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好きな仕事と投資で生活する「ゆるFIRE」とは?30代でセミリタイアしたちーさんのこれまで

ちーさん

近年、会社を早期に退職して資産運用だけで生活する「FIRE」というスタイルが話題です。しかし、FIREを達成するにはかなりの運用益と元本が必要で、一般の会社員がなかなか実現できるものではありません。そんななか、好きな仕事をゆるく続けながら、生活費の一部を運用益でまかなう「ゆるFIRE」という生き方を提唱しているのが、ちーさんです。アラサーで会社員を卒業し、投資と個人事業で生計を立てているちーさんに、ゆるFIREに至るまでの経緯と資産形成に対する考え方を聞きました。

目次


  1. 資産を蓄えて好きな仕事をしながら暮らす「ゆるFIRE」
  2. 1,000万円の貯蓄が資産形成の転機に
  3. 「まずやってみる」スタンスで副業をスタート
  4. 自分に最適な生活レベルを知ることで無理のない節約を

資産を蓄えて好きな仕事をしながら暮らす「ゆるFIRE」

――ちーさんは30代で「ゆるFIRE」を達成して、現在は7,000万円以上の資産をつくって生活されています。まずは、ゆるFIREについて教えていただけますか。

ちー:ゆるFIREとは、生活費の一部を好きな労働でまかなって、残りを資産運用収益でまかなう生活スタイルのことです。ゆるFIREは私が作った造語で、一般的には「サイドFIRE」と言うことが多いですね。

――FIREというと、投資などの資産運用収益だけで生活できる状態をつくり、定年より前に早期リタイアすることですよね。

ちー:そうですね。私が実践するゆるFIREは、生活費の一部を労働でまかなうので、そういう意味では一般的なFIREとは異なります。ただ、労働といっても私が今やっているのはブログやYouTubeの運営など、好きな仕事だけ。それは、資産運用収益があるからこそできることなんです。好きな仕事だけをゆるくやっているという意味では、私の現状はゆるFIREであると同時に「ゆる起業」とも言えるかもしれません。

――なるほど。「いやいや働きたくはないけれど、好きな仕事をゆるくやるのは楽しそう」だと思う人も多そうですね。

ちー:そうなんです。実際、完全にFIREを達成できた人も、しばらくすると仕事を再開するケースが多いです。やはり、仕事を辞めてしまうと社会的なつながりがなくなるし、それは辛いのだと思います。

――確かに、仕事は社会との接点ですからね。

ちー:はい。でも資産がなければ、好きな仕事だけをゆるくやって生活するのは難しい。だからこそ、資産運用収益で生活費の一部をまかなう必要があるんです。

ちーさんのイラスト1

1,000万円の貯蓄が資産形成の転機に

――ゆるFIREができるだけの運用収益を得るには、かなりの額の元本が必要かと思います。ちーさんは高収入が得られる職種だったのでしょうか。

ちー:いえ、そんなことはありません。実は、私は新卒で入社してから数年は年収300万円の会社員でした。職種は事務で、月の手取りは20万円未満。一人暮らしをしていたので、お金に余裕はまったくありませんでした。

事務職のままだと歳を重ねても給料の大幅アップは見込めないので、20代半ばに一念発起して資格取得の勉強をしました。資格を取ったあとは、同じ会社の専門職の部署に異動して、年収もアップしました。

――努力して年収を上げていったのですね。

ちー:部署を異動したときも、私は人事権をもっている人にすごくアピールしたんです。あの部署に行きたい、資格を取ってあの仕事がしたいと。せっかく資格を取っても、人から評価されるのを待つだけでは希望は叶いませんから。

ーー確かにそうですね。努力と同じくらいアピールも大事なことかもしれません。

ちー:はい。ただ、希望は叶って年収は上がったものの、今度は激務に苦しむことになりました。しかも、資格を取得したあとも常に勉強して情報をアップデートしないといけない職種だったので、仕事と勉強でまったく自分の時間がもてない状態が続いたんです。結果として、部屋は荒れ放題のゴミ屋敷になってしまいました。

――そんな状態だったのですね…。その後、ゆるFIREまでの間に何が転機になったのでしょうか?

ちー:今思えば、運用収益も合わせた貯蓄が1,000万円になったことが転機だったと思います。といっても、その頃はとくにいくらためようと考えていたわけではありません。単に激務だったのでお金を使うことがほとんどなくて、知らない間にたまっていただけなんです(笑)。

とはいえ、1,000万円という金額のインパクトはありました。そこから意識してお金をふやしていこうと考え始めたんです。

ちーさんのタイムスケジュール 会社員として激務をこなしていた時代と現在のちーさんの生活の違い(出典:YouTubeチャンネル「ちーのゆるFIREな日々」)

「まずやってみる」スタンスで副業をスタート

――どのようにお金をふやしていったのでしょうか?

