投資信託がマイナスになった場合に放置しているとどうなる?
投資信託を購入したあとにマイナスの状態になると、売却か放置かの判断を迫られます。ベターな判断は状況によって異なるため、現況を冷静に分析しましょう。こちらの記事で、投資信託がマイナスになった場合に放置する影響や注意点などを解説します。
投資信託を購入したあとに基準価額が下落し、運用状況がマイナスになってしまう事態はあり得ます。マイナスの状態になってしまったときに、売却すべきか放置すべきか迷うこともあるのではないでしょうか。
含み損がでている状態で投資信託を持ち続けるべきかどうかは、購入している投資信託の将来性や現在の資産状況によって異なります。
こちらの記事では、購入した投資信託がマイナスになったときに放置してもよいか判断する際の考え方を解説します。
投資信託がマイナスになったら気にしないで放置していい?
購入した投資信託がマイナスになったとしても、将来的に基準価額が回復することを期待して放置しようと思うかもしれません。
しかし、場合によっては投資信託を放置してはいけないケースがあります。
値動きが下がり続ける可能性がある
投資信託の基準価額の値下がりが続く懸念がある場合は、放置せずに売却を検討しましょう。値下がりが続くと含み損の拡大につながり、損失が大きくなってしまうためです。
たとえば、株式に投資する投資信託は株式市場の影響を受けやすく、景気後退期には大きく値下がりするリスクがあります。また、債券に投資する投資信託は金利変動の影響を受けやすく、金利上昇局面では債券価格の下落に伴い、投資信託も値下がりするケースが一般的です。
ほかにも、REIT(不動産投資信託)は不動産市況や金利変動の影響を受けます。不動産需要が低下したタイミングや、金利上昇局面ではREITの借り入れコストが上昇するため、値下がりのリスクは大きいと言えます。
費用がかかり続ける
投資信託を保有している間は、信託報酬という費用を負担し続ける必要があります。運用状況がマイナスであっても我慢できると考えていたとしても、放置している間に想定外の費用を取られていた、ということにならないよう注意しましょう。
たとえば、信託報酬が年率0.1%の投資信託を100万円分保有している場合、年間で1,000円の費用を支払わなければなりません。
保有している間にどのような手数料や費用が発生するかは、投資信託の目論見書を見れば確認できます。目論見書とは、投資信託の目的や特色、投資のリスクなど投資判断に必要な重要事項を説明した書類です。
目論見書は投資信託を購入する前に必ず投資家に対して交付されます。目を通しておきましょう。
【出典】
一般社団法人投資信託協会「目論見書」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/information/index.html
投資信託がマイナスになったときにやるべきこと
購入した投資信託がマイナスになるということは、自分の資産が失われたことを意味します。損をしてしまったと、焦ってしまうかもしれません。
以下で、投資信託がマイナスになったときに、投資をしている人がやった方がいいことを解説します。
長期投資を見据えた運用を行う
長期投資を前提として資産運用すれば、一時的に投資信託が値下がりしてマイナスになっても慌てずに済みます。マイナスが発生した投資信託があったとしても、冷静に対処すれば全体の資産に損失をもたらすリスクを軽減できるでしょう。
一時的にマイナスになっても、長期的にはプラスに転じる可能性があります。マイナスの状態で売却すると損失が確定してしまい、その後の回復局面で資産をふやすチャンスを逃してしまいます。
自らが保有する投資信託がマイナスになっているということは、当初購入したタイミングよりも安く購入できるタイミングです。長期的に考えて値上がりが期待できるのであれば、安いタイミングで追加購入してもいいかもしれません。
投資信託は、一般的に運用期間が長いほど安定したリターンを得られる可能性が高まります。運用益を投資に回して長い期間投資を続ければ、複利効果により効率よく資産をふやせる可能性があります。
【出典】
一般社団法人投資信託協会「第3回 長期投資のメリットとは」https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/specialist/vol-03/
一般社団法人全国銀行協会「投資のリスクを減らすポイントは「分散投資」と「長期投資」https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-c/3781/
分散が利いている投資信託へ買い替える
投資信託の中には、投資先の国や対象を限定している商品があります。たとえば、日経平均株価との連動を目指す投資信託は日本の株式市場、S&P500との連動を目指す投資信託は米国の株式市場に投資しています。
投資先が限定されていると、投資対象の好不調によって投資信託の基準価額に大きな影響を与えるため、分散効果は小さくなります。
現状、マイナスになっている投資信託の分散効果が小さいのであれば、投資対象が分散された投資信託に買い替えることは一つの選択肢と言えます。安定したリターンを得るうえでは、長期投資と同様に分散投資も重要なポイントです。
たとえば、株式や債券などさまざまな資産にバランスよく投資する投資信託や、全世界を対象としている投資信託は分散効果が期待できます。必要に応じて、より安定した運用が期待できる投資信託への買い替えを検討しましょう。
【出典】
一般社団法人投資信託協会「資産運用と投資信託」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/4/index.html
売却をする
投資信託の銘柄によっては、損切りをする必要性が出てきます。将来的な値上がりが見込めない場合や、値上がりするまでに負担する手数料が重いと感じる場合は、売却した方がよいと考えられます。
売却をして損切りすれば、大損をこうむるリスクを回避できます。自分が購入したときの価額を基準に判断するのではなく、現在を基準にし、投資信託の将来性や期待値をもとに判断することが大切です。
売却するときは、投資信託を解約する手続きを進めることになりますが、銘柄によっては、解約に伴って信託財産留保額という手数料が発生することに注意しましょう。
生活資金を残す
投資信託がマイナスになっていると、購入したときよりも安く購入できるタイミングといえます。投資する金額を増やせば、回復局面で大きな利益を得られる可能性がありますが、生活資金は残すべきです。
生活資金の大半を投資に回し、その後にマイナスが拡大すると、生活に悪影響が出てしまうでしょう。生活費が足りなくなると投資信託の解約を余儀なくされ、損失が確定し、その後の回復局面を逃してしまいます。
損失が確定するうえに本来得られるはずだった利益(逸失利益)が出ないよう、自分のリスク許容度を把握し、最低限の生活資金は確実に保管しましょう。
投資信託はマイナス(元本割れ)になったら借金になる?
投資信託を購入後にマイナス(元本割れ)の状態になっても、借金を抱えている状態になるということではありません。あくまでも投資した資産の一部が失われただけで、借金の心配はありませんので安心してください。
元本割れとは、投資した元本がマイナスになる事態をさします。たとえば、100万円を投資した後に投資商品の価値が100万円未満になると、元本割れの状態になったと表現します。
仮に投資信託の基準価額がゼロになったとしても、投資した金額以上の損失は生じません。損失を補填するために追加で支払う必要もなく、リスクは限定的です。
一方で、株式投資の信用取引やレバレッジをかけたFX投資をする際には、損失が発生したときに追加支払いが必要となるケースがあります。
投資信託はリスクが限定的なので、過度なリスクを取らずに投資できます。生活資金に手を出さないように注意すれば、初心者の方でも購入しやすい投資商品と言えるでしょう。
投資信託がマイナスになっても将来の値上がりが期待できれば放置するのもあり
投資信託はリスク資産である以上、購入後に基準価額が下落してマイナスになる可能性があります。マイナスの状態になると焦ってしまうかもしれませんが、自分の投資方針や投資信託の将来性などを鑑みて、冷静に対処しましょう。
投資信託を購入する際には、長期投資と分散投資を意識するとよいでしょう。また、生活資金と投資資金をしっかり分けておけば、一時的にマイナスの状態になっても慌てずに済みます。
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