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光熱費込み賃貸住宅のメリットとデメリット本当に無料なの?

光熱費込み賃貸住宅

光熱費は毎月変動するため、いくらになるか予測が難しく、家計を管理する上で負担に感じる方もいるかもしれません。特に夏や冬はエアコンの使用がふえ、光熱費が一気に上がることもあり、料金明細を見て驚いた経験のある人も多いのではないでしょうか。

光熱費を管理しやすくしたい場合、光熱費が一定になる光熱費込み賃貸住宅を選ぶのも一つの方法です。

本記事では、光熱費込み賃貸住宅とは何か、そのメリットとデメリットについて、1人暮らしの場合を例にご紹介します。

目次


  1. 1人暮らしの光熱費はいくらかかる?
  2. 光熱費込み賃貸住宅とは?
  3. 光熱費込み賃貸のメリット
  4. 光熱費込み賃貸住宅のデメリット
  5. 光熱費込み賃貸住宅に住む前に確認すべきこと
  6. 光熱費込み賃貸住宅の探し方
  7. ライフスタイルに合った賃貸物件を選択しよう!

1人暮らしの光熱費はいくらかかる?

1人暮らしの光熱費はいくらかかる?

総務省統計局が公表している家計調査によると、2022年の1人暮らしの光熱費(上下水道代を含む。以下同じ)の平均は1か月あたり13,098円です。光熱費の中で最も割合が大きいのは電気代の6,808円で、約52%を占めています。

 

1か月あたりの平均金額

電気代

6,808円

ガス代

3,331円

他の光熱費

(灯油やガスカートリッジなど)

843円

上下水道代

2,116円

合計

13,098円

出典:2022年家計調査(家計収支編)より筆者作成

 

1人暮らしの1か月あたりの光熱費の平均金額を季節ごとに見ると、次の通りです。

 

1~3月

4~6月

7~9月

10~12月

電気代

7,749円

6,333円

6,418円

6,557円

ガス代

3,892円

3,387円

2,345円

2,777円

他の光熱費

1,970円

520円

106円

1,108円

上下水道代

2,234円

2,106円

2,101円

2,156円

合計

15,845円

12,346円

10,971円

12,599円

出典:2022年家計調査(家計収支編)より筆者作成(※四捨五入の関係で、各項目を足し合わせた金額と合計欄が一致しない部分があります)

水道代はどの時期でも大きな変化はありませんが、電気代・ガス代は夏よりも冬のほうが高く、1~3月の平均光熱費は7~9月と比較して4,874円も負担が大きくなっています。

気候の良い季節と比べ、冬は自宅で過ごす時間が長くなりがちで、暖房機器の使用時間も長くなります。また、エアコンやこたつ、電気カーペットなど複数の暖房機器を使うこともあるかもしれません。エアコンは運転を始めた直後など、設定温度にするために室温を大きく変化させるときに多くの電力を消費します。冬は夏と比べて室内と屋外の温度差が大きいため、設定温度に達するまでに時間がかかり消費電力がふえます。

また、冬場は水道水の温度が低いので、湯沸かしにかかる時間は夏場よりも長くなり、その分だけ熱エネルギーが必要になります。

光熱費は生活する上で必須の支出ですが、時期によって変動があるため、特に光熱費が高くなりがちな冬場は家計のやりくりに負担を感じる方もいるかもしれません。そんな方は、1年を通して光熱費が一定となる光熱費込み賃貸住宅を選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

光熱費込み賃貸住宅とは?

光熱費込み賃貸住宅とは、家賃・管理費などに一定額の光熱費を上乗せして支払うことで、電気代やガス代を気にせずに使える物件のことです。上乗せ分にWi-Fiのような通信費が含まれている物件もあります。光熱費込み賃貸住宅は、マンスリーマンションやシェアハウスとして利用されている賃貸物件に多くみられます。

光熱費込み賃貸のメリット

光熱費込み賃貸のメリット

コロナ禍を経て在宅ワークが一般的になっており、光熱費が気になる方もいるのではないでしょうか。光熱費が別途請求されない光熱費込み賃貸住宅は、自宅で過ごす時間が多い方にとって魅力的です。ここでは、光熱費込み賃貸住宅のメリットをご紹介します。

家計の管理がしやすくなる

光熱費は季節によって変動があります。先ほど触れた通り、1人暮らしの1か月の平均光熱費は、1~3月と7~9月では4,874円もの差が生じます。これだけ変動があると家計のやりくりを負担に感じる方もいるかと思いますが、光熱費込み賃貸住宅では光熱費は毎月一定額なので、家計の管理がしやすくなります。

光熱費を気にせず快適に過ごせる

夏や冬に「エアコンを使いたいけれど、電気代が高くなるからもう少し我慢しよう」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。光熱費込み賃貸住宅の場合、電気やガス、水道の使用量を気にせず、快適に過ごすことができます。

家計調査(2022年)によると、光熱費の中で割合が高いのは電気代、次いでガス代です。光熱費を下げるためには、最も割合の高い電気代の節約が効果的です。

たとえば、節電の工夫として次のような方法があります。

  • 長時間使用しない家電はコンセントからプラグを抜く
  • エアコンのフィルターはこまめに掃除をする
  • 洗濯はまとめて洗うようにして回数を減らし、乾燥には外干し
  • 部屋干しを併用して乾燥機の使用時間を短縮する
  • 冷蔵庫に料理を入れる場合は冷ましてから入れる

