【VS討論】会社員一筋vs副業・自営業、幸せな働き方はどっち?収入の安定や時間の使い方、社会保障についてぶっちゃけ討論しました!
日本でも「働き方改革」が進み、多様なワークスタイルが認められる時代が到来しました。「終身雇用」や「年功序列」が過去のものとなり、「パラレルキャリア」という言葉を聞く機会もふえたのではないでしょうか。パラレルキャリアとは、生活の軸となる本業をもちながら、副業やほかの企業への所属、ボランティア活動など、第二の活動を行うことを指します。目的はさまざまですが、「空いた時間にスキルアップ・キャリアアップしたい」「人生をより豊かなものにしたい」などがあげられるでしょう。一方で、「安定した生活を送るだけの給料があればいい」と、会社員として本業に専念する人もいます。そこで今回は4人のパネリストが「会社員一筋派」と「副業・自営業派」に分かれて、それぞれの働き方について討論しました。メリットやデメリットが浮き彫りになっていく様子を、ぜひご覧ください!
<登場人物紹介>
会社員一筋派:奥山さん
某大手新聞社に長年勤め、現在はそのグループ会社に出向している「会社員一筋派」。新聞記者として20年以上の実績をもつちょっぴりシニカルな論客。
会社員一筋派:川田さん
事業会社の営業からキャリアをスタートし、WEB制作会社など、さまざまな会社員経験をした「会社員一筋派」のさすらい人。2歳の子どもの母親でもある。
副業・自営業派:千絵ノムラさん
ライター、劇団主宰・劇作家、書店勤務、スナックのママ、TV番組制作会社の手伝いなどマルチな働き方をしている、まさに「自由業の女神」。「副業・自営業派」として参戦。
副業・自営業派:山下さん
フリーのライターとして活動する「副業・自営業派」。今は出版社の契約社員としても働いており、半分自営・半分勤め人の悲しきケンタウロスとも言える。
どんな働き方でも「やりたい仕事だけをやる」わけにはいかない!
トウマ:社会的に人材不足の声が大きくなり、「副業人材の活用」がこれからの働き方のキーワードになっていくでしょう。実際に、副業人材を活用している企業の担当者または決裁者400名を対象にした「副業人材活用の実態と2023年のマーケット予測」に関する調査では、「2023年は副業人材活用をさらに強化したい」と回答する方が約半数に上ったそうです(※1)。副業マーケットが広がっていくなかで、私たちはどのような働き方、ひいては長い人生のプランを考えていけばいいのでしょうか。「VS討論」、司会のトウマです。
※1「副業人材活用の実態と2023年のマーケット予測」に関する調査(「HiPro(ハイプロ)」運営会社:パーソルキャリア株式会社)より
奥山:これはまた、壮大な始まり方を……。だいたいあなたは会社員なんですか?それとも自営業?
トウマ:そうですね。あえてその質問に答えるなら、“仕事人”と言ったところでしょうか……。
奥山:(ちょっと何を言っているかわからない…)
トウマ:ゴホン。それでは、皆さんの経歴について聞いていきましょうか!まず奥山さんからお願いします。
奥山:新聞社に入って20年以上、新聞記者をしてきました。今はグループ会社に出向して9か月ほどです。仕事内容はガラッと変わりましたが、所属はほぼ今まで通りです。
川田:新卒では、事業会社に営業として就職しました。その後、ライフスタイルの変化に伴い3度の転職を経験して、今はコンテンツ制作会社で働いています。
ノムラ:大学生の頃から劇団に所属していて、卒業後も演劇を続けていました。劇団を退団後、留学、劇団の立ち上げを経て、演出家・劇作家・役者と、今はライター業やTV番組制作のお手伝いなど、自由に仕事をしています。
山下:雑誌やWEB媒体を中心に、取材とライティングを仕事にしています。会社員としての経験はほぼなくて、大学院を卒業してからの自営業歴は11年です。
トウマ:ずっと同じ会社にいる人から、転職経験のある人、さまざまな生業をもつ人まで今回はパネラーの経歴がバラエティ豊かですね。自営業と比べて会社員のほうが「安定している」というイメージがありますが、今の働き方にどんな良さを感じていますか?
