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副業はなぜ会社にバレる? 住民税からバレる理由を解説

副業はなぜ会社にバレる? 住民税からバレる理由を解説

少子高齢化など日本の社会構造の変化に伴い、労働力不足が懸念されています。そのため、国は労働力の増加につながる副業を推進する政策を打ち出しました。会社員にとっても雇用する企業にとっても、副業に理解が深まってきました。収入をふやすことを考え、副業に興味を持っている方も多いでしょう。しかし、副業を禁止している会社も少なくありません。

それでは、会社にバレずに副業することは可能なのでしょうか?ここでは、副業はなぜ会社にバレてしまうのか、その理由や回避できるかもしれない方法をお伝えします。

目次


  1. 副業とは何か?
  2. 副業がバレる理由3つ
  3. 住民税から副業がバレないようにするには
  4. 国は副業を推奨している
  5. 会社が副業禁止か確認する
  6. 会社の許可を得るのがベスト

副業とは何か?

副業とは何か?

副業を明確に定義した法令はありませんが、中小企業庁の『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言』によると、副業とは「一般的に、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す」とされています。
引用:兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業 研究会提言(平成29年3月 中小企業庁経営支援部創業・新事業促進課 経済産業政策局産業人材政策室)

たとえば、普段は会社員として経理事務をしている人が、週末や夜間にアルバイトで家庭教師をしたり、フリーのWEBライターとして活動したりすることが副業に当たります。また、趣味や特技を活かした手作り品をインターネットで販売することなども副業です。

副業には、働く人が本業の終業後や休日の時間を活用することで収入を得られることのほかにも、新たな経験やスキルを得られるといったメリットがあります。

近年では、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)」の施行などによる国の後押しもあり、副業を解禁する会社もふえてきています。

ただ、副業を禁止している会社もあるので、副業をすると就業規則違反で懲戒処分になる場合があります。副業をする前に、必ず就業規則を確認しましょう。

副業がバレる理由3つ

副業がバレる理由3つ

副業を始めたいけれど、勤務先が副業禁止なので、副業していることが会社にバレてしまうと困るという方も多いのではないでしょうか?

副業をしていることはどんなきっかけで会社にバレてしまうのか、主な理由として、次の3つのケースがあげられます。

  • 住民税の額が変わってバレる
  • 知人やSNSからバレる
  • 本業の遅刻・欠勤がふえてバレる

ここからは、副業がバレる理由について詳しく見ていきます。

住民税の額が変わってバレる

副業がバレる理由の1つ目は、納税義務者の住所地の自治体から会社に届く「住民税の決定通知書」です。

給与所得などにかかる住民税の納付は、所得税の源泉徴収のように、原則として毎月の給与から差し引かれる「特別徴収」という方法で行われます。その他に、自治体から交付された納付通知書を使用して納税義務者自身が直接納税する「普通徴収」という納税方法があります。

特別徴収の「住民税の決定通知書」には「特別徴収義務者用」(勤務先用)と「納税義務者用」(就業者用)の2種類があります。どちらも会社に送られ、「納税義務者用」は就業者に交付されます。

この納税義務者用の通知書には給与所得以外の所得に関する情報も含まれています。そのため、会社の給与支払担当者がこの通知書を見ることで副業がバレる恐れがあります。

また、副業による収入増加や赤字申告(収入より経費が多い状態で確定申告すること)などによって、住民税の金額に他の従業員と差がある場合にも、気づかれることがあるようです。

ただし、給与支払担当者は「副業を見つけること」を職務として命じられているわけではないので、よほど目につく内容でなければ、住民税の決定通知書からバレることは少ないでしょう。

知人やSNSからバレる

副業がバレる理由の2つ目は、自分で周りの人に話したり、SNSで発信したりすることがきっかけとなるケースです。副業での成功体験や頑張ったことは他人に話したくなるものですが、バレないようにするためには、自分だけの胸に納めておいたほうがよいです。

会社の同僚や上司の中には、副業をしている人に対して良い印象を持たない人もいるかもしれません。「自分は本業に専念しているのに、あの人は副業をしながら同じ給与をもらっている!」と不満を持たれ、人事部に密告される恐れもあります。

また、たとえ匿名であっても、SNSやブログによって副業で稼いでいることをアピールするのはリスクとなります。それを見て嫉妬した人が税務署に密告してバレてしまう可能性もあるからです。

