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普通預金と当座預金の違いを解説!メリットと見分け方を知って使い分けよう

目次

銀行口座には普通預金以外にも、定期預金、総合口座、当座預金、貯蓄預金、大口定期預金、積立定期預金、等の様々な種類があります。各口座の特徴を理解することで、より効率的な資産管理が可能です。

特に、日常的に利用される「普通預金」と、ビジネスシーンで活用される「当座預金」には明確な違いがあります。

この記事では、これら二つの預金口座の特徴やメリット・デメリット、見分け方に関連する役立つ知識について詳しく解説します。

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普通預金は日常生活で利用する口座

ATM

普通預金は、給与の受け取りや公共料金の支払いなど、 日常生活で頻繁に利用される口座です。通帳を発行しない銀行も増えていますが、一部銀行では希望すれば通帳が発行され、ATMやインターネットバンキングを通じて自由に入出金が可能です。

また、口座振替による自動引き落としや、自動受け取りにも対応しています。利息は変動金利で、預金保険制度により、元本1,000万円とその利息までが保護されます。

基本的には本人確認書類があれば口座開設することができます。多くの人が利用していることから日常生活において使用しやすい預金です。

当座預金は小切手決済等で利用する口座

小切手

当座預金について説明する前に、小切手と手形について解説しておきましょう。

小切手も手形も「一定の金額の支払いを約束する証書」のことです。ですから、お金そのものではないけれど、お金の代わりになるものといえます。

●    小切手
一定の金額を支払うことを金融機関に委託する有価証券です。振出人が記載された金額を支払うことを約束した証書で、受取人は小切手を呈示することにより、現金の支払いが受けられます。

●    手形
約束手形と為替手形の総称で、一定の金額の支払いを目的とした有価証券のことです。原則として、支払期日にならないと現金化することができないため、振出人は支払期日まで支払いを猶予することができることになります。

当座預金は、主に企業や個人事業主が小切手や手形の決済に利用する口座です。当座預金に入っている資金はATM等で現金として引き出すことはできず*、小切手や手形を受取った人(企業)がそれを現金化する為の預金となります。

* 通常は現金の引き出しには対応していませんが、一部銀行では当座預金用キャッシュカードが発行される場合もあります

当座預金は「決済用預金」に該当するので、万が一銀行が破綻しても預金保険制度によって、全額保護されます。また口座開設時には、業務実績や行っている事業内容等が確認され、厳しい審査が行われるのが一般的です。

当座預金には利息が付きません。通帳は発行されず、代わりに当座勘定照合表が提供されます。

当座勘定照合表とは、企業の帳簿上の当座預金残高と、銀行が発行する当座勘定取引明細(当座取引照合表)または銀行残高とのズレを確認し、両者の金額を一致させるために使う一覧表のことです。

簡単に言うと、会社のお金の記録と、銀行のお金の記録が合っているかどうかを確認するため、チェックを行うということです。

会社では、「いくらお金があるか」を帳簿に記録しています。しかし、銀行が持っているデータ(通帳のようなもの)と同じ金額になるとは限りません。ズレたまま放置すると、会社に本当はいくらお金があるのかが分からなくなってしまいます。ですので、正確に調べて、ズレを修正することが大切になります。

このように、決済に特化している機能があるため、特別な照合表が存在し、多くの人が普段から使用している「普通預金」とは、かなり性質が異なる預金だといえます。

普通預金と当座預金の違い

銀行の窓口で解説する女性

前述の様に、「普通預金」と「当座預金」は使える用途や使いやすさが異なります。そこでここからは、「普通預金」と「当座預金」の違いについて更に詳しく、比較しながら見ていきましょう。

1. 開設の目的

●普通預金
普通預金は、給与受取や生活費の決済の為に開設します。ATM等から自由にお金を出し入れでき、自由度が高いことが特徴です。日常的な入出金口座といえるでしょう。

●当座預金
当座預金は、企業や個人事業主が小切手・手形の決済の為に開設します。事業用の口座ですので、小切手や手形を持たない一般の人は開設することはできません。

2. 利用の範囲

●普通預金
多くの人が日常生活で使用している様に、銀行窓口やATM等で口座から自由に現金を引き出すことができます。ただし、詐欺などから預金者を護る為に、ATMからの引き出しにおいては1日の上限金額を定めている銀行も多くあります。

●当座預金
大きな資金が動く際に、現金を手元に置いておいたり、持ち歩いたりすると、盗難や窃盗のリスクがあります。そこでその様なリスクを避け、現金の代わりとして小切手や手形が使用されています。

