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東京から地方に移住1万人「デジタル田園都市国家構想」とは

「デジタル田園都市国家構想」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。政府が2022年末に閣議決定した政策で、地方のデジタル化を重点的に進め、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)から地方への移住を年間1万人にふやすことなどを柱にしています。コロナ禍でテレワークが定着する中、都市部に暮らす必要性はかつてより薄れており、地方への移住は現実味を帯びています。「デジタル田園都市国家構想」とは何か、国の政策を解説します。

目次


  1. 1,200の自治体にサテライトオフィス 「転職なき移住」めざす
  2. 東京23区の20歳代、半数以上が「地方移住に関心がある」
  3. 国が地方移住を後押し 選択肢の一つに

1,200の自治体にサテライトオフィス 「転職なき移住」めざす

1,200の自治体にサテライトオフィス 「転職なき移住」めざす

「デジタル田園都市国家構想」とは、デジタル化を進めて地方と都市部の格差をなくし、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」をめざす構想です。2021年の自民党総裁選で岸田文雄氏が看板に掲げ、2022年12月に「デジタル田園都市国家構想総合戦略」として閣議決定しました。閣議決定とは、この内容を国として進めるということです。

具体的には、どんな内容なのでしょうか。主な数値目標は、以下の通りです。

  • 東京圏から地方への移住を年間1万人にふやす
  • テレワークができる地域の拠点「サテライトオフィス」を持つ自治体を1,200にふやす
  • デジタル化に取り組む自治体を全国で1,500にふやす
  • 専門的なデジタル能力がある「デジタル推進人材」を2026年度までに230万人育成する
  • 高齢者にデジタル端末の利用方法を教える「デジタル推進委員」を2027年度までに5万人確保する
  • 高速通信規格「5G」の人口カバー率を2030年度に99%にする
  • 光ファイバー回線の世帯カバー率を2027年度に99.9%にする

こうしたデジタル化の目標を達成することで、例えば転職せずに移住できる「地方創生テレワーク」を進めたり、どこに住んでいても切れ目のない医療や母子保健サービスが受けられるようにしたりして、地方で暮らす不安をなくすことをめざしています。地方からの人の流出を防ぎ、逆に地方に向かう人の流れを作って、地方の活性化を進める政策です。

東京23区の20歳代、半数以上が「地方移住に関心がある」

政府が地方のデジタル化を進めるのは、東京一極集中の人の流れがコロナ禍でも止まらず、地方の衰退が進んでいるからです。地方から東京圏への転出超過は毎年10万人前後に上り、コロナ禍の2021年度も83,827人が地方から流出しました。

東京23区の20歳代、半数以上が「地方移住に関心がある」

出典:内閣府「第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査/地方移住への関心(東京圏在住者)<n=10,056>」

一方で、都市部では地方移住に関心が高まっています。コロナ禍で内閣府が半年ごとに行っている調査では、東京圏在住者で地方移住に「関心がある」と答えた人は2022年6月時点で34.2%に上り、2019年12月の25.1%から徐々にふえています。20歳代で関心がある人は45.2%(2022年6月)で、東京23区の20歳代に絞れば50.9%でした。東京の中心部に住む若者の2人に1人が地方移住に関心があるということになります。

同じ調査で、東京圏で地方移住に関心がある人に理由を尋ねたところ、最も多いのは「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」(34.5%)でしたが、その次は「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」(24.5%)でした。ただ、懸念として「仕事や収入」をあげる人が50.2%に上りました。移住できる環境が整えば、移住したいと考える人は少なくありません。

国が地方移住を後押し 選択肢の一つに

国が地方移住を後押し 選択肢の一つに

「デジタル田園都市国家構想」については、政府内に担当の大臣も置かれています。岸田首相は2021年末に「総額5.7兆円を投入し、地域の課題をデジタルで解決していく」と話しました。今年1月には国会の演説でも「地方が元気になることが日本経済再生の源です」と述べて、引き続き看板政策として進めていく方針を示しました。

コロナ前の日常生活が戻りつつあるとはいえ、リモートでのワークスタイルが定着したという人も多いでしょう。環境さえ整えば、地方に移住したいという方もいらっしゃるかもしれません。国が地方への移住を後押ししていることを踏まえて、移住も選択肢に、今後のご自身のライフデザインを考えてみてはいかがでしょうか。

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