医療保険に複数加入するメリットとデメリット|検討時のよくある質問
医療保険を見直す方法には、現在の保険を解約して新しい保険に加入する方法と、現在の契約を残したまま新しい保険に加入する方法があります。加入条件を満たせば、医療保険には複数加入できます。
医療保険に複数加入するのがいいのか疑問を感じる方もいるでしょうが、医療保険の複数加入にはメリットとデメリットがあり、その答えは人によって異なります。
本記事では、医療保険に複数加入するメリットとデメリットについて解説します。複数加入を検討するときのポイントやよくある質問も紹介しますので、保険見直しの時期に自分に適した保険を選ぶことができるよう、確認していきましょう。
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医療保険に複数加入するメリット・デメリット
医療保険に複数加入することには、メリットとデメリットがあります。主なメリットとデメリットを紹介しますので、自分にとっていいことなのか判断して保険選びの判断基準にしましょう。
複数の医療保険に加入するメリット
複数の医療保険に加入する主なメリットは次の通りです。
給付金の受取金額が増える*1
メリットの1つ目は、医療保険に複数加入することで、入院給付金や手術給付金などの受取金額が増えることです。
自動車保険や火災保険などの損害保険では原則、実際の損害額以上の保険金を受け取れず、複数契約していてもメリットは大きくありません。しかし、生命保険に複数加入した場合は、支払事由に該当すればすべての保険契約から給付金などを受け取れます。
そのため、保険料が無駄にならないので安心です。また、医療保険に複数加入していると支給額も多くなるため、給付金額が実際にかかった医療費を上回るケースもあります。
*1https://hoken-mammoth.com/leads/overlapping/
https://www.hoken-chie-bukuro.net/Column/Detail/24
いざというときの保障が手厚くなる*2
メリットの2つ目は、医療保険に複数加入すると給付金の受取金額が増えるだけでなく保障範囲が広がり、いざというときの保障が手厚くなることです。
たとえば、特約のない医療保険に加入している方が先進医療特約を付加した別の保険に追加加入した場合を考えましょう。この状態で、所定の高度先進医療を受けると一時金が受け取れるようになります。
また、入院日数の短縮化により、医療保険の入院保障の対象は長期入院から短期入院にシフトしています。現在加入の医療保険が5日からの入院保障(1入院当たりの支給限度日数120日)である場合、日帰りの入院から保障のある医療保険(1入院当たりの支給限度日数60日)に追加加入することで、短期の入院から長期の入院まで幅広く対応できるようになります。
*2https://reaho.net/magazine/hokenkiso/iryouhoken-fukusuu/
https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/cancer/020.html
https://www.taiju-life.co.jp/joyful/edu/016/index.htm
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=58022?si
加入した保険会社の特典が利用できる*3
メリットの3つ目は、付帯サービスや無料サービスと呼ばれる特典を、加入した保険商品それぞれから利用できることです。特典の内容は生命保険会社によって異なります。医療や介護、健康などに関する特典などがあり、無料のサービスもあれば有料のものまで、様々あります。
具体的には、病気や介護に関する不安や疑問について専門家に無料で相談できる特典や、専門医などからセカンドオピニオンが受けられるサービス、老人ホームを紹介してもらえるサービスなどがあります。
また、保険会社によっては、健康診断や人間ドックの受診料、フィットネスクラブの費用の割引サービスなど、健康の維持・増進に役立つ特典が準備されています。
*3https://www.hokepon.com/column/column-knowhow-030/
https://www.nissay.co.jp/keiyaku/zuttomotto/heartful/care/kaigo-net/
https://www.dai-ichi-life.co.jp/contractor/medical/html/service/hotline/index_before_login.html
https://vitality.sumitomolife.co.jp/reward/
保険会社の信用リスクに備えられる*4