奥山:今の時代、会社員は「安定している」というよりも、ぶっちゃけ「当面の安定はある」くらいじゃないですかね。ただ、当面の安定があるからこそ、家を借りるときやローンの審査も通りやすい。社会的な「信用がある」というのが良いところですね。
川田:「自分で取ってこなくても仕事がある」というのは大きいかもしれません。私は会社という枠がなかったら、だらだらと生活してしまいそうで…。
山下:これは本当にそうですよね。会社が「目標」を示してくれるので、それに向かってみんなで一丸となって進んでいけるのはうらやましいです。
ノムラ:私の場合はいろいろな形で仕事をしているので、それらがつながっていくのが楽しいです。たとえば、勤めている代官山の書店で自分の「推し」の漫画家さんのフェアを企画したことが縁で、対談記事のライティングの依頼を受けたこともありますよ。
トウマ:役割が決められている会社員には、なかなか体験できないことですね。
山下:収入面とか生活面の事情もありますが、自営業は自分が許せばなんだってできるというのはメリットですね。平日に昼まで寝ていることもできるわけですし。
奥山:転勤や異動がないのはうらやましいです。私は新聞記者時代、3年に1度は転勤していたので。家族がいる人は、単身赴任なども考えないといけませんよね。
川田:会社員だと、どうしても自由度は低いですよね。とくに大きな会社に所属している場合は、全く興味がない事業部に配属されてしまうことも…。
山下:自営業も、やりたい仕事だけをできるわけではありませんよ。私自身もライターとは名乗りつつ、「何でも屋」みたいなものなので。苦手な仕事も笑顔で「ぜひお願いします!」と言わなきゃ、暮らしていけないですからね。
トウマ:やりたい仕事だけで食べていけないのは、どの働き方でも同じなんですね。
ライフスタイルに合った「お金」と「仕事」の良い距離感とは
トウマ:では、会社員と自営業のお金事情について切り込んでいきます!ぶっちゃけ、今の収入に満足していますか?
山下:私はフリーランスではありますが、出版社の編集部と契約して仕事をしているので、ある程度安定している方だと思います。今の状態でも満足はしていますが、もう少し仕事がふえると嬉しいかな。
川田:私は給与面の条件を重視して転職したので、満足しています。前の会社はWEBメディアのベンチャー企業で、仕事は楽しかったのですが、コロナ禍で業績が落ち込んでしまって…。当時は年収ベースで200万くらい下がったんですよ!
トウマ:自営業と会社員の2人で、収入の安定性に逆転現象が!
ノムラ:私はやっぱり収入に波がありますね。TV番組制作会社や書店でのお仕事はある程度決まったお金がいただけますが、水曜日のみ営業しているスナックのママの仕事は歩合制ですし。ライターの仕事は、依頼の数と自分の行動量次第なところもあって。
奥山:私も給料に不満はありません。ただ、それだけが目的で仕事をしているわけでもないかな。やりがいなども大切ですよね。
ノムラ:私もやりがいとか、夢とか、お金じゃない部分を求めて生きてきたので、収入に関しては、ある程度割り切っているところがあるかも。
山下:でもがんばるほど収入が上がるというのは、モチベーションアップにつながりませんか?
ノムラ:確かにモチベーションは上がりますね!人生にメリハリがつくというか、喜びも悲しみも実感できるというか!
奥山:そこですよね。とくに大手の会社だと、「昇給の幅」と「仕事の成果」がリンクしないんですよ。「がんばったからお金がたくさんもらえた!」「もう少しがんばれば、もっともらえたのに」みたいに一喜一憂できることは少ない。「給料」と「実際の働き」との距離感は、これからの時代に働き方を選ぶための大きな要素なんじゃないでしょうか。
川田:仕事のやりがいは軸の一つとしてほしいところですが、転職をしてきた身としては、その分「条件」にもシビアになってしまいます。私は転職することで、自分のやりたい方向やライフスタイルに合った会社を選んで進んできましたが、ずっと同じ会社にいれば得られていたはずの信用とか、退職金などは望めない人生になってしまったので…。
トウマ:なるほど…。副業・自営業派のお2人は、できるだけ収入を安定させるためにやっていることはありますか?