本業の遅刻・欠勤がふえてバレる

副業がバレる理由の3つ目は、本業の遅刻・欠勤がふえてしまうケースです。労働契約の締結によって、本業の就業時間中は職務専念義務が発生します。当然ですが、副業は本業の就業前後や休日に行うことになります。

副業を就業前後や休日に行う→トータルの働く時間がふえる→疲れがたまる→遅刻や欠勤がふえる→会社に怪しまれる→バレる、という流れにならないよう、注意が必要です。

また、働きすぎて心身が不調になる恐れもあります。したがって、副業をする際には本業に支障をきたさない、心身ともに健康でいられる範囲で取り組むことが重要です。

住民税から副業がバレないようにするには

住民税から副業がバレないようにするには

ここまで副業がバレる3つの理由を説明しました。

そのうちの2つは自分が注意することによって回避できますが、住民税については自分で対処することができません。

では、「住民税の額が変わって副業がバレる」ことを回避できそうな方法はあるのでしょうか?

副業で収入を得た場合、所得税の確定申告は、副業による所得が一定金額(給与と退職金以外の副業を含む所得の合計が20万円以上)になるまでは不要です。

ただし、住民税の申告は、副業による所得が1円でもあれば必要になります。確定申告を行わなかった場合は、別途、市区町村役場に住民税のための所得申告をしなければなりません。

副業で得られる所得は、パートやアルバイトなどの給与所得と、それ以外の所得(事業所得や雑所得など)が考えられます。

次に、住民税からバレないかもしれない方法について、2パターンに分けて解説します。

副業が給与所得以外の場合

副業が受託業務や商品の個人販売など、雇用されて働いているのでないケースは、事業所得もしくは雑所得などとなります。確定申告の際に、住民税に関する事項の「給与・公的年金等に係る所得税以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」で、「自分で納付」に〇印をつけるだけです。

「自分で納付」を選ぶと、副業分の住民税については、会社を通して徴収される「特別徴収」ではなく、自分で納付書によりコンビニなどで支払える「普通徴収」になるため、本業以外の所得が勤務先の給与担当者にバレるのを回避できるかもしれません。確定申告を行わない場合は、各市区町村の役所で住民税の申告をする際に、「自分で納付」という徴収方法を選びます。

副業が給与所得の場合

副業がパートやアルバイトなどの給与所得である場合、住民税からバレないようにするのは難しいでしょう。

なぜなら、給与所得の場合、多くの自治体では住民税の特別徴収が義務づけられており、2か所以上に勤務している人の住民税は、原則として主たる給与の支払を受けている勤務先のほうで特別徴収されるからです。給与所得の場合は、本人の希望により普通徴収を選択することはできません。

また、副業先の事業所の規模や労働時間などが社会保険の加入条件を満たす場合には、「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構(年金事務所)に提出する必要があります。届け出た勤務先の合計収入によって計算された標準報酬月額(社会保険料の計算に使われる)などがそれぞれの勤務先に通知されることによっても、副業がバレてしまいます。つまり、バレるリスクを抑えたいなら、給与所得に当たるような副業は行わないほうが無難です。

国は副業を推奨している

国は副業を推奨している

近年では、国も副業を推奨するようになってきました。ここからは、国の制度などが具体的にどのように改正されてきたのかについて解説します。

ガイドラインとモデル就業規則

2017年、国は「働き方改革実行計画」の中で、副業・兼業の普及促進を図ると明記しました。これを踏まえ、国は2018年1月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と、「モデル就業規則(改定版)」を公開。改訂版のモデル就業規則では、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除するとともに、副業・兼業についての規定を新設しました。ガイドラインはその後、2020年と2022年にそれぞれ改定され、モデル就業規則も2023年に再び改定されました。

このガイドラインは、企業も働く人も安心して副業を行えるようにルールを明確化したもので、国が副業の普及へと大きく舵を切っていると言えます。

労災保険法の改正

2020年9月に、労働者災害補償保険法(労災保険法)が改正施行されました。

従来は、仕事中にけがなどをして休業せざるを得なくなったとき、事故が起きた勤務先の賃金額のみをもとに労災保険の給付額が決められていました。改正後は、雇用されているすべての勤務先の賃金をもとに給付額が算定されるようになったのです。

たとえば、A社の月収20万円、B社の月収10万円の場合で考えてみましょう。B社で事故があった場合、改正前はB社の10万円のみをもとに保険額が決められていました。しかし、改正後はA社とB社を合わせた30万円となり、受け取れる保険給付額に大きな差が生じることとなりました。