そしてその小切手や手形を受取った人は、小切手や手形をその支払人欄に記載されている銀行に持って行くことで、現金を受け取ることができます。

また、ご自身の取引銀行に持って行くことで、その銀行が支払人欄に記載されている銀行に取り立てを行ってくれます。金額には制限がないことがほとんどで、通常は銀行窓口での対応になりますが、当座預金用のキャッシュカードが発行され、ATMを利用できる銀行もあります。

3. 預金保険の違い(ペイオフ)

預金保険制度は、金融機関が破綻した場合に備えて、預金者の資産を保護する制度です。特に、当座預金のように全額が保護される預金商品は、企業の資金管理において大きな安心材料となります。

ペイオフの仕組み

●普通預金
万一銀行が破綻すると、1金融機関ごとに預金者1人当たり、元本1,000万円とその利息までが保護されます。普通預金の場合は、1,000万円より多く預け入れていた銀行が破綻した場合、1,000万円を超える部分は、破綻した銀行の財産状況に応じて支払われるので、預けていた金額について全額が戻ってこない場合があります。なお、利息の付かない「決済用普通預金」を開設している場合は、預金保険制度により全額が保護されます。
ペイオフによって保護の対象となる金融機関は、預金保護機構のホームページから確認することができます。心配であれば、自身の保有する口座が保護対象の金融機関になっているか確認しておくとよいでしょう。

●当座預金
当座預金や利息のつかない普通預金等の決済用預金は全額保護されています。決済用預金として保護されるには、次の3つの要件があります。

  • 利息がつかない
  • 預金者が払戻しをいつでも請求できる
  • 決済のサービスを提供できる

ですから当座預金の場合、万一銀行が破綻しても、預金保険制度によって資金は全額保護されることになります。たとえ1億円預けていたとしても、1億円全額が保護されます。

4. 金利の差

●普通預金
現在日本では、2024年3月に日銀がマイナス金利政策の解除を決定して以降、金利が徐々に上がってきています。これまで普通預金に預けておいてもあまり利息を受け取ることはできませんでしたが、状況が少しずつ変化してきています。2025年5月現在、メガバンクの普通預金金利は年0.2%なので、1億円預けて1年間で20万円(税引き前)の利息を受け取ることができます。

●当座預金
臨時金利調整法という法律によって利息を付けることが禁止されている為、当座預金に預けている資金には利息が付きません。臨時金利調整法は、簡単にいうと、「お金を借りたときの金利(利子)を、国が一時的に決めることができるようにする法律」のことです。
比較的低金利の現在は、普通預金に預けておいてもわずかな利息しか付かないので、その差はたいして気にならないかもしれませんが、当座預金には比較的大きな資金を預ける人が多いので、この先更に日銀が政策金利を引き上げた場合には、当座預金と普通預金で、受取れる利息に結構な差がつくことも考えられます。

5. 融資機能の違い

●普通預金
普通預金には自動貸付制度があります。自動貸付制度は、普通預金の残高が足りなくなったときに、自動的に銀行が「お金を貸してくれる」仕組みです。
このようなことができる理由は、銀行が「もし残高が足りなかったら、上限○万円までは自動で貸しますよ」と、あらかじめ契約を結んでいるからです。このときのお金は「貸付金」なので、あとで利子をつけて返さなければなりません。
この機能のおかげで、公共料金等、資金の口座引き落としがあった際に、普通預金口座の資金が不足していても、定期預金等の他の預金に資金があればそれを担保に普通預金に資金が貸し付けられ、引き落としがされます。
ただし、普通預金の自動貸付は預金合計の90%、最高200万円など、金融機関によって金額の上限があります。

●当座預金
当座貸越契約を結んでおくことで、小切手や手形の決済時に預金残高が不足していても、あらかじめ決められた金額までは自動的に貸付がされます。例えば、1,000万円の小切手を現金化したい人が銀行に来たとしましょう。当座預金には500万円しか入っていません。この場合、当座貸越契約を結んでおくことで、残りの500万円の融資を受ける事ができ、小切手を現金化したい人には1,000万円が支払われるのです。
小切手や手形を受取った人がそれを現金化しようとした場合、資金不足で現金化できなかったとしたら、その後の信用に関わりますよね。当座貸越契約を結んでおくと、そんな事態を防ぐことが可能なのです。ただし、当座貸越契約を結ぶには厳しい審査を通過する必要があります。

