生命保険を見直ししない理由とは?20代とシニア層の“意外な共通点”
 
          20代とシニア層*では、想定されるライフイベントが異なり、そもそも保険加入に対する意識には大きな隔たりがあります。しかし、保険の見直しに関しては意外な共通点があります。
ソナミラ株式会社が20代~70代の方々(男性250名、女性250名)を対象に行った「保険の見直しに関するアンケート」によると、保険見直しの際、20代とシニア層が、共に「保障内容の充実」を最も重視していることがわかりました。この傾向は他の世代より顕著です。
この記事では、アンケート調査結果に基づき、ライフイベントの異なる20代とシニア層が、保険の見直しの際にぶつかる障壁が何であるのかを分析していきます。そして、なぜ20代とシニア層が「安心への理想」を求めるのかという理由を、内閣府の世論調査をもとに、わかりやすく解説していきます。
*今回のアンケート集計では、60代以上をシニア層と定義して計算しています。
【ここをクリック】生命保険の見直しならソナミラで!ソナミラのFP相談はこちら
20代とシニア層の生命保険加入状況

生命保険の見直しが進まない理由を探る前に、まず現在の保険の加入状況、加入のきっかけ、そして見直し経験の有無を、20代とシニア層で比較します。両世代が、保険に対してどのような意識を持っているのか、アンケート結果から読み解きましょう。
シニア層の77.8%が保険に加入済み!

一般的に生命保険に対する意識は年代によって大きく異なります。特に、20代とシニア層では、現在の生命保険加入状況に大きな差があることが、今回のアンケート調査からも明らかになりました。
まず20代の現状を見てみると、「現在、生命保険に加入していますか?」という問いに対し、「加入していない」と回答した割合が62.4%に上りました。これは、20代の多くが民間の生命保険(共済や団体保険を含む)に加入していないことを表しています。
20代は独身である場合も多く、守るべき家族がいないことから生命保険の必要性を強く感じにくい傾向があります。そのため、保険料よりも貯蓄や趣味・自己投資にお金を使いたいと考える人が少なくありません。
一方、シニア層では、「加入している」と回答した人の割合が77.8%に達しています。人生経験を積んだシニア層の多くが、何らかの形で生命保険による“備え”を意識しているようです。長い人生の中で、周りで起きた様々な事柄を見聞きすると、「リスクへの備え」が大切だと感じる機会も増えていきます。その結果、多くの人が生命保険の加入を検討することになります。そして、一度保険を契約した人は、その後も長く継続していくケースが一般的です。結果として、年齢層が上がるほど、保険の加入率は上がっていくことになります。
生命保険に加入した「きっかけ」の違い

生命保険に加入するきっかけは、その人のライフステージやライフイベントに強く影響されます。20代とシニア層では、加入の動機が大きく異なっており、両世代が人生のどの側面に不安を感じているかもわかります。
20代の主なきっかけとして上位に挙がったのは、「親が契約をしていた」(25.8%)でした。社会人となったタイミングで、親の勧めに従って契約し、その後も大きな見直しをせずに継続する人は少なくありません。自ら積極的に選んだわけではなく、「とりあえず加入してそのまま継続」という受け身の姿勢が背景にあります。
また、「結婚・出産を機に」は18.0%となっており、ライフイベントがきっかけとなるケースもあります。20代~30代にかけて、結婚や出産のイベントが発生し、この時期が保険を検討する良いタイミングになっていることがわかります。
一方、シニア層の加入のきっかけで最も多かったのは、「老後の備え」であり、その割合は22.9%でした。これは、シニア層が人生の後半に向けて、医療費や介護費、葬儀費など、将来的にかかるかもしれない支出に対して、備えの意識を持っていることを表しています。
生命保険の「見直し経験がない」人はどの世代にも存在する

生命保険に加入している人を対象に「生命保険の見直しをしたことはありますか?」と尋ねた結果、「見直したことがない」と回答した割合は、全ての年代で2割を超えています。
特に見直し経験がない人の割合が高い層は、20代で36.4%、次いで30代で35.8%でした。若年層である20代や30代において見直し経験がない人が多い背景には、前述のように「親が契約をしていた」など、保険加入の動機自体が受け身であるケースが多いこと、また大きなライフイベント(結婚、出産、住宅購入など)を迎えておらず、見直しの必要性を感じていないことなどが考えられます。
一方、シニア層でも、見直し経験がない人は存在します。
- 60代:「見直したことがない」は22.7%
- 70歳以上:「見直したことがない」は29.1%
シニア層の保険加入率は77.8%にのぼり、若年層に比べて保険を重視する姿勢がうかがえます。しかし、それでも約4人に1人は見直し機会を持っていません。長期間にわたり同じ保険契約を継続している人も多く、現在の生活やライフステージと保障内容が合っていない可能性があります。
▶【関連記事】独身では生命保険はいらない?最低限入っておくべき保険と選び方
保険見直しのきっかけはライフイベント