ちー:本業と副業、資産運用です。もともと激務で時間がないのが辛かっただけで、仕事自体は好きだったので、そのときは本業を辞めるつもりはありませんでした。

――副業は、具体的に何を始めたのでしょう。

ちー:まずは、資産形成に関する情報発信をするためにブログをつくりました。そのリサーチの過程でサイドFIRE、当時の言葉だとセミリタイアという考え方に出合ったんです。

セミリタイアを知ってからも本業をやめるつもりはなかったのですが、ブログを始めたらそっちのほうが楽しくなってしまって。本業があるとブログを書く時間がなかなかとれないので、その時間を捻出するために会社を辞めたんです。

――やりたい仕事のために辞めたんですね。ブログの運営のために、何か勉強などされたのでしょうか。

ちー:今はサイドFIREに関する情報を主に発信する雑記ブログと別の分野に特化したブログの2つを運営していて、まったく何も勉強せずに体当たりで始めました。何かにつまずいたら、その都度インターネットで検索して対処するスタイルで、ライティングも学んだことはないですし、ただ書きたいことを書いています。

唯一やっていることがあるとしたら、いろいろな人のブログを読むことですね。そうするうちに、どんなふうに書いたらいいかとか、こういう言い回しがいいなとか、生きた知識が手に入るので。

――ちーさんは、とにかくまずやってみるスタンスなんですね。収入については、本業を辞めたことで一時的に落ちたわけですよね。

ちー:そうですね。そのときはまだ、ブログの収入は月に10万円あるかないかくらいでした。もともと、ブログでそんなにお金が稼げるとは思っていなかったので、仕事を辞めたあとも前職絡みの業務委託の仕事はやるつもりでいたんです。でも、そこで世の中がコロナ禍に突入してしまって…。

テレワークで完結できる仕事のほうがいいと思って、もうオンラインで可能な仕事だけでやっていこうと考えました。そこで始めたのが、YouTubeチャンネルの運営でした。今はわりとYouTubeの収益もふえてきて、ブログとYouTubeチャンネルの運営が主な仕事になっています。

ーーYouTubeチャンネルもとくに勉強はせず、自力で始めたのでしょうか。

ちー:はい。動画の撮影方法や編集のやり方もとくに勉強せず、スマホで簡単な動画を撮ってアップするところから始めました。

ーーやはり、行動力で自分の道を切り開いていらっしゃるんですね。

ちー:そうかもしれません。まずはいろいろ試すことにしています。ほかには学生時代からポイ活(ポイント活動)もやっていて、今までにたぶん150万ポイントくらいは獲得したと思います。

あと、せどりもやってみたんですが、どうも自分には合わなくて。結局続いたのはブログとポイ活、ゆるFIRE後に始めたYouTubeでしたね。

ちーさんのイラスト2

自分に最適な生活レベルを知ることで無理のない節約を

ーー気になる資産運用の話に入る前に、支出についてもお聞きします。何か支出に関して、ご自身で決めているルールなどはあるのでしょうか。

ちー:そこまで細かく家計簿をつけるタイプではないのですが、計算するとだいたい住居費込みで毎月12万円くらいの支出があります。ただ一時期、本当にこの支出額が自分に合っているのか疑問を抱いたことがあって、そのときに生活レベルを上げたり下げたりして実験してみたんです。

――へぇ、それは面白い試みですね。

ちー:まず、月の支出額を20万円くらいまで上げてみたのですが、あまり幸福度は変わりませんでした。次に、食費や光熱費を無理やり削って支出額を10万円以下まで下げてみました。すると、それはさすがにひもじく感じて辛かったんです。

ということは、私の幸福度と支出額のバランスでちょうどいいラインは、やっぱり月に12万円程度なんだなと改めて実感できました。それからは、一人暮らしのときも結婚した今もそのラインを基本的な支出額として考えています。たまに大きな支出が必要なこともあるので、そのときは貯蓄から出しています。

月12万円のミニマルライフ
月12万円生活ルーティン 出典:YouTubeチャンネル「ちーのゆるFIREな日々」

――支出は少ないほど良いと考えがちですが、少な過ぎても辛くなってしまいますよね。

ちー:はい。なので、無理に抑える必要はないと思っています。人によって心地良い支出額のラインは違うので、そのラインを見つけられたら、必要な支出額がわかるはずです。どうしてもそれ以上にお金を使いたい場合は、その分収入を上げるしかありません。

とにかくいい暮らしがしたいなら、そのために働いてお金を稼ぐ。夫は浪費家なので、私よりたくさんお金を使う分たくさん働いていますが、見ていて幸せそうなのでそれも一つの生き方だと思います。

  • 取材・文:山田井ユウキ

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ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号

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