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覚えておきたい年金手帳の知識 廃止されたってご存知ですか?

20歳になり年金制度に加入すると交付される年金手帳。就職や転職のタイミングで勤務先に提出した経験がある人も多いでしょう。

年金に関する手続きに必要な年金手帳ですが、2022年3月末で廃止されたことはご存知ですか。今回は年金手帳について、その役割や廃止に至った背景、なくしたときの対処法も含めて解説します。

 

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目次


  1. 年金手帳とは
  2. 年金手帳はなぜ廃止されたのか
  3. 年金手帳が廃止されたらどんな影響がある?
  4. 年金の管理もデジタル化が進んでいる

年金手帳とは

年金手帳とは

年金手帳は、新たに年金制度に加入する人に対して、2022年3月まで交付されていました。年金手帳にはどのような役割があり、どういった項目が記載されているのでしょうか。詳しく解説していきます。

年金手帳の役割

年金手帳は、基礎年金番号や加入記録を確認するために使われてきました。年金手帳が必要なタイミングは、主に以下の通りです。

  • 就職したとき
  • 転職して勤務先が変わったとき
  • 退職して国民年金に加入するとき
  • 結婚して配偶者の扶養に入るとき
  • 年金を受給するとき

ライフステージの変化にともなって、年金に関する情報に何らかの変化があったときや、年金を受給するときなどに必要なことがわかります。また、年金手帳には本人確認資料の役割もあり、金融機関の窓口などで手続きをする際にも使われています。

年金手帳の種類と記載事項

年金手帳にはいくつか種類があり、発行された時期によって形式や色が異なります。例えば、1954年5月から1974年10月の間に厚生年金へ加入した人には、厚生年金被保険者証が発行されていました。

〈厚生年金被保険者証〉

〈厚生年金被保険者証〉

出典:日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について 年金手帳等の変遷

1960年10月からは国民年金手帳が発行されるようになり、1974年10月までに国民年金の被保険者資格を取得した人には茶色の年金手帳が交付されました。その後、厚生年金と国民年金の手帳は統合されます。1974年11月からはオレンジ色、1997年1月からは青色の手帳が国民年金と厚生年金の加入者に交付されました。

〈年金手帳〉

出典:日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について 年金手帳等の変遷

また、年金手帳には、基礎年金番号や年金の加入記録のほか、氏名、生年月日、性別、住所も記載されています。年金に関する情報に加えて、本人を特定できる個人情報が記載されていることが、本人確認資料としても使われる理由であると言えます。

年金手帳はなぜ廃止されたのか

年金手帳はなぜ廃止されたのか

それでは、年金手帳はなぜ廃止されたのでしょうか。廃止された理由について、その背景、年金手帳の代わりになるものも含めて詳しく解説していきます。

年金手帳が廃止された背景

年金手帳が廃止された背景には、時代の変化と共に、年金手帳がなくても手続き時に必要な情報を確認できるようになったことがあります。主な要因は「個人の年金情報をマイナンバーと紐づけて管理できるようになった」ことです。

従来は年金の手続きや相談をする際に基礎年金番号の確認に年金手帳が必要でしたが、現在はマイナンバーが分かる資料(マイナンバーカード、個人番号通知カードなど)を提示すれば年金情報の確認ができるようになりました。

また、将来もらえる年金額の試算や保険料の納付履歴・加入期間の確認ができる「ねんきんネット」(日本年金機構のオンラインサービス)も、基礎年金番号だけでなくマイナンバーを使って利用できるようになりました。

年金に関する情報の管理を、基礎年金番号だけでなくマイナンバーを使ってできるようになったことにより、、年金手帳の必要性が低下し廃止されたのです。

年金手帳の代わりになるもの

年金手帳が廃止されてから年金制度に加入した人は、基礎年金番号をどのように確認するのでしょうか。

2022年4月からは、年金手帳の代わりに「基礎年金番号通知書」が発行されます。基礎年金番号通知書が交付されるのは、2022年4月以降に初めて年金制度に加入する人です。

すでに年金手帳を持っている人には交付されないので、引き続き年金手帳を保管する必要があります。年金に関する手続きや相談をするときなど、基礎年金番号が必要な場面では、、マイナンバーがわかる資料がなければ年金手帳で確認することもできます。

〈基礎年金番号通知書〉

出典:日本年金機構 基礎年金番号・年金手帳について 年金手帳等の変遷

年金手帳が廃止されたらどんな影響がある?

