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がん保険を検討する前に知っておきたい「上皮内新生物」とは?

医師

上皮内新生物であると診断された場合、がん保険によって給付金を受取れるかどうかが異なるケースがあります。

では、この上皮内新生物とはどのようなものなのでしょうか?

この記事では医療用語としてではなく、保険に加入する上で知っておくとよい知識について掘り下げていきます。

がん保険を選択する際の参考にしてください。

 

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目次


  1. 上皮内新生物とは?悪性新生物とは違うの?
  2. 上皮内新生物でも給付金はもらえるの?
  3. 早期発見が一番の鍵
  4. 大切なことは早期発見する努力

上皮内新生物とは?悪性新生物とは違うの?

上皮内新生物とは?

それでは、悪性新生物との違いは何かを紹介していきます。記載にあたっては、国立研究開発法人国立がん研究センターの解説やデータを参照しています。

悪性新生物とは

私たちの体の正常な組織細胞は、必要以上に分裂しないように調整されていますが、そこから外れて自律的に増殖を始めるようになった組織が「新生物」です。
新生物には、良性と悪性があり、それぞれ「良性新生物」「悪性新生物」と呼ばれます。この悪性新生物ががんに分類されます。

上皮内新生物と悪性新生物の違い

上皮内新生物も悪性新生物もどちらもがん細胞です。違いは、がん細胞が基底膜(きていまく)を超えずにとどまっているか、基底膜を超えて深く浸潤(しんじゅん)しているかどうかという点です。

がんの発生と進行

上皮内新生物は、がんではあるものの、悪性新生物とは区分されます。治療によりほぼ完治し、転移の可能性が極めて低く、悪性新生物に比べるとそれほど怖くないものです。

それに対して、悪性新生物は、体内に存在する正常な細胞の遺伝子が傷つけられることによって発生し、転移の可能性が高くなります。
悪性新生物は通常の細胞と比べて血管やリンパ管に流れやすく、他の臓器へ転移しやすい性質を持っています。
増殖した悪性新生物が正常な細胞にも広がっていき、体力を消耗させたり、臓器の働きを妨げたりします。

がんが体にどの程度広がっているかは「ステージ」という言葉で表します。ステージを把握しておくことは、がんの治療を進めるうえでの判断材料となるため、とても大切です。
ステージは、がんの広がり方を基準として、大きく0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の5段階に分けられます。

進行度を示すステージの数字が小さいほど、がんが狭い範囲にとどまっていて、治療効果が得られやすいとされています。逆に、がんが身体の中で広がっている範囲が広いほど、数字が大きくなり、治療が難しくなります。
がんは、0期あるいはⅠ期といった初期の段階で治療できれば、5年生存率が90%以上となり、治る可能性が高まります。

5年生存率とは、がんと診断されてから5年後に生存している患者の割合のことです

しかし、初期のうちは自覚症状がほとんどないため、発見が遅れて、ステージが進んでしまいがちです。そこで、自覚症状がないうちから定期的にがん検診を受け、早期発見・早期治療につなげることが大切だと言われています。

上皮内新生物の罹患率

上皮内新生物の罹患割合を国立がん研究センターの2019年の統計データから読み取っていきましょう。
男性の場合は全体の9.2%であるのに対し、女性の場合は全体の13.3%と、女性の方がやや多くなっています。

上皮内新生物と悪性新生物の割合(男性)
上皮内新生物と悪性新生物の割合(女性)

女性の方がやや多くなっている理由は、子宮頸がんが上皮内新生物と診断されることが多いからだといえます。

上皮内新生物でも給付金はもらえるの?

給付金を期待する女性

では、上皮内新生物と診断された場合、がん保険の給付金は支払われるのでしょうか。

給付金の支払条件によって異なる

給付金の支払条件は、保険の種類によって異なります。
最近は、悪性新生物と上皮内新生物を区別せず、同じように給付金を支払うタイプが増えています。しかし、がん保険の種類によっては、給付条件に差をつけているケースもあります。

特に大きく異なってくるのは、がんと診断された時に受け取れる診断給付金と、がんで手術を受けた時に受け取れる手術給付金です。その他に入院給付金、通院給付金、先進医療特約の保障がありますが、この点では差はほとんどないと考えて良いでしょう。

診断給付金については、特に給付金額と支払回数に差が出ることがあります。
また、上皮内新生物そのものが保障対象外である場合は、上皮内新生物だけでなく、皮膚がんや非浸透性のがん等も保障対象外としていることがあります。
逆に、上皮内新生物であった場合も減額されず、悪性新生物と同額の給付金が受け取れる保険もあります。

上皮内新生物における給付は必要?