安心して副業を行うことができるように、法整備が進められていると言えます。

会社が副業禁止か確認する

会社が副業禁止か確認する

会社によっては就業規則で副業が禁止されている場合があります。就業規則は、労働時間や労働者の賃金などの労働条件や職場内のルールをまとめた規則のことです。

就業規則で明確に副業が禁止されている場合、就業規則に反して副業を行い、会社にバレるとトラブルになる可能性があります。副業を始める前に勤務先が副業禁止でないか確認しましょう。

まずは就業規則を確認

日本経済団体連合会(経団連)会員企業を対象とした「副業・兼業に関するアンケート調査結果」では、回答企業の70.5%が自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」または「認める予定」と回答しました。経団連に加盟しているのは大手企業が多いとはいえ、今後も多くの企業で副業が解禁されていくと考えられます。

そこでまず、自分の勤務先で副業が認められているかを就業規則で確認してみましょう。一律禁止ではなく「事前に届け出れば可能」という可能性もあります。

また、現時点で副業禁止でも、諦めずに副業をしたいと会社に相談すれば、就業規則の改定に向けて動きがあるかもしれません。

副業が禁止される理由

それでも、副業を一律禁止としている会社もあります。副業を禁止する理由は何でしょうか?

会社側には、副業によって就業時間の把握・管理ができなくなることや、健康管理への対応の難しさ、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務などが確保できなくなることの懸念があるようです。また、ITエンジニアや金融機関など、秘密保持義務をとくに重要視する業界では、副業が認められづらい傾向にあるようです。

ただ、就業者が副業により新たな知識・情報や人脈を手に入れることは、本業の会社にとってもメリットになることもあります。一律禁止ではなく許可制とするなど、就業規則の緩和が期待されます。

公務員の副業も緩和の方向

一般の会社員の副業を禁止する法律はありません。一方で、公務員が副業をすることは国家公務員法第103条、第104条や地方公務員法第38条によって禁止されています。

しかし、国家公務員の兼業については「職員の兼業の許可について定める許可基準に関する事項について」(2019年3月28日内閣人事局参事官通知)によって、1日3時間を超えないなどの許可基準が明確に定められ、従来の基準からかなり緩和されました。

また、地方自治体でも、神戸市や奈良県生駒市などが「公益性の高い継続的な地域貢献活動である」など一定の基準を満たす活動に限り、報酬を伴う副業を認めています。

なお、国家公務員法や地方公務員法の副業禁止の規定は、役所で働く非常勤職員や臨時職員には適用されません。

これらのことから、公務員の副業も、一律禁止ではなく緩和の方向にあると考えられます。

会社の許可を得るのがベスト

会社の許可を得るのがベスト

これまで紹介してきたように、副業を本業の勤務先にバレづらくする方法はありますが、どれも完璧なものとは言えません。

副業を禁止されている会社で、バレないように副業を続けるのはストレスになりますし、万が一バレたときに、就業規則違反で何らかの罰則があるリスクもあります。

ベストな方法は、本業の会社から許可を得て副業を始めることです。公務員を除いて副業を禁止する法律はないため、会社と交渉して就業規則の禁止規定さえ見直してもらえれば、本業の会社にとってもメリットになる面を含め、副業を認めてもらえる可能性は高まります。

副業が会社にバレてしまう理由を理解し、トラブルを引き起こさないように気をつけましょう。

▼参考資料

  • 研究会(中小企業庁)
  • 個人住民税の特別徴収推進ステーション(東京都主税局)
  • 個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(総務省)
  • しっかり学ぼう!働く時の基礎知識(厚生労働省)
  • 住民税に関する事項を記入する(国税庁)
  • 個人住民税の特別徴収(兵庫県)
  • 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き(日本年金機構)
  • 働き方改革実行計画(概要)(厚生労働省)
  • 副業・兼業(厚生労働省)
  • 労働者災害補償保険法の改正について~複数の会社等で働かれている方への保険給付が変わります~(厚生労働省)
  • 「副業・兼業に関するアンケート調査結果」を公表(日本経済団体連合会)
  • 副業・兼業の促進に関するガイドライン(案)(厚生労働省)
  • 国家公務員法(e-GOV法令検索)
  • 地方公務員法(e-GOV法令検索)
  • 国家公務員の兼業について(概要)(内閣官房内閣人事局)
  • 公務員の副業・兼業に関する調査研究~職員のスキルアップ、人材戦略、地域貢献の好循環を目指して~(東京市町村自治調査会)

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