生命保険の保障内容は、結婚や出産、あるいは住宅の購入など、人生の大きな変化に合わせて見直すことが望ましいと言われます。ライフイベントによって必要な保険の種類や保障額に変化が生じるからです。ですから、これらの変化のタイミングこそが、保険を見直す適切な「きっかけ」のひとつだといえます。
しかし、そのライフイベントの中身は、20代とシニア層では大きく異なります。そのため、生命保険の見直しにつながるきっかけも、年代やライフステージによって変化します。具体的にどのような出来事が保険見直しのきっかけとなっているのかを確認していきます。
20代は「出産」、シニア層は「転職・退職」が見直しのきっかけ
20代にとって、保険の見直しにつながったライフイベントとして最も多かったのは「出産」(20.1%)です。これは、子どもが生まれたことで、「万が一の際に遺される家族の生活費」や「教育資金の備え」という、新たな責任が生まれるからです。この「出産」というイベントは、保障額を大幅に見直したり、死亡保障や学資保険などの新しい種類の保険の必要性を感じたりする大きな転機となります。
「結婚」(15.9%)もひとつのきっかけとはなっていますが、「出産」よりも多くはありません。現代では夫婦ともに仕事をする共働きスタイルが中心です。子どもがいない段階では、夫婦それぞれが生命保険に加入する必要性は、以前ほど高まっておらず、「出産」と比べても相対的に低い割合になっているようです。
シニア層においては、「転職や退職」(21.1%)を挙げた人が多く存在しました。退職すると、勤務先の団体保険や福利厚生で手厚くカバーされていた保障が失われることになります。また、65歳からの収入は公的年金が中心になるため、保険料を支払い続けることが難しくなる可能性もあります。そのため、退職を機に、必要な保障額を再計算し、保険料の負担を軽減するための見直しが行われることが多いのです。
シニア層特有の見直しのきっかけとして、老後のイベントが見直しにつながっているケースもみられます。そのひとつが、「介護の経験」(5.2%)です。全体として大きな割合ではありませんが、20代(3.0%)と比べると割合が増えています。
これは要介護認定者数の増加にともない、両親の介護を経験しているシニア層が増えていることが要因だと推察されます。実際に介護を経験すると、思った以上にお金が必要であることがわかり、自分自身の介護について考えるきっかけになることがあります。「家族に迷惑をかけたくない」「よりよい介護生活を送りたい」といった想い、もしくは「公的保険制度に対する期待の低さ」から、民間の介護保険や医療保険の充実を検討する人が増えているのではないでしょうか。
▶【関連記事】生命保険見直しの注意点とは?適切なタイミングや損しないためのポイントを解説
保険の見直しの難しさ=保険種類の多さ

生命保険の見直しが必要だと頭では理解していても、行動に移せない人は多いものです。ここでは、見直しを妨げる要因について見ていきます。「見直しがなぜ難しいと感じるのか」という問いに対し、アンケート調査から明らかになった具体的な障壁を分析します。
保険種類の多さが壁!見直しで「難しい」と感じる具体的な理由
生命保険の見直しを経験したことがある20代、シニア層を対象に、「見直しで難しいと感じたこと」を尋ねたところ、両世代共通して、「保険の種類が多くてわかりづらい」という項目が高いことがわかりました。
- 20代:49.4%
- シニア層:35.8%
シニア層は「保険の良し悪し」を判断しにくい
シニア層が20代を上回ったのは「現在の保険が良いのか悪いのか判断できない」という回答です。
- 20代:35.8%
- シニア層:43.8%
この結果が示すことは何でしょうか。
シニア層には「契約している保険の内容や必要性を自分で適切に判断することが難しい」という課題があるようです。長年契約を続けてきたことや、商品の多様化によって契約内容の妥当性を見極めにくい状況が背景にあると考えられます。
こうしたことから、シニア層にとっては、専門家による客観的なアドバイスや、シンプルでわかりやすい情報提供の重要性が一層高まっているといえるでしょう。
「意外な共通点」理想的な保障の追求

見直しという行動を起こした際、20代とシニア層が「何を重視しているか」という点をみていくと、世代の壁を超えた意外な共通点が見つかります。それは、保険本来の機能である「保障による安心」を求める姿勢です。
ここでは、20代とシニア層が、保険の見直しにおいて「理想的な保障の実現を最優先している」という共通心理について解説していきます。
見直しで最も重視されたポイントは「保障内容の充実」

