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厚生年金の加入条件は? パート・アルバイトでも加入が必要な場合も

目次

厚生年金はどのような人が加入するのでしょうか。最近では加入条件の変更に伴って、パート・アルバイトとして働いている人でも加入が必要な場合があります。この記事では、厚生年金の改正点や、厚生年金に加入するメリットや確認しておきたいことも含めて詳しく解説していきます。

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厚生年金とは?

厚生年金とは?


厚生年金は、会社勤めをしている人などが加入する年金です。国民年金に上乗せして保障が受けられ、厚生年金保険料は会社と従業員が折半で負担します。まず初めに、日本の公的年金の仕組みや、厚生年金に加入する人を詳しく見ていきましょう。

公的年金の仕組み

日本の公的年金は、3階建てで構成されています。20歳になったらすべての人が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金、任意で加入できる個人型年金などです。

3つの年金のうち、厚生年金は2階部分に該当します。

20歳以降のライフスタイルによって、加入する年金や支払う保険料が異なります。

出典:厚生労働省 いっしょに検証!公的年金~年金の仕組みと将来~

加入するのはどんな人?

厚生年金に加入するのは、厚生年金に加入している会社、工場、商店、船舶などの適用事業所で常時雇用される70歳未満の人です。例えば、会社員や公務員として働いている人が当てはまります。

一方で、次のような人は厚生年金の対象外です。

  • 日々雇い入れられる人
  • 2か月以内の期間を定めて働く人
  • 所在地が一定しない事業所で働く人
  • 季節的業務(4か月以内)に従事する人
  • 臨時的事業の事業所(6か月以内)に従事する人

ただし、上記に当てはまる人であっても、一定期間を超えて雇用される場合は、厚生年金に加入する必要があります。この期間は働き方によって異なるので、事前に勤め先に厚生年金加入の有無について確認しておくと安心でしょう。

パート・アルバイトでも加入が必要?

パート・アルバイトでも加入が必要?


パート・アルバイトとして働いていても厚生年金への加入が必要な場合があり、加入する条件には2つのパターンがあります。
まず、以下の条件をどちらも満たす人です。

【パターンA】

  • 勤務時間が一般社員の4分の3以上
  • 1か月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上

〈例〉一般社員の週の所定労働時間が40時間、1か月の所定労働日数が20日の場合
週の所定労働時間が30時間以上、1か月の所定労働日数が15日以上の人が対象

上記に当てはまらない場合でも、以下の4つの項目すべてに当てはまる人は、厚生年金に加入する義務があります。

【パターンB】

  • 勤め先の被保険者(短時間労働者を除く)数が101人以上
  • 週所定の労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が2か月を超える見込みがある
  • 学生ではない

法改正に伴い、今後も厚生年金の対象者は拡大する見込みです。直近の改正点も含めて解説していきます。

2022年10月の改正で対象者が拡大

2022年10月の改正により、厚生年金の対象者の範囲が拡大されました。今回の改正点は、勤め先の被保険者数と雇用期間です。

以前は被保険者数501人以上、雇用期間が1年以上の人が対象でしたが、改正後は被保険者数101人以上、雇用期間2か月超に引き下げられました。

そのため、被保険者数が101人以上の会社で働くパート・アルバイトのうち、先にあげたパターンBの4つの項目すべてに当てはまる人は、厚生年金に加入する必要があります。

2024年10月にはさらに拡大する見込み

今後も法改正を控えており、加入対象者はさらに拡大する見込みです。2024年10月からは、従業員数が51人以上の会社で勤めている人も厚生年金の加入対象となります。従業員数が101人以上から51人以上に引き下げられるため、より多くの人が加入する必要があります。パート・アルバイトとして働いている人は、あらかじめ自分の労働時間などを確認しておくと良いでしょう。

対象

2016年10月~

2022年9月末日

2022年10月~(現行)

2024年10月~(改正)

特定適用事業所

被保険者の総数が常時500人超

被保険者の総数が常時100人超

被保険者の総数が常時50人超

短時間労働者

(パート・アルバイト等)

1週の所定労働時間が20時間以上

変更なし

変更なし

月額88,000円以上

変更なし

変更なし

継続して1年以上使用される見込み

継続して2か月を超えて使用される見込み

変更なし

学生でないこと

変更なし


変更なし

〈特定適用事業所の被保険者の総数について〉

上記の表は日本年金機構のウェブサイトより引用。表と文中とで人数の表現方法が異なりますが、同義です。

出典:日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

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厚生年金に加入するメリット

厚生年金に加入するメリット


今後加入対象者が拡大されていく厚生年金ですが、加入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。

将来受け取れる年金がふえる

1つ目は、将来受け取れる年金がふえることです。厚生年金に加入すると、1階部分の年金(基礎年金)に加えて、2階部分の年金(報酬比例部分)が上乗せされます。

それでは、2階部分が上乗せされると、将来受け取れる年金額がどのくらい変わるのでしょうか。年収が106万円の場合を見てみましょう。加入期間が1年であれば年額5,400円、10年なら年額54,100円、20年なら年額108,300円がふえる試算となります。厚生年金の加入期間が長ければ長いほど、受け取れる年金額も多くなることがわかります。