年金手帳が廃止されたらどんな影響がある?

年金手帳が廃止されたら、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。年金手帳をなくしてしまった場合の対応も含めて、詳しく見ていきましょう。

年金手続きが円滑になる

マイナンバーカードの普及によって、年金に関する手続きが円滑になります。社会保険の情報をマイナンバーでまとめて管理できるので、今後さらに便利になる可能性もあるでしょう。

一方で、今持っている年金手帳もそのまま使えます。年金に関する手続きで基礎年金番号を確認するときや、年金事務所で相談するときのためにしっかりと保管しておきましょう。

年金手帳をなくしてしまったらどうすればいい?

年金手帳が廃止された今、年金手帳をなくしてしまったときはどうすればいいのでしょうか。

年金手帳は基礎年金番号通知書に切り替わっているため、再発行の申請をするとこれからは基礎年金番号通知書が発行されます。

再発行の手続き方法は、年金受給の有無や加入している年金種別によって異なります。

〈年金を受給している人〉

年金を受給している場合は、年金証書で基礎年金番号が確認できます。そのため、基礎年金番号通知書を再発行する必要はありません。

万が一、年金証書をなくしたときは、年金証書の再交付申請書を年金事務所へ提出すると、後日年金機構から再発行した年金証書が郵送されます。

〈国民年金や厚生年金保険に加入している人〉

国民年金や厚生年金保険に加入している人は、基礎年金番号通知書再交付申請書の提出が必要です。原則、国民年金加入者は年金事務所または居住地の市区町村役場、厚生年金加入者は勤務先に提出します。。

〈共済組合のみ加入している人〉

共済組合にのみ加入している人は、「ねんきんダイヤル」に連絡したうえで手続きに必要な用紙を取り寄せる必要があります。なお、年金事務所に備え付けられた用紙を使用することも可能です。

年金事務所や居住地の市区町村役場で基礎年金番号通知書を再交付する際は、原則、日本年金機構が管理している住所に送付されます。なお、本人であることが確認できる資料を年金事務所に持参すれば、窓口でも受け取ることができます。

年金の管理もデジタル化が進んでいる

年金の管理もデジタル化が進んでいる

年金手帳は、基礎年金番号や加入記録の確認のために使われてきました。しかし、基礎年金番号の代わりにマイナンバーを使って手続きや年金記録の確認ができるようになったため、年金手帳は簡素化して基礎年金番号通知書に変わりました。

2022年4月以降は、年金手帳の代わりに基礎年金番号通知書が発行されていますが、手元にある年金手帳はそのまま使うことができます。万が一、年金手帳をなくした場合は、基礎年金番号通知書の発行手続きが必要です。

政府もデジタル社会の実現に向けて、マイナンバー制度の普及に力をいれており、2022年1月から公金受取口座登録制度が始まっています。貯金口座の情報とマイナンバーをデジタル庁に登録しておけば、年金を受け取る際に口座情報の確認が不要になるなど、今まで必要だった手続きが省略できるようになりました。

マイナンバーカードを利用する人が増えれば、複数の行政機関で個人情報の確認が必要な場合でも、手続きがさらに迅速になることが予想されます。

マイナンバーカードの普及により、今後も年金に関する手続きはより便利になっていく可能性があるでしょう。ただ、現在年金手帳をお持ちの方は、年金に関する手続きで使う機会があるかもしれません。引き続き大切なものですので、しっかりと保管しておくことをおすすめします。

▼参考資料

  • 基礎年金番号・年金手帳について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 本人確認書類(個人のお客さま) | みずほ銀行 (mizuhobank.co.jp)
  • 口座開設時の本人確認書類 | 三菱UFJ銀行 (mufg.jp)
  • 基礎年金番号・年金手帳について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 「ねんきんネット」によるご自身の年金記録の確認|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 公的年金シミュレーターの開設|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 日本年金機構におけるマイナンバーへの対応|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 年金手帳や基礎年金番号通知書をなくしたのですが、再発行はできますか。|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 年金証書・年金額改定通知書・振込通知書の再交付を希望するとき|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
  • 公金受取口座登録制度|デジタル庁 (digital.go.jp)
  • 年金関係|デジタル庁 (digital.go.jp)
  • よくある質問:マイナンバー制度について(総論)|デジタル庁 (digital.go.jp)

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