生命保険の見直し経験がある人を対象に、「見直しをする際、重視したポイント」を尋ねたところ、全ての年代で、「保障内容の充実」が最も重視される項目となりました。
この結果が示すのは、「保険料の安さ」といった現実的な要素よりも、「いざという時に十分な備えがあるか」という保障の質や理想的なカバー範囲を優先しているということです。
例えば、20代は結婚や出産を機に、将来のリスクを広範囲にカバーできるような充実した保障内容を求めます。一方で30代~40代では、家計を維持するという現実とのバランスが意識されていきます。その結果、「保険料の安さ」も相対的に上がっていきます。そしてシニア層になると、老後の備えや介護リスクの顕在化を背景に、再び手厚い医療や介護の保障を追求する人が多くなると考えられます。
20代とシニア層の見直しの動機は大きく異なりますが、「理想的な安心を手に入れたい」という想いは共通しているようです。
若年層とシニア層に共通する「理想を追求する姿勢」
保険における「理想」を求める傾向は、内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(令和5年版)」でも同様の傾向*を見ることができます。
*内閣府の該当設問をもとに、ソナミラ株式会社で指数化、合計した結果を分析しています

「自分の才能や能力を発揮するために働く」「自由時間をもっと増やしたい」などの合計値を「理想を求める姿勢」と定義して集計を行うと、18~29歳と60~69歳、70歳以上が、他の年代と比較して高い傾向にあります。

一方で「お金を得るために働く」や「収入をもっと増やしたい」といった「現実を重視する姿勢」の合計値は18~29歳、60~69歳、70歳以上と、他の年代と比較して低い傾向にあります。
このことから、20代とシニア層は共通して、「現実より理想を追う傾向がある」と見ることができるのではないでしょうか。
実際に学術調査でも、若者とシニアには「理想を求める姿勢」に共通点があると言われています。米スタンフォード大学のカーステンセン教授が提唱する「社会情動的選択理論(SST)」によると、人は残り時間の感じ方で目標が変わると言われています。
20代は人生が長く感じられるため、成長や挑戦など未来に投資する理想を選びがちです。一方、シニア層(60代以上)は「残された時間を大切にしたい」という意識から、心が満たされる経験や人とのつながりなど、自分にとって意味のある理想を追いやすくなります。年齢は離れていても、人生を自分らしく充実させたいという想いは共通していると言えそうです。
この想いが、保険の見直しという場面において、現実的な保険料の安さよりも、理想的な保障内容を優先していることにつながっているのかもしれません。
▶【関連記事】医療保険の見直しで節約につながる!入院日数の低下から考える見直しのタイミングとポイント
【ここをクリック】退職後の保険見直しはソナミラで!無駄を省いた提案にこだわります
20代もシニアも安心を求める志向は共通

20代は保険加入率が低く受動的な加入が多い一方で、シニア層は保険加入率が高く、老後の備えとして能動的に加入している傾向があることがわかりました。また、保険加入のきっかけは、20代が「親が契約をしていた」もしくは「結婚・出産」が中心であるのに対し、シニア層は「老後の備え」や「介護の経験」など老後リスクに関連するものが中心であることも明確になりました。このように生命保険に対する向き合い方は両世代で大きな違いがあります。
また、保険の見直しを妨げる障壁は共通して「保険種類が多いことによるわかりづらさ」であることが確認できました。
これらの壁を乗り越え、見直しを実行した人が最も重視したのは、年代や属性に関わらず「保障内容の充実」です。特に20代とシニア層では「万一の際に後悔しない安心」を持ちたいという、保険本来の機能を重視していることが明らかになりました。
保険見直しの際は、このように「何を重視するのか」を整理してから取り組むことが大切です。ソナミラでは、各年代の特徴や悩みから、的確なアドバイスができるように心がけています。是非、ご自身の悩みをコンシェルジュにご相談ください。理想と現実、どちらを重視すべきかには答えはありません。皆様の考え方をお聞かせください。まず、気軽にオンライン相談からスタートしてみませんか?
▶【関連記事】ご自宅で気軽に保険相談!ソナミラでオンライン相談をしてみた!
↓LINE友だち追加はこちら↓
教育費シミュレーションや保険・資産運用に関する情報をLINEで発信中!

【本調査の概要】
・調査主体:ソナミラ株式会社 
・期間:2025年7月10日~7月13日
・方法:WEBアンケート
・対象:全国の20代~70代の男女
・サンプル数:2,000名(男性1,000名、女性1,000名)を対象に事前抽出調査を行い、「生命保険の見直しを行ったことがある」と回答した500名(男性250名、女性250名)
▼参考
今後の生活で重視したいこと、現在の生活・将来の見通し
出典:内閣府「国民生活に関する世論調査(令和5年11月調査)」
若者とシニアの「理想」に対する共通点
出典:Carstensen L.L., Socioemotional Selectivity Theory(2021)
 
     
                         
                         
                     
                     
                     
                     
        
                             
        
                             
        
                             
                             
                             
            