このような工夫をこまめにできればいいですが、継続するのは大変です。また、節電を気にしすぎるとストレスになります。古い家電を省エネ家電に買い替えることも節電方法の一つですが、ある程度お金もかかります。

光熱費込み賃貸住宅の場合、電気やガスの使用にストレスを感じることなく生活することができます。

払い忘れによる利用停止の心配がない

「忙しくて光熱費の支払いを忘れてしまった」という経験がある方もいるかもしれません。光熱費込み賃貸住宅なら光熱費の払い忘れもなく、電気やガスが利用停止になる心配もありません。

光熱費込み賃貸住宅のデメリット

光熱費込み賃貸住宅のデメリット

次に光熱費込み賃貸住宅のデメリットも確認しておきましょう。

電気やガスは使い放題ではない

光熱費込み賃貸住宅の場合、基本的に別途光熱費が請求されることはありませんが、必ずしも電気やガスを使い放題というわけではありません。一定の使用量を超えると料金を請求されるケースもあります。

たとえば、東京都内でマンスリーマンションを展開しているある運営会社の場合、光熱費が月額11,000円(1人の場合)までは賃料に含まれますが、それ以上使用した場合は差額分を別途請求されることになっています。

光熱費込み賃貸住宅の場合、超過した光熱費を請求されることがあるのか、どの程度の光熱費までなら賃料に含まれているのか、自分の使用量はどのくらいかを確認する必要があります。

電気やガスをあまり使わない場合、割高になる可能性がある

光熱費込み賃貸住宅は電気やガス、水道をよく使う方には魅力的ですが、あまり使わない場合には割高になる可能性があります。

在宅ワークの方や、休日をゆっくり自宅で過ごすことが多い方は電気やガスの使用量が多くなりがちですが、外出が多くほとんど自宅にいない方の場合、光熱費込み賃貸住宅を選択するメリットは薄れてしまうでしょう。自分のライフスタイルに合わせて選択する必要があります。

光熱費込み賃貸住宅に住む前に確認すべきこと

光熱費込み賃貸住宅に住む前に確認すべきこと

電気やガスをどの程度使用するのかは個々のライフスタイルによって異なります。通常の賃貸住宅で支払う光熱費と、光熱費込み賃貸住宅で家賃・管理費に上乗せされる光熱費を比較し、どちらが自分にとってメリットがあるかを確認する必要があります。

光熱費込みの物件Aと、光熱費が家賃・管理費とは別の物件Bを考えてみましょう。物件Aと物件Bは光熱費以外のエリア・築年数・家賃などの条件が同じであり、光熱費込みの物件Aは管理費に光熱費が含まれていると仮定します。

 

物件A

(光熱費込み)

物件B

(光熱費別)

家賃

60,000円

60,000円

管理費

20,000円

5,000円

光熱費

0円

毎月変動

合計

80,000円

65,000円+光熱費

物件Aと物件Bの金額の差は【80,000円-(65,000円+物件Bの光熱費)】です。

たとえば物件Bの光熱費が10,000円の場合、物件Bの合計金額は75,000円となり物件Aよりも5,000円お得になります。物件Bの光熱費が20,000円の場合、合計金額は85,000円となり物件Aよりも5,000円割高になります。

自分で支払う光熱費が15,000円より少ない金額であれば物件Aよりも物件Bがお得になりますが、15,000円を超える場合は物件Aがお得になります。 

前述の家計調査(2022年)によると、1人暮らしの光熱費の平均は1か月あたり13,098円でした。平均程度の使用量であれば物件Aは割高になりますが、平均以上に電気やガスを使う場合には光熱費込みの物件Aのほうがよいかもしれません。

自分の光熱費がどのくらいなのかを一度確認してみましょう。

光熱費込み賃貸住宅の探し方

光熱費込み賃貸住宅の探し方

光熱費込み賃貸住宅という言葉は最近聞くようになりましたが、物件数はまだ多くはありません。そのため、不動産ポータルサイトで検索するときに検索条件を絞りすぎてしまうと見つけにくくなります。「光熱費込み 東京」など、大まかに検索するようにしましょう。

また、一般的な賃貸マンションなのかシェアハウスなのか、電気やガスの使用量はどのくらいまでなら賃料に含まれるのかなど、不明点があれば取り扱い不動産会社に確認しましょう。

ライフスタイルに合った賃貸物件を選択しよう!

光熱費込み賃貸住宅は、毎月の光熱費を一定にすることができ、家計を管理しやすくなるメリットがあります。また、自宅で過ごすことの多い方の場合、電気やガスの使用量をあまり気にしなくてよいため、快適に過ごせるでしょう。

しかし、光熱費の使用状況によっては、定額での支払いが損になることもあります。

まずは、自分の1か月あたりの光熱費はいくらなのかを確認し、光熱費込み賃貸住宅が自分にとって本当にお得かどうかをしっかりと見極めることをおすすめします。

▼参考資料

  • 家計調査 家計収支編 単身世帯 詳細結果表 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
  • 節電をして電気代を節約しよう!手軽にできる節電方法とは? | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)
  • 水道、光熱費込みの賃貸物件はどんなものがある? | 東京のマンスリーマンション事情|マンスリーマンションのアットイン (atinn.jp)
  • 夏場におけるエアコンの電力消費と節電に関する意識調査を実施、電気代上昇・電力ひっ迫の夏、9割の人が「省エネ・節電に積極的に取り組みたい」 | ニュースリリース | ダイキン工業株式会社 (daikin.co.jp)
  • 2_1.pdf (meti.go.jp)

 

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