥で眠っていませんか?食品が多いと冷蔵庫内の温度が下がりにくくなります。食品を詰め込んだ場合と、半分にした場合を比較すると、年間で43.84kWhの省エネになり、約1,360円の節約になります。

食べきれる量だけ料理し、食べ残しが出ないように意識してみましょう。買い物のときに買い過ぎないことも重要です。また、常温で保管できるものは冷蔵庫には入れず常温で保管するようにしましょう。

・冷蔵庫内の温度を適正にする

冷蔵庫内の温度を控えめに設定すると消費電力が小さくなります。設定温度を「強」から「中」にした場合(周囲温度22℃)、年間で61.72kWhの省エネになり、電気代も約1,910円の節約になります(※食品の傷みには注意してください)。

洗濯機の使い方を見直す

洗濯機も消費電力が多く、使用方法を工夫することで節約効果が得られやすい家電製品です。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトから、節約術と節約できる額を紹介します。

・洗濯物はまとめて洗い、洗濯回数を減らす

少量の洗濯物を毎日洗うよりも、洗濯機の容量に合わせてまとめ洗いするようにして、洗濯回数を減らすと省エネにつながります。例えば、定格容量(洗濯・脱水容量)が6kgの洗濯機を使う家庭で、容量の4割分の洗濯物を入れて洗う場合と、容量の8割分の洗濯物をまとめて入れて洗濯回数を半分に減らした場合を比較すると、まとめて洗濯したほうが年間で5.88kWhの省エネになり、水道代など含め年間で約4,510円節約できます。

・自然乾燥を併用する

自然乾燥で8時間乾かした後に未乾燥のものだけを乾燥機で補助乾燥する場合と、乾燥機のみを使って2日に1回乾燥させる場合を比較すると、自然乾燥を併用した方が年間で394.57kWhの省エネになり、約12,230円の節約になります。

乾燥機のみで乾燥させる場合も、洗濯機同様にまとめて回数を減らすと節約につながります。

電力会社の契約プランを見直す

電気料金の契約プランは、一度契約したらそのまま気にせず放置しがちですが、プラン変更で節約につながることもあります。電気料金プランを見直すポイントについて紹介します。

電気とガスのセットプランにする

電力会社によっては、電気とガスをまとめて契約できるセットプランを提供している会社があり、セット割引が用意されています。例えば、東京電力の特定の電気料金プランとセットでガス料金プランを契約すると、「ガスセット割」として電気料金から毎月102円(税込み)が割引されます。中部電力では、特定の電気料金プランとセットでガス料金プランを契約すると、「カテエネガスセットプラン」が適用され、毎月のガス料金の2%分が割引されます。ただ、場合によってはまとめて契約するよりも、割安なプランをそれぞれ契約する方が安く済むケースもありますので、家庭ごとにシミュレーションが必要です。

また、電気とガスのセットプランにすると、電気とガスで同時にトラブルが発生した場合でも1か所に問い合わせるだけで済みます。さらに引き落とし口座が1つとなるため、家計を管理しやすくなるというメリットもあります。

支払い方法を見直す

電気代の支払い方法を変えると、節約につながることがあります。

大手電力会社では、電気代の支払いに「クレジットカード払い」「口座振替」「振込用紙による現金支払い」の3つが利用できます。クレジットカード払いにすると、カード会社によってはポイントが還元され、ポイント還元率は各社で異なります。電力会社によっては口座振替にすると割引があり、例えば東京電力では、ひと月あたり55円が割引されます。ただ、口座振替の割引がない会社もありますので、事前確認が必要です。

契約アンペア数を見直す 

アンペア(A)の大きさは同時に使える電気量を示しています。アンペア制の電気料金プランの場合、契約アンペア数によって基本料金が決まるため、必要なアンペア数を見直すことで節約につながる可能性があります。

例えば、東京電力の「従量電灯Bプラン」は、契約アンペア数ごとに次のような基本料金になっています。

 

1契約あたりの基本料金
 

料金(税込)

【2023年3月31日まで】

料金(税込)

【2023年4月1日以降】

基本料金

10A

286円00銭

295円24銭

15A

429円00銭

442円86銭

20A

572円00銭

590円48銭

30A

858円00銭

885円72銭

40A

1,144円00銭

1,180円96銭

50A

1,430円00銭

1,476円20銭

60A

1,716円00銭

1,771円44銭

出典:東京電力エナジーパートナー株式会社 従量電灯B

東京電力の「従量電灯Bプラン」の30Aを契約している家庭のアンペア数を20Aに変更すると、1か月あたり約295円(年間約3543円)の電気代を節約できます。

ご家庭ごとの適切なアンペア数は、1日のうち、同時に使用する家電製品が最も多いときの最大電気使用量を参考に決めることをおすすめします。例えば、日中に家事をまとめて行う方の場合は、エアコンや洗濯機、掃除機などの家電製品を同時に使用する場合のアンペア数を確認してみましょう。家電製品の消費電力はワット数(W)で表示されていますが、これをアンペア数に換算するには「100Wで1A、1,000W(1kW)で10 A」と考えます(100Vの場合)。

確認した結果、最大電気使用量が25Aなら、30Aプランを契約すればブレーカーが落ちてしまう心配もなく、必要以上の電気料金を支払わなくて済みます。

電力会社を新電力へ切り替える

契約している電力会社を「新電力」に切り替えることも節約方法の一つです。工事など手間や時間がかかって大変なイメージがあるかもしれませんが、工事や自分での解約手続きは不要です。新電力とは何か、切り替え方法と注意点についても解説します。

