マネー

NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる?ならないと言われる理由

目次

2024年からスタートした新NISAは、つみたて投資枠と成長投資枠に分かれています。つみたて投資枠は定期的に積立投資するための枠なので、積立貯金と似たイメージを持つかもしれません。
しかし、NISAのつみたて投資枠は貯金代わりにはなりません。投資である以上、運用成績がマイナスになる事態もあり得ます。

こちらの記事では、NISAが貯金代わりにならない理由や、貯金と比較したときのメリット・デメリットについて解説します。NISAを始めようか検討中の方に役立つ内容となっているので、参考にしてみてください。

■こちらの記事も読まれています
NISAは本当にデメリットしかないのか?FPが解説するNISAの真実とは

ソナミラについて | 保険・NISAの相談はソナミラへ

NISAのつみたて投資枠は貯金代わりになる?

女性が貯金箱に小銭を入れる様子


結論からお伝えすると、NISAのつみたて投資枠は貯金代わりにはなりません。まずは、NISAが貯金代わりにならない理由について解説します。

NISAは貯金代わりにならないと言われる理由

NISAの正式名称は「少額投資非課税制度」で、一定額までの投資に限り、運用益が非課税となる制度です。具体的には金融商品を売却して得た利益や受け取った配当金・分配金に税金がかかりません。
一方で、貯金は大きなリターンが期待できませんが元本保証され、安全性が高い点が特徴です。

NISAは貯金のように元本保証されておらず、運用成績次第では元本割れを起こすリスクがあります。投資をする以上は損失が発生する可能性があるため、貯金の代わりにはなりません。

【出典】
金融庁「新しいNISA」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html

また、金融庁はNISAのつみたて投資枠で購入できる金融商品を「長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託」と定めています(投資信託は「投信」「ファンド」とも呼ばれます)。上記に記載の通り、NISAと貯金は異なるものですが、以下に該当する方は、NISAを貯金のように活用するイメージで投資信託を購入してもいいかもしれません。

  • 生活費や教育費が十分にたまっている
  • 貯蓄額が十分にあり元本割れを起こしても生活に悪影響が出ない
  • 長期目的での運用を想定している

すでに当面の生活費・教育費が十分に準備できている場合は、経済的な余力があると考えられます。
経済面で余力があれば、余裕資金を資産運用に回しても、生活に悪影響を及ぼすリスクは低いでしょう。

ほかにも、長期で運用できるという方も投資信託を貯金感覚で購入できそうです。
一般的に、長期投資をすると短期投資よりも収益の振れが小さくなり、安定的に収益を得られます。一時的に運用成績がマイナスになっても、長期的に運用していれば「回復するまで待てば良い」というスタンスで向き合えるでしょう。

【出典】
一般社団法人投資信託協会「第3回 長期投資のメリットとは」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/specialist/vol-03/

貯金と比較したNISA(つみたて投資枠)のメリットとデメリット

投資信託の案内資料


貯金は元本保証される一方で、NISAには元本割れのリスクが伴います。貯金とNISAを比較したうえで、NISAにどのようなメリット・デメリットがあるのか解説します。

NISA(つみたて投資枠)のメリット

NISAのつみたて投資枠では、「長期の積み立て・分散投資に適した一定の投資信託」に投資できます。投資信託によっては、貯金以上の利回りを期待できる点がNISAを活用するメリットです。
長期的・定期的に金融商品を購入すると、買い付けるタイミングを分散でき、購入単価を平準化できます。その結果、安定的な運用につながります。

長期的に運用すればリターンが安定しやすいことから、NISAで長期投資すれば、貯金よりもお金がふえる可能性を見込めるでしょう。
つみたて投資枠では自動的に積み立て購入できるため、金融商品の購入に際して手間がかかりません。金融機関によっては、クレジットカードを用いた積立投資にも対応しています。

さらに、NISAで投資をすればインフレ(物価の上昇)の有力な対策にもなります。総務省の資料によると、2024年3月分の消費者物価指数は、前年同月比2.7%の上昇という結果になりました(総合指数)。
物価が上昇すると、貨幣価値が下がります。物価が2.7%上がったとき、貨幣の購買力は2.7%分下がる、ということを意味します。

投資を通じて2.7%以上のリターンを得られれば、物価の上昇に対応したことになります。預金や定期預金で2.7%以上の金利を設定している金融機関はない(2024年4月現在)ため、インフレに対抗するためにも、投資をする重要性は高まっていると言えるでしょう。

貯金は元本保証されていることが強みですが、収益性は期待できません。つまり、インフレに対応しきれないデメリットがあります。

低金利が続いている日本では、貯金で高い利回りはさほど期待できません。投資の世界では「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」が鉄則です。ある程度のリスクを負わないとリターンを得られないことを意識しておきましょう。

さらに、新NISAは年間360万円まで、生涯通算で1,800万円までという非課税枠が設けられています。通常であれば、投資で得られた利益に対して20.315%の税金が発生しますが、税制優遇されているNISAでは非課税です。
たとえば、NISA以外の口座で投資し、100万円の利益が出た場合、約20万円を税金として納めなくてはいけません。しかし、NISAであれば100万円の利益をそのまま受け取れます。

NISAを活用すれば高い利回りを期待できるだけでなく、一定額までは利益に対して課税されずに運用できます。その結果、貯金よりも効率よく資産形成できると期待されます。

【出典】
総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)2月分(2024年3月22日公表)」
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/index-z.html
年金積立金管理運用独立行政法人基本ポートフォリオの変更について(1)
https://www.gpif.go.jp/topics/Adoption%20of%20New%20Policy%20Portfolio_Jp_details.pdf

