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がん保険は必要か?何歳から入ればよい?年代別加入率もご紹介

健康保険証と診察券

日本には公的保険制度のひとつである健康保険があります。

医療機関や薬局の窓口で負担する治療費は、健康保険が適用されると、3割負担(現役世代の場合)になります。加えて高額療養費制度によって、ひと月あたりの治療費も年齢や所得区分に応じた一定額の自己負担で良い仕組みになっています。

 

このような充実した公的保険制度がある中で、わざわざ民間のがん保険に加入する必要はあるのでしょうか?

今回は、がんの治療において、健康保険で可能な治療と自己負担で行う治療との違いについて解説します。また、世の中の人たちが一般的に何歳くらいでがん保険に加入をしているのかも、年代別加入率としてご紹介していきます。

目次


  1. がん保険の必要性
  2. がん治療で行われる先進医療とは?
  3. 保険適用外の抗がん剤とは?
  4. がん保険の加入率
  5. がんの治療は自己負担額が大きくなる可能性もある

がん保険の必要性

がん保険の支払対象となる疾患のイメージ

がん保険にはどのような保障があるのか?そして、がんの治療にはどのくらいのお金がかかるのか?健康保険で賄うことは難しいかどうかについて考えていきます。

がん保険のしくみと給付内容

がん保険とは、がんに罹患したときの費用をカバーしてくれる保険です。
一般的な医療保険が、がん以外の病気やケガでも保障対象となるのに対し、がん保険はがんに特化しています。つまり保障の範囲だけで見れば、医療保険の方が多くの疾病をカバーしていることになります。
このがん保険で受け取れる給付は、保障の内容により様々ですが、一般的な給付項目は以下のとおりです。

  • がんと診断されたときに給付される「がん診断給付金」
  • がんで入院したときに給付される「がん入院給付金」
  • がんの手術を受けたときに給付される「がん手術給付金」
  • がん治療で通院したときに給付される「がん通院給付金」
  • がんで先進医療を受けたときに給付される「先進医療給付金」
  • がんで放射線治療や抗がん剤治療を受けたときに給付される「放射線・抗がん剤治療給付金」

保険商品によって、給付内容や特徴は様々ですが、一般の医療保険との大きな違いが2つあります。
ひとつは、がんと診断された時点で一時金が支給される「がん診断給付金」という考え方があることです。がんと確定させるには様々な検査があり、検査時点では健康保険が利かないケースもあります。

しかし、がんの兆候が見られるならば徹底して検査したいと考えるのが一般的な考え方ではないでしょうか。そのため、自費で様々な検査を受けることになることもあり得ます。その結果、がんでなかったならば、その後の検査費用は働いて補填することができるかもしれません。

一方で、もしがんと診断確定されたならば、今度はその後の治療費にお金がかかるため、この時点でまとまったお金が給付されることはとてもありがたいことです。まとまったお金があれば、治療計画も立てやすいと言えます。

もうひとつが「先進医療給付金」や「放射線・抗がん剤治療給付」です。
がんは症状や治療効果が人によって大きく異なるため、健康保険適用外の治療を選択したいと思うときが来るかもしれません。このようなときに治療費が原因で断念するのは、本人にとっても家族にとってもつらいことです。給付金を受け取れることによって、がん治療法の選択の幅が広がることは大きな安心に繋がります。

健康保険でどれだけカバーできるのか

がんに特化して、手厚い保障があるがん保険ですが、がん保険に加入していなかった場合、健康保険でどれだけ治療費をカバーできるのでしょうか。
がんの治療を健康保険が適用されるかどうかで分類すると「標準治療」「先進医療」「自由診療」の3つがあります。

健康保険が適用される部分

「標準治療」とは、現在の治療法の中での最良の治療法と定義されており、健康保険が適用される科学的根拠のある治療法です。
一方で「先進医療」は技術料がすべて自己負担となるもので、将来的な保険導入のための評価を行うものとして、未だ保険診療の対象に至らない先進的な医療技術等と保険診療との併用を認めたものです。

「自由診療」は公的な保険制度の適用外となり、保険診療との併用も認められていません。「自由診療」を受けた場合、健康保険の適用範囲を含め、治療に関わる費用は全額自己負担になります。

がん治療で行われる先進医療とは?

高度先進医療を受けられる施設

先進医療と聞くと、最先端の最新治療技術というイメージがありますが、実際はどのような治療を指すのでしょうか。

先進医療の定義

実際の定義は、厚生労働省が「保険給付の対象とすべきか、評価を行う必要がある療養」と位置づけた上で、評価・検証している高度な医療技術です。
つまり先進医療は、現時点では薬事承認や保険適用には至っていませんが、将来的には保険適用となる可能性があります。

さらに細かくいえば、先進医療には「第2項先進医療(先進医療A)」と「第3項先進医療(先進医療B)」があります。
第2項先進医療では薬事法で承認・認証された医薬品や医療機器が使われているのに対し、第3項先進医療では、承認されていない医薬品や医療機器も使われます。
先進医療は保険適用外診療となり、費用は自己負担です。

しかし、「先進医療」に関しては、「保険外併用療養費制度」により、保険診療との併用が例外的に認められている診療です。
そのため、例外として認められれば、先進医療の技術料以外の入院費や投薬代といった費用は保険制度が適用され、自己負担は3割(現役世代の場合)で済みます。

治療費や治療期間

がんの治療で用いられる先進医療には、放射線治療の「陽子線治療」や「重粒子線治療」があります。
全額自己負担となる先進医療の技術料は高額なものが多く、中央社会保険医療協議会「令和元年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」によると、308万9,343円となります。

重粒子線治療にかかる先進医療費の総額を、年間実施件数で割った単価

また、治療の期間については、事前検査に3週間ほどかかる場合があり、治療そのものも、がんの種類や治療の種別、医療機関によって期間が異なります。
例えば重粒子線治療の場合、がんの種別によって1週間から5週間かかるとされています。これらの治療期間は医療機関や重粒子線か陽子線によっても異なります。

保険適用外の抗がん剤とは?

