平均収入は年齢・性別でどう違う?都道府県での差は? 働き方を考えるために知りたいこと
自分の収入は人と比べて高いのか、低いのか?知りたい気持ちがあっても、友達に「いくらもらっているの?」とはなかなか聞けないですよね。そんなとき考えるための指標になるのが平均収入です。厚生労働省から『賃金構造基本統計調査』が毎年発表されており、性別や年齢階級別、地域別の平均収入を知ることができます。この記事では、2023年3月に公表された『令和4年賃金構造基本統計調査』をもとに平均収入についてお伝えします。(本記事では、同調査の「賃金」を「収入」と読み替えています)
平均収入のピークは50歳代後半 男女差は月13.6万円に
男女のそれぞれの年齢階級における平均収入(月収)を見ていきましょう。
年齢 |
男女計(円) |
男 |
女 |
---|---|---|---|
~19歳 |
184,200 |
187,700 |
178,400 |
20~24 |
218,500 |
220,500 |
216,300 |
25~29 |
251,200 |
259,300 |
240,800 |
30~34 |
281,000 |
297,000 |
254,000 |
35~39 |
312,500 |
335,800 |
268,200 |
40~44 |
333,700 |
363,600 |
275,600 |
45~49 |
349,200 |
388,100 |
278,500 |
50~54 |
364,700 |
410,900 |
279,200 |
55~59 |
370,000 |
416,500 |
280,000 |
60~64 |
295,600 |
321,800 |
237,300 |
65~69 |
257,600 |
274,500 |
216,200 |
70~ |
238,100 |
245,900 |
217,800 |
出典:令和4年賃金構造基本統計調査の概況/第2表 性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び年齢階級間賃金格差(厚生労働省)
平均収入のピークは男女とも55~59歳で、男性は416,500円、女性は280,000円でした。この年齢階級では、女性の平均収入は男性の3分の2にとどまり、男女差は136,500円に及びます。
男性はピークを越えた後、ガクンと下降しています。女性の場合は、全年齢階級を通じ、平均収入の上昇も下降も緩やかです。女性の収入が安定していると見ることもできますが、むしろ女性の収入が、広い年代を通じて低く抑えられていると言えるかもしれません。
トップは東京、最下位の青森とは月13万円近い差! 都道府県別平均収入
平均収入は都道府県によってどれくらい違うのでしょうか。都道府県別の平均収入(月収)についてお伝えします。
順位 |
都道府県 |
平均収入(円) |
順位 |
都道府県 |
平均収入(円) |
順位 |
都道府県 |
平均収入(円) |
順位 |
都道府県 |
平均収入(円) |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 |
東京 |
375,500 |
12 |
三重 |
296,600 |
24 |
福井 |
283,500 |
36 |
愛媛 |
267,300 |
|||
2 |
神奈川 |
335,600 |
13 |
栃木 |
296,600 |
25 |
山口 |
283,200 |
37 |
高知 |
265,200 |
|||
3 |
大阪 |
330,900 |
14 |
福岡 |
296,500 |
26 |
石川 |
283,100 |
38 |
佐賀 |
265,000 |
|||
4 |
愛知 |
312,600 |
15 |
広島 |
296,100 |
27 |
香川 |
282,800 |
39 |
鳥取 |
263,800 |
|||
5 |
兵庫 |
312,300 |
16 |
静岡 |
294,200 |
28 |
富山 |
281,200 |
40 |
島根 |
263,100 |
|||
― |
全国平均 |
311,800 |
17 |
岐阜 |
292,700 |
29 |
徳島 |
277,100 |
41 |
秋田 |
259,100 |
|||
6 |
奈良 |
310,600 |
18 |
和歌山 |
288,000 |
30 |
大分 |
275,100 |
42 |
鹿児島 |
256,000 |
|||
7 |
千葉 |
309,000 |
19 |
山梨 |
287,700 |
31 |
新潟 |
275,000 |
43 |
山形 |
254,600 |
|||
8 |
京都 |
305,600 |
20 |
岡山 |
285,200 |
32 |
熊本 |
270,300 |
44 |
岩手 |
252,300 |
|||
9 |
茨城 |
305,200 |
21 |
長野 |
285,200 |
33 |
福島 |
267,900 |
45 |
沖縄 |
252,000 |
|||
10 |
埼玉 |
305,200 |
22 |
群馬 |
284,400 |
34 |
長崎 |
267,700 |
46 |
宮崎 |
249,600 |
|||
11 |
滋賀 |
303,800 |
23 |
宮城 |
284,200 |
35 |
北海道 |
267,700 |
47 |
青森 |
247,600 |
出典:令和4年賃金構造基本統計調査の概況/第7図 都道府県別賃金(男女計)(厚生労働省)
都道府県別でみると、収入が全国平均(311,800円)よりも高かったのは5都府県(東京、神奈川、大阪、愛知、兵庫)でした。最も高いのは東京(375,500円)、最も低いのは青森(247,600円)で、その差は127,900円もありました。働く地域によって平均収入に大きな違いがあることが分かります。
地域によって、物価や家賃など生活にかかるコストに違いがあり、平均収入が高い都市部では生活費も多くかかることが考えられるため、収入の高さが暮らしの豊かさに直結するかどうかは一概に言えません。ただ、特に東京の平均収入の高さが際立っており、地方から東京に人が集まる一因とも考えられそうです。
若い世代では収入の男女差は小さい
次に、新卒で就職した場合の収入について見てみましょう。
|
高校卒 |
専門学校卒 |
大学卒 |
---|---|---|---|
男 |
183,400 |
207,000 |
229,700 |
女 |
177,600 |
216,600 |
227,200 |
出典:令和4年賃金構造基本統計調査の概況/第9表 新規学卒者の性、学歴別賃金及び対前年増減率(厚生労働省)
学歴による差はありますが、男女差に着目すると、専門学校卒では女性が216,600円で、男性の207,000円を上回っていることが目を引きます。先ほど見た年齢階級における平均収入でも、20〜24歳の男女差は4,200円でした。若い世代では、性別による収入の差はあまりないと言えます。
2022年12月に発表された文部科学省の学校基本調査によると、大学学部における女子学生の割合は過去最高の45.6%で、ほぼ半数に迫っています。収入の違いを生む大きな要因である学歴も、男女でかつてほどの差はなくなってきました。今の若年層は、男女の違いなく同じように学び、キャリアのスタート時には同じくらいの収入を得るようになっていると言えるでしょう。ただ、この世代が今後、中堅・ベテランになった時に、男女の収入の格差が解消されているのかどうかは不透明です。
正社員・非正規雇用など働き方の違いも収入に影響
年齢による収入の変化を見ると、平均収入のピークは男女とも50代後半ですが、金額の男女差はおよそ1.5倍にも及んでいます。都道府県別では、トップの東京と最下位の青森の間には、やはりおよそ1.5倍、金額にして約13万円の差がありました。一方で、新卒時には男女による極端な収入の差は見られませんでした。
ここまで紹介したのはあくまでも平均値であり、実際の収入は人によって大きく異なります。順調にキャリアを重ねられるのか、正社員か非正規雇用かといった働き方の違いも収入に大きく影響するでしょう。先に述べたように、地域によって生活にかかるコストや暮らしやすさにも違いがあり、単純に収入が高い都会がよいと言えるものではありません。
ここで紹介した平均値をもとに、自身の収入や働き方について考えてみてはいかがでしょうか。
▼参考資料
- 令和4年賃金構造基本統計調査の概況(厚生労働省)
- 令和4年度学校基本調査 調査結果のポイント(文部科学省)