NISA(つみたて投資枠)のデメリット

NISAは短期的な運用には向かない可能性があります。とくに、つみたて投資枠は「長期・積立・分散に適した一定の投資信託」を積立投資で購入する枠組みとなっており、長期投資を前提としているためです。
さらに、NISAのつみたて投資枠で購入する投資信託には、信託報酬という手数料が発生します。信託報酬は、投資信託を保有し続けている間はずっと発生するため、貯金よりも保有コストがかかる点もデメリットと言えるでしょう。

なお、運用する際には元本割れのリスクを解消するためにも、分散投資することをおすすめします。具体的な分散投資の方法は、以下の通りです。

  • 資産の分散:株式だけでなく、債券や金など幅広い金融商品に投資する(株式・債券の中でも投資する銘柄を分散する)
  • 地域の分散:特定の国・地域だけでなく、複数の国・地域に投資する
  • 時間の分散:金融商品を購入するタイミング・時期を複数回に分ける

複数の金融商品に分散投資したときの組み合わせや割合を「ポートフォリオ」と呼びます。自身のリスク許容度に応じたポートフォリオで投資をすることで、リスクを抑えることが可能です。

株価に値動きがあるように、金融商品の価格は毎日変動するうえに、将来の価格を正確に予測することはできません。一度にまとまった金額を投資するのではなく、毎日・毎週・毎月・毎年など定期的に積立購入することで、価格変動のリスクを軽減できます。

貯金の場合はそもそも基本的に元本保証され、短期的な資金ニーズに対応しやすい強みがあります。
当面の生活費はもちろん、近い将来使う予定があるお金に関しては、貯金で備えると良いでしょう。短期的な資金ニーズには貯金で対応し、長期的な資金ニーズにはNISAで対応するのが、合理的な判断といえます。

【出典】
一般社団法人全国銀行協会「投資のリスクを減らすポイントは「分散投資」と「長期投資」
https://www.zenginkyo.or.jp/article/tag-c/3781/

NISAのつみたて投資枠に関するよくある質問

NISAのつみたて投資枠に関して、多くの方が抱えている疑問をまとめました。

貯金とNISA(つみたて投資枠)はどっちが良い?

貯金とNISAに優劣はありません。目的に応じて使い分けましょう。
具体的には、短期的な値下がりの影響を避けたいお金は貯金して備えます。長期的に資産をふやしたいお金に関しては、NISAを利用しましょう。

一度投資したあとはつみたて投資枠を放置しても良い?

資金を引き出す必要性がなければ、放置しても問題ありません。投資期間が長くなるほど、複利効果が働いて効率よく資産をふやせる可能性があります。
また、定期的な投資を継続することで運用資産がふえ、より大きな複利効果が期待できます。

ただし、分散投資をする際には、定期的に運用資産の内訳を調整する「リバランス」を行いましょう。
例えば、当初は「株式50%・債券50%」というポートフォリオで運用しており、市況の変動に伴って「株式70%・債券30%」のように変化することがあります。この場合、株式を売却して債券を買い増し、当初の割合に調整するとよいでしょう。

NISAのつみたて投資枠はやめとけと言われる理由は?

NISAには元本保証がなく、短期的には値下がりしてしまうリスクがあるため、「やめとけ」と言う方がいます。投資にはリスクが伴い元本保証がされない以上、損失を絶対に避けたいと考えている方には向かない可能性があります。
また、安定したリターンを得るには長期的な投資が必要になるため、短期的に大きな利益を狙いたい方とは合いません。

NISAのつみたて投資枠は貯金代わりではない!目的に応じて使い分けよう

NISAのつみたて投資枠は、貯金代わりにはなりません、NISAと貯金の特徴や強みを踏まえ、お金の使用目的に応じて使い分けましょう。
短期的な資金を貯金で備え、長期的な資金ニーズにはNISAを活用するのがおすすめです。証券会社によっては、100円からの少額投資を行えるため、投資初心者の方でも始めやすいでしょう。

ソナミラでは、NISAをはじめとしたお金に関する相談を無料で行えます。お金に詳しいコンシェルジュが、ライフプランの作成やリスク許容度の把握などもサポートしてくれます。
NISAの制度や仕組みの解説から、わかりやすく丁寧にアドバイスしますので「投資に興味はあるけど始められていない」という方は、お気軽にご相談ください。

ソナミラについて | 保険・NISAの相談はソナミラへ

■こちらの記事も読まれています
新NISAで投資信託orETF?FPが教えるお得な選び方とは

  • 著者
    柴田 充輝さん

    不動産業界で6年間勤務後、保険業界に転職して家計相談や保険の見直し等を行っている。金融関係の記事を多数執筆。資産運用やクレジットカード、カードローンなど、これまでに1,000記事以上の執筆経験がある。

  • ソナミラ編集部さん

    「健康で豊かなミライにソナえる」をコンセプトに、マネー・ライフデザインをテーマとしたコンテンツを発信しています。 あなたの可能性を広げるため、読んでためになったと思える記事の制作を心掛けています。

本コンテンツは情報の提供を目的としております。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等にはお答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。各商品の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。各商品等にご投資いただく際には商品毎に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。又、各商品等には価格の変動等による損失を生じる恐れがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、当該商品等の契約締結前交付書面、目論見書、お客様向け資料等をよくお読みになり内容について十分にご理解ください。

ソナミラ株式会社 金融商品仲介業者  関東財務局長(金仲)第 1010号