〈年収106万円の場合〉

加入期間

厚生年金保険料

ふえる報酬比例部分の年金額(目安)

20年加入

月額8,100円

月額9,000円(年額108,300円)×  終身

10年加入

月額8,100円

月額4,500円(年額54,100円)×  終身

1年加入

月額8,100円

月額450円(年額5,400円)×  終身

厚生労働省 社会保険適用ガイドブック(P.3)より作成

なお、厚生年金に加入すると、今まで配偶者の扶養に入っていた人も保険料を自分で負担することになります。厚生年金保険料の支払いは給与天引きで行われ厚生年金保険料の半分は会社が負担します。

手厚い保障が受けられる

2つ目は、さまざまな保障が手厚くなることです。例えば、厚生年金加入中に万が一障害がある状態になった場合は、障害厚生年金が受け取れます。障害基礎年金は障害等級が1級・2級に限られていますが、障害厚生年金は等級が3級であっても受け取れることが特徴です。


出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

また、加入者本人に万が一のことがあった場合、要件を満たせば、遺族は遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金が受け取れます。給付の上乗せにより残された家族がより多くの年金を受け取れるので、生計の維持に役立てられるでしょう。


出典:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

さらに、勤め先の健康保険にも加入することになるため、病気やケガをした際の傷病手当金や、出産時の出産手当金も受け取れます。病気で仕事を休んでいる間や産休中に給与の3分の2が受け取れるので、仕事を休んでいる間の家計にもプラスの影響があります。

このように、将来受け取れる年金だけでなく加入中の保障も充実することが、厚生年金に加入するメリットだと言えます。

厚生年金加入時に確認しておきたいこと

厚生年金加入時に確認しておきたいこと


厚生年金に加入するメリットがある一方で、確認しておきたいこともあります。詳しく確認していきましょう。

手取りの収入が減る

これまで配偶者の扶養に入っていた人が厚生年金に加入すると、毎月の給与の手取り額が減ります。なぜなら、給与から税金や厚生年金保険料などの社会保険料が天引きされるからです。

そのため、今までと同じ水準の手取り収入を確保するためには、働く時間をふやす必要があります。

配偶者控除が受けられなくなる

配偶者控除や配偶者特別控除を受けている場合は、養われている対象配偶者の年収によって控除が受けられなくなることに注意が必要です。

年収によってどのように変わるのか、詳しく確認していきましょう。配偶者控除は対象配偶者の年収が103万円を超えると受けられなくなります。また、配偶者特別控除は、年収が150万円を超えると控除額が減り、201万円を超えると完全に受けられなくなります。

その結果、パートやアルバイトで働いている人の税金や社会保険料の負担がふえるだけでなく、その夫または妻が納める税金もふえ、家計全体の金銭的負担が大きくなる可能性もあることは否めません。

厚生年金の加入にあたっては、あらかじめ夫婦で相談しておく必要があります。

パート・アルバイトの人は自分に加入義務があるかをチェック!

パート・アルバイトの人は自分に加入義務があるかをチェック!


厚生年金は、従来、会社員や公務員などが加入する年金制度でしたが、時代の変化に伴い、パート・アルバイトとして働いている人へも加入対象者が拡大されつつあります。パート・アルバイトで働いている人は、自分の労働条件を確認し、厚生年金に加入義務があるかどうかをチェックしておきましょう。

なお、適用条件に入る事務所なのに加入していないという場合は、労働基準監督署や年金事務所への相談のほか、退職・転職も視野に入れることが必要です。年金の加入状況は、年に1度届く「ねんきん定期便」でも確認できます。

パート・アルバイトの厚生年金への加入の有無は、本人だけでなく世帯全体に影響します。将来のライフプランも含めて夫婦で話し合い、じっくり検討する必要があるでしょう。

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▼参考資料

  • いっしょに検証!公的年金 | 厚生労働省 (mhlw.go.jp)
  • 適用事業所と被保険者|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 私は、パートタイマーとして勤務しています。社会保険に加入する義務はありますか。|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • パート・アルバイトのみなさま | 社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
  • 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 厚生年金_ガイドブック_従業員向け_210324ol_再入稿_裁ち落し (mhlw.go.jp)
  • No.1191 配偶者控除|国税庁 (nta.go.jp)
  • No.1195 配偶者特別控除|国税庁 (nta.go.jp)
  • 監修者
    柳沢 俊宏さん

    徳島のワイゼットFPオフィス代表。税務署、国税局、財務省主税局で勤務後、独立。顧客利益優先の考えに基づき、相談・提案業務を生業とする独立系FP。

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

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