6. 他の預貯金商品との使い分け

●普通預金
前述のとおり、2025年5月現在、メガバンクの普通預金金利は年0.2%となっています。対して、1年の定期預金金利は年0.275%です。100万円預けて、普通預金の利息は1年間で2,000円(税引き前)、定期預金の利息は1年間で2,750円(税引き前)です。
定期預金は、あらかじめ預入期間を決めて資金を預けます。一般的には、期間が長くなるほど適用される定期預金金利が上がる傾向にあります。普通預金と比べて資金の流動性は下がりますが、計画的な資産形成をしたい人にとっては魅力的な選択肢です。

預金金利は数年前よりも高くなっていますが、それでも物価の高騰と比べるとやや物足りないという人は多いでしょう。
更に高い預金金利を期待するのであれば、外貨預金も一般的な選択肢になり得ます。外貨預金口座に適用される金利は、一般的に円預金よりも金利が高い傾向にあり、利息も多く受け取ることができます。
ただし、円を外貨に、外貨を円にそれぞれ換算する際は、為替レートの影響を受ける点には注意が必要です。

普通預金や定期預金、そして外貨預金など、日頃から、それぞれの預金利率に対してのアンテナを高くして、お得な方法を探してみましょう。

▶【関連記事】低金利の時代……定期預金にメリットはあるのか?
▶【関連記事】外貨預金のメリットとデメリットは?資産形成に役立てよう

●当座預金
当座預金は小切手や手形を決済する為の預金です。万が一金融機関が破綻しても、預けてある資金は全額保護されます。一方で、どれだけたくさんの資金を預けていても、利息は一切つきません。
金利の動向や資金の使い道を考えながら、預金だけでなく、外貨預金や投資信託など他の金融商品も組み合わせて資産を分散することが、将来的な安定につながります。特に、当座預金に資金を滞留させすぎず、必要に応じて別の運用手段に振り分ける意識も重要です。

普通預金と当座預金の見分け方

虫眼鏡を持つ男性

銀行口座を開設・利用する際に、「これは普通預金?それとも当座預金?」と迷うことは少ないかもしれませんが、書類や帳簿を整理する場面では区別が重要になります。

また、銀行のホームページや店頭で配布されている資料には、各預金商品についての最新の情報が記載されています。自分の利用目的に合った口座を選ぶためには、定期的にこうした情報をチェックすることも有効です。

普通預金と当座預金は以下のポイントで見分けることができます。

1. 通帳の有無で見分ける

  • 普通預金:通帳が発行されます(オンライン口座などで通帳発行されない場合もあります)
  • 当座預金:通帳は発行されず、「当座勘定照合表」が発行されます

2. 利息の有無で見分ける

  • 普通預金:少額ながらも利息が付きます(変動金利)
  • 当座預金:法律により利息が付きません(臨時金利調整法の影響)

3. 使われ方で見分ける

  • 普通預金:ATMや口座振替など、個人の生活費の管理に使われることが多い
  • 当座預金:小切手や手形の決済がある場合に使われる。企業(法人)や個人事業主の事業用口座として利用される

4. キャッシュカードの有無・ATMでの利用

  • 普通預金:通常、キャッシュカードが発行され、ATMで自由に入出金が可能
  • 当座預金:キャッシュカードが発行されないことが一般的。一部の銀行では利用可だが、基本的には窓口取引

預金口座の選び方を見直してみよう

スマホを見つめる女性

普通預金は、多くの人が知っていて、普段利用している口座である一方で、当座預金は用途や使い勝手が全く異なることがお分かりいただけたかと思います。
当座預金は、小切手や手形を発行する企業や個人事業主が、高額なお金のやりとりや業務での支払いを目的に利用している預金です。
今回は、普通預金と当座預金について解説しましたが、銀行口座には、今回紹介した普通預金や当座預金のほかにも、貯蓄預金・大口定期預金・外貨預金などさまざまな種類があります。

以下の記事では主な預金商品とその特徴を一覧にまとめています。用途に応じた選択の参考にしてください。
▶【関連記事】預金の種類には何がある?実はさまざまな預金科目を徹底解説

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  • 監修者
    水野 崇さん

    水野総合FP事務所代表。個別相談、執筆・記事監修、講師、取材協力などマルチに活躍する独立系ファイナンシャルプランナー。学校法人専門学校非常勤講師。 【メディア掲載】毎日新聞|朝日新聞|中日新聞|東京新聞|朝日中高生新聞|物流産業新聞社|Yahoo!ニュース|女性自身|プレジデントオンライン|日本FP協会 他多数

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号