山下:「先々の仕事を仕込む」という意識をもって、目の前の仕事を進めるのは大切ですよね。一定水準の成果品を納めるだけだと、「ほかの人を使おう」と思われてしまう可能性もあるわけなので、クオリティを高めることも考えないと。
ノムラ:「先々の仕事を仕込む」っていうのは納得です!私は遊びでも仕事でも、公私ともにアンテナを張りめぐらせて記事になりそうなネタをストックしています。それも「仕込み」ですよね。
山下:知り合いに「仕事が少なくて、困ってるんです」と伝えるだけでも、状況が変わることはありますから。
ノムラ:仕事で出会った人がスナックに来てくれて、そこでの話が次の仕事につながることもあります。相乗効果を生む形を作るのも「仕込み」のうちでしょうね。
トウマ:やっぱり、フリーランスの場合は人とのつながりも仕事のタネなんですね。
環境が整備されて会社員のプライベート時間にも変化が!
トウマ:次のテーマは、プライベートな時間について!副業・自営業派のお2人は、「自営業だと自由に時間を作れていいでしょ?」といったことを言われた経験もあるのでは。
山下:ええ、でもとんでもない話ですよ!ある意味、フリーランスが一番「ブラック」な働き方かもしれません!フリーランスは、「仕事を休む=収入減」ですから。
ノムラ:私も3年ほど前に体を壊してからは、週1日は休みを取るようにしました。それまでは365日毎日動いて、1日に予定が4つ入る日もあったので…。
川田:えー!まさに詰め込んじゃうタイプですね!
トウマ:千絵ノムラさんの仕事内容を聞いただけで、なんだかわかる気がします。
山下:私の場合は編集部に毎日出社しつつ、土日はフリーで仕事を受けることも多いですね。最近はできるだけ完全なオフ日を作るように考えているところです
トウマ:フリーランスも楽じゃない、と…。最近は「働き方改革」という流れもありますが、会社員一筋派のお2人はいかがですか?
川田:過去には、辞令で子会社へ出向になり、「シフト制の土日勤務・夜勤あり」みたいな環境で働いたことがあります。そこで最初の転職を決めたわけです。今は仕事をしながら家族との時間も作れているので、「働き方改革」の恩恵を受けられているのではと思います。
奥山:私も新聞記者時代はかなり無茶苦茶な働き方をしていました…。でも、最近は会社が主導で、社員の働き方を改善するよう動いていると思います。社員が自分のライフスタイルや事情に合わせて無理せず働け、等しくパフォーマンスを発揮できる環境が、整いつつあるのではないでしょうか。
トウマ:働き方改革の恩恵は、会社員のほうが受けられそうですね。
奥山:うちの新聞社では、管理職になるとメールを送る時間を強く指導されるようになりましたよ。8時前、20時以降にはメールを送ってはいけないとか。
山下:普通に朝の4時に仕事のメールが入っているフリーランスとは大違いですね …。見てしまったら最後という。
ノムラ:TV番組制作会社も以前は過酷な職場のイメージでしたが、今は改善しているようですね!
トウマ:社会が変わりつつあるんですね。では皆さんがプライベートな時間を作るために心がけていることはありますか?
山下:裁量労働なので、できるだけ仕事を早く終わらせて「これ以上は受けない!」という基準やルールを決めておくことでしょうか。「明日、取材いける?」といった依頼が急に来ると、休むと決めていても受けちゃったりするので。
奥山:そんなときはもうスマホの電源を切りましょう!私も新聞記者時代は、常に連絡が取れる状態にしておくことが当然で、映画も観にも行けなかったので。その点、山下さんの気持ちはわかります。
トウマ:確かに!それしかない!
社会保障制度は会社員が完全有利?自営業者が自分を守るには
トウマ:福利厚生面で、会社員のメリットを感じる点はありますか?
川田:会社の備品やパソコンなどの支給品、オフィスも無料で使用できるのは良いですよね!
ノムラ:たしかに!自営業はそのあたりを経費にできますが、結局は自分でお金を払うわけですし。
奥山:産休(産前産後休業)や育休(育児休業)、傷病休職など、社員を会社全体でサポートをする社会保障制度の存在は大きいですよね。
山下:正直、完敗です。社会保障に関しては。反論する余地がない…。
ノムラ:1年に1回、健康診断が受けられるのもうらやましいですよ!