女性特有のがんである、乳腺の非浸潤性乳管がんでは、治療費に約20〜30万円(自己負担が3割の場合)かかり、多くの上皮内新生物の治療と比べると多くの費用がかかると言われています。

乳房を温存するか、切除などの手術方法によって異なります。

本来、上皮内新生物は小さな腫瘍ですが、非浸潤性乳がんの場合は乳管にそって広がっていることがあります。その様な場合、乳房を全摘出しなければならないこともあります。
そうなると、上皮内新生物の治療に加え、乳房再建術などを受ける可能性もあります。また、他の上皮内新生物は切除手術だけで済むところ、非浸潤性乳管がんの場合、放射線治療やホルモン剤治療などの併用が必要な場合があります。

このように女性の場合、乳房の上皮内新生物である非浸潤性の乳がんに罹ると、悪性新生物の乳がんと同様の治療が必要となるケースがあります。

抗がん剤治療やホルモン剤治療を長期間に渡って続けなければならなくなると、たとえ高額療養費制度を活用してもトータルの医療費はかなりの金額になることがあります。
そのようなリスクを心配される場合は、上皮内新生物も十分に保障されるがん保険に入っておいた方が安心だと言えるでしょう。

早期発見が一番の鍵

検査による早期発見

上皮内新生物は、浸潤や転移がないので、基本的に腫瘍を切除すれば治療は終わります。手術後に、継続的に抗がん剤治療するといったことはないようです。

悪性新生物に進行する可能性が高い腫瘍とはいえ、通常はその治療は良性の腫瘍と同様ですので、上皮内新生物の段階で切除すれば根治する可能性が高まります。
とはいえ、上皮内新生物の発生場所によって手術の内容や費用は異なるため、あらかじめ知っておいた方がいいでしょう。

健康診断とがん検診

健康診断は対象の病気を定めず、健康かどうか、身体に異常がないかどうかを調べます。
一方、がん検診は、がんに的を絞って罹患しているかどうかを調べるためのものです。

胃や大腸、肺、乳房、子宮など、がんができる部分が異なればがんの特徴も変わってきます。がん検診では、それぞれのがんを調べるのに適した検査が用意されています。
がん検診の一次検診で異常があった場合、精密検査(二次検診)で本当にがんかどうかを調べ、そこでがんと確定した場合、必要に応じて医療機関で治療する流れとなります。

がんを早期発見する方法

がんは早期発見で9割が治ると言われています。初期は症状がほとんどないため、気づかぬうちにがんが進行していることもあります。
がんの心配がないうちから定期的に検査を受けておけば、万が一がんが見つかっても、早期治療ができるので、心身の負担・経済的な負担が減らせます。

健康診断とがん検診は目的が大きく異なることを理解し、積極的にがん検診を受けるようにしましょう。特に若い人でも、がんに罹患する可能性はあるので、可能な限り受診することをお勧めします。

大切なことは早期発見する努力

がん検診

上皮内新生物と診断された場合に、給付金が支払われるがん保険もありますが、保障の範囲が広くなるため一般的に保険料が高くなります。
上皮内新生物の場合は、治療期間も比較的短い期間で済むことが多いと考えると、預貯金で対策をするという考え方もあります。家計の負担も考えると少しでも保険料は安くしたいものです。

ただ、男性と比べると、女性の方が上皮内新生物になる確率が高いため、もし気になるようでしたら上皮内新生物でも給付されるがん保険を検討してみましょう。
大切なことは上皮内新生物で給付されるかということよりも、どうすれば早期発見できるのかということではないでしょうか。発見できなければ治療もできませんし、がん保険の給付を受けることもできません。

日頃から定期的にがん検診を受け、がんを早期発見する方法についても、一緒に考えていくと良いのではないでしょうか。

▼参考
国立研究開発法人国立がん研究センター「全国がん罹患データ(2016年~2019年)」
集計表ダウンロード:[国立がん研究センター がん統計] (ganjoho.jp)

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