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生命保険見直しの注意点は?適切なタイミングや損しないためのポイント

資料を指さし確認する様子

最初に保険へ加入するときは、保険の基礎知識を学び、多くの商品の中から自分や家族に必要な保険を選び、申し込みの手続きをします。そんな大変な作業である保険契約も、一定期間が経過すると「見直し」が必要となってきます。

 

本記事では、生命保険の見直しを検討している方へ向けて、保険見直しのポイントと注意点をお伝えします。

目次


  1. 生命保険の見直しは必要?
  2. 生命保険見直しの適切なタイミング
  3. 生命保険の見直し時の注意点
  4. 生命保険の見直しに関するよくある質問
  5. 生命保険を見直すには注意が必要。プロに相談することも検討しよう。

生命保険の見直しは必要?

PCを前に話を聞く夫婦

最初に保険に加入するときは、多くの情報を集め、自分や家族に何かあったとき経済的に困ることがないよう、そのとき考えられる将来のリスクをカバーする保険商品を選び加入します。しかし、人生は思い描いた通りにならないケースがほとんどであり、保険契約時には想定していなかったリスクが発生することがあります。

自分や家族の状況が変化したときに保険を見直していくことで、保険加入時には想定外だったリスクに備えることができます。自分や家族の状況が変化しているにもかかわらず保険の見直しをしないということは、保険に加入しているものの、自分や家族に何かあったときその保険では、自分たちが陥る経済的に厳しい状況を回避できない状況につながります。

自分や家族の状況というのは、結婚・出産・マイホーム購入・子どもの自立・離婚などのライフイベントや就職・転職・起業・リタイアなどの仕事によって変わり、リスクに対する許容度も変化します。また、年代によってかかりやすい病気も変わってきます。

多くの業界では、時代に合ったサービスや商品が提供されています。保険商品も同じように、公的医療保険制度の改定(医療保険制度における患者の一部負担割合の改定*1や高額療養費制度*2の見直しなど)、医療技術の進歩により新しい治療方法が出てくると、保険商品もそれに対応した新しい特約や商品が発売されます。

全ての保険に見直しが必要になるわけではありませんが、保険加入時からライフプランや生活スタイルに変化があった場合は、今加入している保険で自分や家族のリスクに備えることができるのかを点検する必要があります。

【出典】厚生労働省「第154回社会保障審議会医療保険部会(ペーパーレス) 資料
第154回医療保険部会資料(全体版)」 基礎資料 P23
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000995176.pdf
【出典】高額療養費制度を利用される皆さまへ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html

生命保険見直しの適切なタイミング

生命保険の案内資料

生命保険を見直すタイミングとして「家族構成」「仕事」「住宅」のどれかに変化が生じたときが適切な時期と言えます。

家族構成が変化して必要な保障が変わったとき

結婚や出産などにより家族構成が変わると、必要になる保障の種類や保障金額も変わります。自分一人であれば、自分が病気やケガ、働けないときなどに社会保障制度の給付だけでは不足する生活費などを保険で保障します。しかし結婚や出産により家族構成が変化したときには、パートナーや子どもも含めたライフプランを検討し、必要な保障期間と保障金額を考える必要があります。

家族構成の変化により見直しが必要となる保障として、死亡保障や働けなくなった時の保障が挙げられます。たとえば子どもが生まれると、万が一、一家の中で大きな収入を上げている家族が死亡または働けなくなったときでも、子どもが独立するまでの生活費や教育費に困らないよう、死亡保障や就業不能保険、所得補償保険といった保障が必要になります。

一般的に家族構成が変わると加入する保険の種類や保険金額が増えますが、自分の加入している社会保障制度の保障範囲では十分カバーできない部分のリスクを保険で備えると、合理的で無駄のない保険設計になります。

また、子どもが独立したときも生命保険を見直す適切なタイミングです。子どもが独立することにより、子どもの生活費や教育費の保障が不要になります。たとえば、自宅から大学へ通っていた子どもが独立したとすると、学費・交通費・お小遣い・生活費に充てる保障が不要となります。

子どもが独立したときには、死亡保障や就業不能保険、所得補償保険などの保障金額を再検討するタイミングです。ただし、年齢が上がるとともに病気になるリスクも高くなる*3ため、医療費に対する保障は手厚くしておくとよいでしょう。

仕事が変化して収入源が変わったとき

転職や起業などによる、働き方や収入額の変化も結婚や出産などと同様、ライフステージが変化するタイミングと言えます。今までの収入額から変動がある場合や、転職や起業などにより社会保障の保障内容が変わる場合は、必要に応じて保障を見直しましょう。

また、定年退職した場合は収入源が年金のみなのか、定年後も働くのか、不動産収入や配当収入の有無などによって保険の保障内容や支払える保険料も変わります。

前述したように高齢になると病気になるリスクが高くなります。公的医療保険(健康保険)の保障範囲を確認し、自分は医療保険に加入する必要があるのか、あるのであれば、医療保険でどこまで保障するのかを検討する必要があります。