メリットの4つ目は、保険会社の信用リスクに備えられることです。保険会社の信用リスクとは、保険会社が経営不振に陥り債務の履行ができなくなることで、保険会社の破綻リスクと言い換えてもいいでしょう。複数の保険会社に加入すれば信用リスクも分散できます。
保険会社にとっての最大の責務は契約者に対し、加入時に約束した保険金や給付金などを支払うことで、保険会社が破綻して債務不履行になると、契約者は予定していた保険金などが受け取れなくなります。
生命保険会社すべてが加入する法人「生命保険契約者保護機構」が資金援助などをし、保険契約は一定程度が保護されますが、責任準備金が削減されたり予定利率が引き下げられたりするのが一般的です。
*4https://www.moodys.com/sites/products/ProductAttachments/MoodysJapan/1254138.pdf
https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/162.html
https://www.fsa.go.jp/ordinary/hoken_hogo/03.pdf
複数の医療保険に加入するデメリット*5
複数の医療保険に加入することはメリットがある一方、さまざまなデメリットもあります。
主なデメリットを紹介します。
一般的に最も大きなデメリットは、保険料が増えることです。加入した件数分の保険料が必要になるため、保険料の総額が大きくなりがちです。また、複数の保険の保障内容が重複することもあります。必要以上の保障を受けようとして、保険料が無駄になる可能性もあります。
また、複数の保険契約を管理するのに時間や労力を要することも考えられます。複数の保険会社に対し、一括で給付金等請求の手続きはできません。保険加入の手続きや保険金の請求手続き、受取人の変更手続きなど、加入している保険会社それぞれに関して手続きが必要です。
たとえば、入院給付金の請求では、保険会社によって提出する診断書の種類や請求書類、申請手順などが異なり、手続きが煩雑になる可能性もあります。手続きがない場合でも、契約内容の把握や保険証券の保管が負担になることもあります。
*5https://hokensmile.com/column/multiple-medical-insurance-plans/
https://hoken-all.co.jp/hoken/medical-multiple/
https://reaho.net/magazine/hokenkiso/iryouhoken-fukusuu/
複数の医療保険への加入を検討するときのポイント*6
年齢や健康状態、ライフスタイルの変化に応じて必要な保障が変化することから、医療保険も定期的な見直しが必要です。現在の契約をすべて新しい契約に見直す方法もありますが、必要な保障だけを追加して見直す方法も選択肢の一つです。
追加契約などで医療保険に複数加入するときのポイントを紹介します。
*6https://www.lifenet-seimei.co.jp/media/insurance-basics/what-is-medical-insurance/
https://www.rakuten-life.co.jp/find/illness/index.html
https://www.life8739.co.jp/lp/iryo002?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=general&utm_content=iryou_broadkw_iryo002&gad_source=1&gclid=Cj0KCQiAyKurBhD5ARIsALamXaGNJWLDaIEZd1_c9uVbPJ05aUnc_l-OWB_wvGatMpRNNFm2GoSl9esaAgY2EALw_wcB
複数加入する目的や必要性を整理する
必要な保障を正しく把握し、適切な保険を選択するのは簡単ではありませんが、複数の契約を組み合わせることで過不足なく保障を準備することが可能です。ただし何のために複数の保険に加入するのか、どんな保障が必要なのかを事前に整理してから、具体的なプランを検討することが重要です。
複数の保険に加入する目的、必要性が整理できれば、次の通り検討すべき事項が明確になります。
- 現在の契約は定期タイプで満期があるから一生涯の保障が欲しい→終身タイプの医療保険を検討
- がんや女性特有の病気、先進医療に備える保障を手厚くしたい→がん保険や女性保険を検討
- 治療期間が長い生活習慣病などの保障を手厚くしたい→三大疾病、八大疾病に対し保障する保険を検討
三大疾病とはがんと心疾患、脳血管疾患のことで、八大疾病は三大疾病に糖尿病や高血圧性疾患、肝疾患、腎疾患、すい疾患を加えた8つの病気です。要件に該当すれば一時金で支払われる三大疾病保険や八大疾病保険に加入するほか、医療保険で生活習慣病に対する特約を付加する方法もあります。