新電力とは何か

「新電力」とは、電力自由化によって新規参入した「新しい電力会社」の意味です。2016年3月まで、家庭向け電気は大手電力会社10社だけが販売しており、どの会社から買うか自由に選ぶことはできませんでした。

2000年3月から電気の小売り自由化が始まり、大手電力会社10社以外の新しい電力会社も電気を販売できるようになりました。当初、新電力から購入できるのはオフィスビル等の商業施設や工場に限られていましたが、徐々に購入できる対象が拡大し、2016年4月1日以降、家庭で使用する電力も自由に電力会社を選ぶことができるようになりました。

「新電力」により競争が活発化し、さまざまなサービスや料金プランが登場しています。例えば、時間帯別に電気料金が設定されているプランや、大手電力会社と同様にガスとのセット割引やポイントサービスがある会社もあります。再生可能エネルギー(太陽光や風力)を中心に発電を行う会社から電気を購入することもできます。電気の完全自由化により、消費者は自分のライフスタイルに合わせて、電力会社や料金プランを選択できるようになりました。

新電力への切り替えと注意点

契約電力会社を新電力へ切り替えたい場合は、各社サービス窓口や電話、ホームページなどから申し込みが可能です。また、現在契約している地域の電力会社への解約手続きは、消費者の同意があれば切り替え先の電力会社が手続きを代行してくれます。

切り替え時に必要となる事項は次の通りです。

  • 現在の電力会社名
  • 現在の電力会社のお客さま番号
  • 供給地点特定番号
  • 切り替え希望日
  • 本人確認書類

お客さま番号と供給地点特定番号は検針票や電力会社からのダイレクトメール、領収書で確認できます。契約している電力会社に直接問い合わせることも可能です。

ただし、新電力への切り替えが必ずしも良いとは限りません。料金プランによっては電気代が今までより上がってしまう可能性もありますので、事前に確認する必要があります。

また、資源価格の高騰などにより採算が取れなくなり、新規受付を中止した新電力や撤退した新電力もありますので、信頼できる会社を選ぶことも重要です。大手の石油やガス、通信会社で新電力に参入しているところもあります。

また、会社によっては解約にかかる違約金が設定されていることがあり、集合住宅では切り替えができない場合もあります。切り替えを検討する際には確認するようにしましょう。

家電製品を買い替える

家電製品の省エネ性能は年々向上しており、古いモデルの家電製品を使用している家庭の場合、家電の買い替えで電気代を節約できる可能性があります。新しいモデルでどのくらいの節約になるのかを解説します。

エアコンを買い替える

エアコンは省エネ技術の導入が進んでいる家電製品の一つです。例えば、同タイプの2011年モデルと2021年モデルを比較すると、年間の消費電力量は905kWhから813kWhへと約10%減っており、年間で電気代約2,850円の節約になります。

冷蔵庫を買い替える

冷蔵庫は24時間ずっと稼働しているため、電力消費量が多い家電製品です。同タイプの2011年モデルと2021年モデルを比較すると、年間の消費電力量は440~500kWhから269kWhへと約39~46%減少しており、年間で電気代約5,300円~7,200円の節約になります。

洗濯機を買い替える

洗濯機も買い替えで節約効果が生まれます。1日1回、洗濯から乾燥まで行う場合(洗濯・脱水容量8kg、乾燥容量4.5kg)、同タイプの2009年モデルと2021年モデルを比較すると、年間の消費電力は2,750Whから1,960Whへと約29%減っており、年間で電気代約8,900円の節約になります。

手軽にできる節電方法から試してみましょう

世帯人数別の電気代の平均額や、電気代を節約するための家電製品の使い方、契約プランの見直し、家電製品の買い替えについて解説しました。電気代の値上がりで家計に打撃を受け、苦しい人も少なくないでしょう。天然ガスや石油などの資源高も続いており、電気代がいつ落ち着くのか見通せない状況です。手軽にできる節電方法からまず試してみて、電気代の節約につなげていきましょう。

▼参考資料

  • 空調 | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト (meti.go.jp)
  • シチュエーション別省エネ術|でんきの省エネ術|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)
  • キッチン | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト (meti.go.jp)
  • 洗濯機・掃除機 | 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報 | 省エネポータルサイト (meti.go.jp)
  • フィルター掃除と室外機周辺の片付けによるエアコンの節電効果を検証 | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社 (daikin.co.jp)
  • 電気・ガスプランに加入すると、どんな割引サービスがありますか | 東京電力エナジーパートナー (zendesk.com)
  • カテエネガスプラン1|個人のお客さま|中部電力ミライズ (chuden.co.jp)
  • 口座振替でのお支払い手続き|お支払い手続き|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)
  • 従量電灯B・C|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社 (tepco.co.jp)
  • 電力の小売全面自由化って何?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
  • 電力小売全面自由化でどう変わるの?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
  • 電力小売全面自由化でどう変わるの?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
  • 電力会社を切り替えるには?|電力小売全面自由化|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)
  • スマートライフおすすめBOOK 2022 (meclib.jp)
  • よくある質問 Q&A|公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会 (eftc.or.jp)
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