また、自分が死亡した場合に経済的に困る方がいなければ、基本的に死亡保障は不要と言えます。ただし亡くなった際には、葬儀費用、墓代、遺品整理などの費用がかかることも考慮し、生前にこれらの費用を貯蓄などで遺しておくことが難しい場合は死亡保障に加入しておくとよいでしょう。

住宅を購入したとき

住宅を購入するときには、一般的に金融機関で住宅ローンを組み、「団体信用生命保険」へ加入します。団体信用生命保険とは定期保険の一種で、住宅ローンの契約者が約款既定の状態になった場合、住宅ローンを組んだ金融機関へ生命保険会社から保険金が支払われ、契約者の代わりに住宅ローンの残金を返済する仕組みです*4。団体信用生命保険から支払われる保険金で住宅ローンの返済をしても、所得税や相続税などの税金はかかりません*5

団体信用生命保険に加入することで、住宅ローン契約者が万が一死亡・後遺障害状態などになった場合でも、家族はマイホームを失わずに生活することができます。

よって、団体信用生命保険に加入した場合は、死亡保障の必要保障額から住宅費用を差し引くことが可能と言えます。ただし、遺された家族は不動産を所有することになるため、固定資産税や火災保険、修繕費などについて加味した必要保障額を算出しましょう。必要保障額から住宅費用分の保険金額を差し引くと、死亡保障の保険料を抑えることができます。

しかし、団体信用生命保険へ加入しない場合は、住宅ローン契約者が死亡・後遺障害などの状態になっても住宅ローンは支払い続けなければいけません。そのため、団体信用生命保険へ加入せずに住宅ローンを組む場合は、万が一の際の住宅費用や固定資産税、火災保険、修繕費などの費用が必要となるため、死亡保障額を増額する必要があります。

【出典】厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況 2受療率 (1) 性・年齢階級別」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/20/dl/jyuryouritu.pdf
【出典】生命保険文化センター「団体信用生命保険について知りたい」
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/644.html
【出典】国税庁「団体信用保険にかかる課税上の取扱いについて 3.死亡事故が起きた場合 4.廃疾事故が起きた場合」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/690526-2/01.htm

生命保険の見直し時の注意点

指さしをするスーツ姿の女性

生命保険を見直すときには、加入している商品や年齢、健康状態などに注意する必要があります。

解約するタイミングによっては元本割れのリスクがある

保険には多くの種類がありますが、大きく分けて、解約すると解約返戻金を受け取れる「貯蓄型保険」、解約をしても解約返戻金が受け取れない「定期型保険」の2種類があります。

貯蓄型保険は名前の通り貯蓄性があり、終身保険・養老保険・個人年金保険・学資保険などの商品があります。これら貯蓄型保険の見直しをする際にはタイミングが重要になります。多くの貯蓄型保険は一定期間契約を継続せずに早期解約すると、支払った保険料よりも受け取る解約返戻金のほうが少なくなります。つまり、元本割れになります。

なお、1990年前後の予定利率が高い時期*6に貯蓄型保険へ加入している場合は、払込保険料よりも解約返戻金が多くなるケースがほとんどです。そのような商品に加入している場合は安易に解約せず、子どもや孫の教育資金、家のリフォーム、将来の老後資金など、使用目的を明確にして資金が必要になったときに解約することをおすすめします。

貯蓄型保険に対して定期型保険は解約返戻金がありません。貯蓄型保険のように元本割れリスクを避けるために解約のタイミングを検討する必要はなく、保険見直しのタイミングがとりやすくなります。

加入時の年齢が高いほど保険料が上がりやすい

一般的に保険を見直すときは、見直し時点の年齢で保険料が計算されます。年齢が高くなるほど死亡率や病気にかかるリスクが高くなるため、保険料も上がります。

加入している商品によっては「転換制度」を利用することで、見直し後の保険料増額を抑えることができます。転換とは、同じ保険会社の別商品に乗り換えることです。今加入している契約の積立部分や積立配当金を計算して、下取り価格を算出します。

その下取り価格を新しい契約の保険料の一部として補填し、月々の保険料負担を軽くしながら新しい保険に加入する制度です。また、転換後の契約が定期型保険の場合、満期後の更新時には転換時より年齢が高くなり、さらには転換前契約からの保険料補填がなくなるため保険料は高くなります。

健康状態によって入れない保険がある

保険に加入するときには、健康診断の結果や過去の病歴・通院歴などを保険会社へ告知します。健康状態によっては保険会社の審査に通らず、希望する保険に加入できない場合もあります。

そのため、今加入している保険を見直して新しい保険に加入する際は、新しい保険契約が成立したあとに今加入している保険を解約します。この順番が逆になると、万が一新しい保険に加入する際の審査に通らなかった場合は、無保険状態となります。