抗がん剤治療

保険適用外の抗がん剤とは、海外では承認済みであっても、日本では未承認となっているものをいいます。
抗がん剤は高価なものが多くありますが、健康保険で賄えるものであれば「高額療養費制度」により、治療費を抑えられます。

しかし、日本で未承認の抗がん剤は保険適用外のため「自由診療」となり、「混合診療」も認められていないため、抗がん剤の投薬代だけでなく、がん治療にかかる医療費のすべてが自己負担になってしまいます。

保険適用外の抗がん剤の数

それでは保険適用外の抗がん剤はどのくらいあるのでしょうか。
国立がん研究センター先進医療・費用対効果評価室が作成したリストによると、米国か欧州で承認され、日本では未承認のがん領域の医薬品数は、2023年3月末時点で延べ116あります。
その中でも、2020年以降に海外で承認されたものが58あり、保険適用外の抗がん剤は増加傾向にあります。

保険適用外の抗がん剤の薬価

保険適用外の抗がん剤は500万円以上の薬剤があり、大半は100万円以上となっています。
2023年3月末時点のデータにおいて最も高価な薬剤は、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)や欧州EMA(欧州医薬品庁)にて認可済みの「シルタカブタジン オートルーセル」であり、1回あたりの点滴の治療費が57,474,000円となっています。

化学療法と呼ばれる抗がん剤を用いたがん治療は、中長期で行われることも多くなります。想定治療期間も薬剤により差がありますが、治療費が月100万円以上になることも少なくありません。

ドラッグ・ラグによる影響

保険適用外の抗がん剤は数多くありますが、日本でも承認されて使えるようになるまでは時間がかかりますし、そもそも承認されないこともあります。
このように、海外で承認された薬剤が日本国内で承認・販売されるまでに、長い時間がかかることを「ドラッグ・ラグ」と呼ばれています。

ドラッグ・ラグの期間は「海外に治療効果が期待できる薬があるにもかかわらず、日本では健康保険の適用範囲でその治療を受けられない」ということになります。

がん保険の加入率

虫眼鏡と医療

がんの治療は健康保険では賄えない領域が存在しています。
このような状況に対して、民間のがん保険では「先進医療給付金」「放射線・抗がん剤治療給付金」を活用することで備えられます。
それでは、民間のがん保険の加入率は、今どのようになっているのでしょうか。

がん保険の加入率は上昇傾向

公益財団法人生命保険文化センターが2023年3月に発表した「2022年度生活保障に関する調査」によると、がん保険の加入率は18歳から69歳で約40%に及んでいます。

全生保におけるがん保険の加入率

15年ほど前の加入率は30%台だったことを考えると上昇傾向にあり、がんのリスクに対して民間の保険で対策することが一般的になりつつあると言えそうです。

被保険者の年代別のがん保険加入率

加入率を年代別に見ると、20%未満の20代から40%以上の30代では加入率が倍以上になっており、働き盛りの40代、50代で50%近くになります。

全生保におけるがん保険の加入率(性年齢別)

60代になると加入率は減少に転じています。

がん保険は何歳から加入すべきか

がん保険の加入は40代から50代が多くなりますが、一方で罹患する年齢はどうなっているのでしょうか。
がんが年齢の上昇とともに、罹患率が高くなるのは間違いありません。
国立がん研究センター、がん情報サービス「全国がん罹患データ(2016年~2018年)」より主要ながんを抽出して、グラフ化すると次のようになります。

がんの罹患者数(男女別部位別)

男性は40代中盤から、どの部位のがんも急激に罹患者が増え始めます。そして70代前半でピークを迎えます。
一方女性は、子宮頸がんは20代から増え始め、乳がんは30代中盤から増えています。大腸がんは男性より遅れて40代後半から増加しています。

何歳から加入するかは、個人のライフプランや、今置かれているライフステージによっても異なりますが、結婚したり子どもが生まれたりすれば、保障の必要性も高くなります。

また、がんに罹患すると仕事ができなくなる期間も長くなるため、ローンがある方はその返済が続けられるようにしたいというニーズもあります。
罹患者数から考えれば、女性で20代前半、男性で40代中盤くらいが、がん保険加入を検討する一つの目安の時期となるのではないでしょうか。

がんの治療は自己負担額が大きくなる可能性もある

がん保険

ここまで、がん保険の必要性から、先進医療、健康保険適用外の抗がん剤、がん保険の加入率データなどを解説しました。
がんは男性の2人に1人、女性の3人に1人が罹患するとも言われます。誰が罹ってもおかしくない病気です。また、健康保険適用外の治療などを受けると、自己負担額が大きく、リスクの大きい病気であると言えます。

この記事を読んで少しでも気になった方は、万が一に備え、がん保険の加入を検討してみてはいかかがでしょうか。
どんながん保険を選んだら良いか悩む場合は、ソナミラのコンシェルジュに相談してみましょう。

▼参考
大阪重粒子センター「重粒子線で治療できるがん」
https://www.osaka-himak.or.jp/whats/superiority/?id=superiority_02
中央社会保険医療協議会「令和元年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
000592183.pdf (mhlw.go.jp)
国立がんセンター「国内で薬機法上未承認・適応外である医薬品について」
https://www.ncc.go.jp/jp/senshiniryo/iyakuhin/index.html
生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf

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