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月2週間以上の育休で社会保険料が免除に!育休中のお金の制度解説

月2週間以上の育休で社会保険料が免除に!育休中のお金の制度解説

2022年10月の健康保険法改正により、育児休業(以下、育休)中の社会保険料の免除要件が変わりました。収入が減少する育休中の社会保険料負担が軽減するため、家計にもプラスの影響があります。この記事では、育休中の社会保険料免除要件の変更について解説します。育休中に受け取れる給付金も紹介しますので、育休中の家計の参考にしてください。

目次


  1. 育休中の社会保険料免除とは
  2. 2022年10月から社会保険料免除要件が変更
  3. 育休中には「育児休業給付金」が支給される
  4. 社会保険料免除を考慮して育休取得時期を検討しよう

育休中の社会保険料免除とは

育休中の社会保険料免除とは、育休中の経済的負担を軽減するために社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)の支払いを免除する制度です。

免除期間中も社会保険料の支払いなしで健康保険や介護保険が使えるだけでなく、厚生年金も保険料を支払ったものとして年金額が計算されます。また、社会保険料免除は、毎月の給与だけでなく、賞与にも適用されます。

2022年10月から社会保険料免除要件が変更

育休中の社会保険料が免除となる要件について、2022年10月に変更された点は次の通りです。

従来は月末日の育休取得で社会保険料免除

2022年9月末までは、月末日に育休を取得した月の社会保険料が免除されていました。たとえば、1月20日から2月20日まで育休を取得した場合、1月分の社会保険料が免除されました。

しかし、従来の制度には問題がありました。1月31日の1日だけ育休を取得した場合でも社会保険料が免除される一方、1月1日から1月30日まで育休を取得した場合は育休が30日間でも社会保険料は免除されなかったのです。

変更後は月2週間以上の育休取得で社会保険料免除

2022年10月以降は、月末日に育休を取得していなくても、1か月に2週間以上育休を取得した月は社会保険料が免除されます。従来の要件を満たした場合も、引き続き免除されます。

前述のケースで、新旧の制度を比較すると1月分の社会保険料の取り扱いは次の通りです。

(育休による社会保険料免除の新旧比較)
育休取得日 2022年9月まで 2022年10月以降

1月31日のみ

免除

免除

1月1日~1月30日

免除なし

免除

このように、今回の変更により社会保険料免除の対象が拡大しました。

賞与についても免除要件が変更

社会保険料の免除要件は、給与だけでなく賞与についても変更されました。新旧制度それぞれの免除要件は次の通りです。

  • 2022年9月まで:月末日に育休を取得した月に支給された賞与
  • 2022年10月以降:月末日を含む連続1か月超の育休を取得した場合、月末日に育休取得した月に支給された賞与

12月賞与の社会保険料免除について、新旧制度を比較すると次の通りです。

(賞与に対する社会保険料免除の新旧比較)

育休取得日

2022年9月まで

2022年10月以降

12月31日のみ

免除

免除なし

12月20日~1月20日

免除

免除

育休が1か月以内の場合、新制度では免除にならないため、賞与については社会保険料免除の範囲は縮小しています。

育休中には「育児休業給付金」が支給される

育休中は原則無給ですが、雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。支給対象期間は、産休後から子どもが1歳になる誕生日の前日までです。保育所の入所待ちなど特別な理由があれば、最長1年6か月まで延長できます。

支給要件は次の通りです。

  • 育児休業開始前の2年間の内、1か月に11日以上働いた月が12か月以上あること
  • 就業日数が月10日以下または80時間以下であること
  • 産休後6か月を経過する日までに労働契約が満了予定ではないこと

支給金額は、当初の6か月間は産休や育休開始前の日給の67%、それ以降は50%です。

社会保険料免除を考慮して育休取得時期を検討しよう

産休後から職場復帰まで継続して育休取得するケースが多い女性は、社会保険料の免除を考慮する機会は多くないかもしれません。一方、最大4回の育休を取得できる男性は、育休取得時期によって社会保険料の免除を受ける月数が大きく変わる可能性があります。

産後1年間に100日間の育休を取得すると仮定して、社会保険料の免除を多く受けられるケースとあまり受けられないケースを紹介します。出産日が1月20日、賞与は6月・12月支給とします。

(社会保険料免除を多く受けられるケース)

育休取得日

社会保険料が免除される給与と賞与

1月31日~2月19日(20日間)

1月・2月の給与

6月10日~7月19日(40日間)

6月・7月の給与と6月賞与

12月10日~翌年1月18日(40日間)

12月・翌年1月の給与と12月賞与

 

(社会保険料免除があまり受けられないケース)

育休取得日

社会保険料が免除される給与と賞与

1月31日~5月10日(100日間)

1月・2月・3月・4月の給与

※賞与の社会保険料免除は受けられない

育休を「分割して取得する」「月14日以上にする」「月末日に取得する」などと調整することで免除を受ける機会をふやすことができます。

社会保険料は給与の約15%を占めるため、社会保険料の免除が家計に与える影響は大きくなります。免除制度を十分に生かせるように、育休取得時期を検討してみるのはいかがでしょうか。

▼参考資料

  • 令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されました(日本年金機構)
  • 令和4年10月から育児休業等期間中の社会保険料免除要件が見直されます。(厚生労働省)
  • 育児休業給付について(厚生労働省)

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