保険商品によっては免責期間がある

保険に加入しても一定期間保障されない期間があります。これを「免責期間」といいます。保険会社により免責となる条件や期間は違います。
死亡保険では、契約から1~3年以内に自殺をした場合は死亡保険金が支払われないという免責期間を設けている*7保険会社が多くなります。

医療保険では、申込時の審査結果により、特定の疾病や体の指定部位に関する病気に対して一定期間給付金を支払わない、または給付金を減額するなどの免責が設けられることがあります*8。また、がん保険では一般的に加入時から90日間の免責期間があります*9
保険の見直しを検討する際は、免責期間の有無や免責となる条件などを確認しておくとよいでしょう。

【出典】一般社団法人 JA共済総合研究所「民間生命保険会社の予定利率の変遷と生保商品動向 (表1)生保(個人保険)の予定利率の変遷」
https://www.jkri.or.jp/PDF/2012/Rep125inoguchi.pdf
【出典】生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A2.免責事由に該当した場合 《死亡保険金(給付金)の免責事由の例》」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/165.html
【出典】生命保険文化センター「生命保険に関するQ&A」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/145.html
【出典】生命保険文化センター「がん保険の種類 がん保険の概要」
https://www.jili.or.jp/knows_learns/kind/main/34.html

生命保険の見直しに関するよくある質問

生命保険の見直しを検討しているときに多い質問事項をまとめました。

生命保険は転換したら元に戻せる?

生命保険の転換とは同じ保険会社の別商品に乗り換えることです。今加入している契約の積立部分や積立配当金を計算して、下取り価格を算出します。その下取り価格を新しい契約の保険料の一部に補填し、月々の保険料負担を軽くしながら新しい保険に加入する制度です。

転換すると元の契約(今加入している契約)は消滅し、元の契約に戻すことはできません。転換制度を利用するときはその制度を理解し、転換前後の保障内容を把握したうえで契約することが大切です。

生命保険の見直しは何年ごとにするべき?

保険は定期的に見直すことが必要ですが、「何年ごと」ではなく「必要なとき」にするほうがよいでしょう。その理由として、保険の見直しが必要になるのが、自分のライフステージが変化したとき(結婚・離婚・出産・子どもの自立・リタイアなど)や社会保障制度の改正などで社会構造が変化したことにより、今加入している保険ではリスクをカバーできないときだからです。

定期型の保険は5年・10年など保険期間が決まっており、保険期間が終わると更新が行われます。更新時には自分のリスクを見直すきっかけとなります。もちろん、ライフステージに変化があったときは更新を待つことなく保険の見直しが必要になります。

更新がなく生涯にわたって保障が続く終身型の保険に加入している場合は、自分自身でリスクの変化があったときに保険の見直しを行うことを意識しましょう。

生命保険を見直すメリットは?

保険商品は、現在の医療技術・環境に沿った商品を販売しています。保険を見直すことで、その時代の医療技術・環境で行われる治療に合った保障を受けられることがメリットとして挙げられます。
また、自分のライフステージが変化したとき(結婚・出産・子どもの自立・リタイア・離婚など)や社会保障制度の改正などで社会構造が変化したときも、保険を見直すことで適切なリスクヘッジを行うことができます。

生命保険の見直しで損することはある?

保険料の金額だけで損得を考えるのではなく、「今加入している保険は、自分に何かあったとき経済的な保障として役立つのか」を考えていきます。
保険料が安くても自分のリスクに合わない保険に加入している場合は、何かあったときに保険で保障されないことがあります。その場合、今まで払っていた保険料は無駄(損)となります。

しかし、多少保険料が高くても自分のリスクに合った保険に加入していれば、何かあったときに保険でしっかり保障され、保険料は無駄にならなかった(損をしていない)と言えます。

ただし、保険ですべてのリスクを保障することはできません。また、保障範囲を広くすると、保険料も高額になります。自分がどのリスクに対して保険で保障したいのかを明確にして保障内容を決める必要があります。必要な保障内容は、加入する方の仕事や年齢、家族構成などによって変わってきます。

生命保険を見直すには注意が必要。プロに相談することも検討しよう。

一口に生命保険の見直しといっても、その方の考え方や家族構成、人生設計によって見直しが必要なのか不要なのか、そして必要な保障内容も異なります。自分の今の状況・今後のライフプランをしっかりと考慮して保険を見直していくのはとても難しいことです。

そのため、適正な保険の見直し方や選び方について詳しく知りたい場合は、お金のプロに相談することをお勧めします。
ソナミラは複数保険会社の商品を取り扱う保険代理店です。経験豊富なコンシェルジュが一人一人に向き合いながらお客様が充実した人生を送ることができるよう、一緒にライフプランを考えていきます。

また、保険商品以外にもさまざまな金融商品も取り扱い、資産形成のアドバイスも行っています。ご契約いただいたあとも徹底したアフターフォローを行い、お客様に安心をお届けしています。店舗もしくはオンラインで無料の保険相談も行っています。

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