複数加入するメリット・デメリットを比較する
2つ目のポイントは、複数加入するメリットとデメリットをきちんと比較して自分に適した保険を選択することです。
前述の通り、複数加入する主なメリットは、給付金の受取金額が増えることと保障範囲が広がることなどです。一方、デメリットは、保険料が増えることと必要以上の保障に加入して保険料が無駄になることなどです。
自分が必要とする保障を確保しながら、家計に支障がないように保険料を抑えることが大切です。保障内容を充実させることも重要ですが、保険料とのバランスに注意しましょう。
必要な保障を確保するために、保障期間や退院後の通院保障、1入院当たりの支払限度日数、通算の支払限度日数・回数、お金のかかる治療に対する入院給付金や手術給付金の上乗せなどをチェックしましょう。
医療保険の複数加入に関するよくある質問
医療保険の複数加入に関するよくある質問をQ&A形式で解説します。社会保険を含めた基本的な内容ですが、医療保険を検討する際に必要な知識であるため確認しておきましょう。
Q.医療保険の複数加入に関する規制はありますか?*7
医療保険の加入件数に、上限はありません。保険の支払事由が発生した場合、複数の医療保険それぞれから給付金などが支払われます。
同じ保障内容の保険でも複数加入は可能です。加入中の保険と基本的に同じ内容で給付金額だけを倍増させたい場合は、同じ内容の保険に追加加入するといいでしょう。
*7https://hoken-room.jp/medical/12282
https://hoken-mammoth.com/leads/overlapping/
Q.複数の医療保険に加入していても給付金を受け取れないケースはありますか?*8
それぞれの医療保険の支給要件に該当しない場合は、給付金は受け取れません。美容整形など支給要件に該当しない病気で入院や手術をするケースや、5日以上の入院が対象の医療保険で入院日数が4日以内のケースなどです。
また、次に該当する場合も給付金が受け取れないのが一般的です。
- 告知義務違反で契約解除をされた場合
- 故意または重大な過失によって保険金支払事由が発生した場合
- 犯罪行為によって保険金支払事由が発生した場合
- 無免許運転や飲酒運転などで生じた事故によって保険金支払事由が発生した場合
など
*8https://www.jili.or.jp/knows_learns/q_a/life_insurance/165.html
Q.複数の保険に加入していても高額療養費制度は利用できますか?*9
高額療養費制度とは、1か月(1日から月末まで)に窓口で支払った医療費が、自己負担限度額(金額は所得によって異なる)を超えた場合、超過分が後日払い戻される制度のことです。
高額療養費が利用できるかどうかは、実際に支払った医療費と自己負担限度額によって決まるため、生命保険の給付の有無は関係ありません。つまり、複数の保険に加入していても、高額療養費制度は利用できます。
*9https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/
Q.生命保険料控除は複数の保険に加入していても適用されますか?*10
生命保険料控除は、複数の保険に加入していても適用されます。ただし、控除額には上限があり、保険料の合計金額が一定額を超えると控除額は頭打ちになります。
生命保険料控除額を計算するときの注意点は、加入年度によって計算方法が異なることです。平成23年12月31日以前に契約を結んだ保険契約を「旧契約」、平成24年1月1日以降の保険契約を「新契約」と呼び、控除額の計算方法が異なってきます。
生命保険料控除によって、所得税や住民税を計算するときの課税所得金額を減らせるため、会社員は年末調整、自営業の人などは確定申告で控除申告することで税額を抑えられます。
*10https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm
医療保険の複数加入は保障見直しの選択肢の1つ
医療保険に複数加入することは可能で、支払事由に該当すれば各保険契約から給付金などを受け取れます。医療保険に複数加入すると、給付金が増えたり保障範囲が広がったりするなどのメリットがある一方、保険料が高くなる、保障内容が重複して無駄な保険料を支払う可能性がある、といったデメリットもあります。
保障を見直すために現在の契約を解約するなどして、新しい医療保険に加入し必要な保障を準備する方法もあるので、複数加入は選択肢の1つであるということを覚えておくことが大切です。両方のメリット・デメリットを比較検討して自分に適した方法で保障を見直しましょう。
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