トウマ:なんか副業・自営業派が意気消沈してしまったような。
山下:なんという酷な質問をするんですか!健康診断…自分じゃなかなか行かないですよね。
ノムラ:年齢のこともありますし、自腹を切ってでも行くべきなんですけどね。
トウマ:もしものときに、自分を守るためにしていることはありますか?
山下:生命保険に入るとか、それくらいですかね。
ノムラ:私は若い頃から、いち早く保険には入っていました。考え方は人それぞれだと思いますが、こういう働き方をしている以上、そこはちゃんとしておかないと。医療保険や生命保険、貯蓄型のものなど、いくつか加入しています。
一同:おおぉ~!
山下:あとは投資ですかね。2024年にはNISAの制度が大きく変わりますし、やっておいた方が良いよなとは思いつつ、まだ動けていないのですが…。
時代に取り残されないために。スキルアップにはそれぞれの形がある!
トウマ:では、最後は自分自身のスキルアップや成長がテーマです!皆さんは今まで、どのようにスキルアップをされてきたのでしょうか?
奥山:私の場合は15年ほど前に、紙媒体からデジタルの部署に立候補して異動しました。当時は珍しくて、変人扱いされましたけどね。
トウマ:紙媒体がまだまだ主流の時代にですか!?
奥山:会社員として仕事をするなかでも、新しいジャンルにチャレンジすることでスキルアップを目指せます。周りから変わり者と言われたとしても、人事や経営層のアンテナには引っかかるんじゃないですかね。
山下:私にとってのスキルアップは、居場所がなくならないよう、しっかりと自分をアップデートしていくことですかね。常に新しい人に出会って、新しい情報にふれて、流行りも知っておかないと、取り残されてしまうので。
トウマ:次から次へと新しい情報やツール、スキルは出てきますからね。
山下:技術という面では、ライティングは単純に書くスピードが上がれば実質的な時給も上がるので、効率の良い書き方を磨いていかなければなりません。「情報と技術の刷新」がフリーランスに必要なスキルアップなのではないでしょうか。
ノムラ:私も山下さんと同じように、職業柄、人との出会いが多いので、一期一会を大切にしています。何がきっかけで仕事につながるかわからないですからね!ライターとしてのスキルアップという意味だと、意識しているのは自分の「強み」をもつことです。
トウマ:ニッチなジャンルに特化するということでしょうか。
ノムラ:そうです。たとえば、日本舞踊をやっていて着物を着ることも多いので、着物についてもっと学んでいけば、ライターとしての幅も広がるかな、とか。
トウマ:なるほど、いろんな形のスキルアップがあるんですね。川田さんはいかがですか?
川田:私は3度の転職を経験して、前回の転職のときに痛感したことがあります。それは「職務経歴書」をもっと充実させないと、次につながらないということです。年齢を重ねるほどに、それが顕著になっていくのを感じています。
トウマ:常に次のステップアップを意識しているんですね。
川田:社内で働き続ける分には問題はないかもしれませんが、次の会社へと考えると平均以上の仕事をしたという実績・キャリアが大事になると思っています。
トウマ:皆さん、ありがとうございます!読者の方々にも参考になる部分があったのではないでしょうか。では最後に、あなたはなぜ今、会社員または自営業で働いているのでしょうか?一言で教えてください!
奥山:「会社員を辞めないとできないこと」がないから、ですかね。
川田:会社員じゃないと人間としてダメになりそうだから!転職という最終手段もありますしね!
山下:社会保障や福利厚生面でのうらやましさはありますが、自営業だと自分の裁量で仕事と暮らしのバランスを決められるからですね。
ノムラ:自分のやりたいことがすべて詰まっているのが、今の働き方(自営業)だからです!
まとめ
今回もさまざまな角度から意見が交わされた「会社員一筋派VS副業・自営業派」の討論。氷山の一角ながら、パネリストたちから「多様な働き方」の一例を聞くことができました。そしてわかったのは、以下の内容です。
【今回の討論でわかったこと】
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どんな働き方にも、正解はありません。収入ややりがい、社会保障やスキルアップなど、今回の討論が、ご自身の「働き方」や「生き方」について改めて考えるきっかけになれば幸いです。
- 編集:サムライト株式会社
- 取材・文:庄子洋行
- 撮影:豊島望
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