ライフデザイン

【2030年問題】ゲノム編集食材は「食の未来?」。遺伝子組み換えとの違いは?

目次

ゲノム編集食材という言葉をご存じでしょうか。
ゲノム編集食材とは、生物の特定の遺伝子を変化させる技術により品種改良された食品であり、遺伝子操作を行った食品という点では遺伝子組み換え技術応用食品(遺伝子組み換え食品)と類似しています。

このゲノム編集食材が、今後の食糧難を乗り超える切り札となることが期待されています。つまり「食の未来」を支える希望でもあるのです。
この記事では、ゲノム編集食材について解説していきます。

そして、「食の未来」を考えると同時に、投資において個人として取り得る選択には、どのようなものがあるのかを考えていきます。

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既に実用化されているゲノム編集食材

ゲノム編集食材の数々


ゲノムという言葉から連想すると、まだ手にすることのできない未来的な食材をイメージする人がいるかもしれません。しかし、実は既にゲノム編集食材は商品化されています。
それが「マッチョな真鯛」「成長倍速トラフグ」「高GABAトマト」です。
順番にどのような特徴があるのかを説明していきます。

マッチョな真鯛(筋量をアップさせた真鯛)

和歌山県白浜町、近畿大学の水産研究所ではゲノム編集を使った真鯛の養殖研究が進んでいます。この真鯛は京都大と近畿大が共同で開発しました。
受精卵の段階で、筋肉細胞の成長を抑える働きがある「ミオスタチン」の遺伝子の一部をゲノム編集技術で壊します。
その結果、真鯛は筋肉の成長を抑制することができなくなり、肉厚で食べられる部分が2割増えることになります。

この真鯛の販売を手掛ける、リージョナルフィッシュ株式会社のホームページには、「養殖環境の効率化と組み合わせて高成長・可食部増量特性を持ったゲノム編集魚を導入することにより、単位面積あたりの収益性を約4倍に引き上げ、養殖業を高収益事業へと進化させたい」と記載されています。
天然真鯛の漁獲量を4倍にすることは難しいことですが、この技術があれば結果的に同じ効果を期待できるということです。

尚、FAOの調査によると、2030年には人口増によりタンパク質の需要が供給を上回り、2050年には現在の約2倍のタンパク質が必要とされています。
このような世界的な食料不足の中で、マッチョな真鯛は良質なタンパク質を供給するための一つの施策として注目を浴びているのです。

FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations)とは国際連合食糧農業機関のことで、飢餓と闘うための国際的な取り組みを主導する国連の専門機関です。

成長倍速トラフグ(2倍の成長速度を持つトラフグ)

マッチョな真鯛と同じく、リージョナルフィッシュ株式会社が提供しているのは、食欲を抑えるホルモンのレプチンをゲノム編集で働かなくした「高成長トラフグ」です。
成長遺伝子を切断されたトラフグは成長速度が2倍になっています。したがって、食品提供スピードも約2倍になると言えます。

京都の宮津市では、このゲノム編集されたトラフグをふるさと納税の返礼品に採用しています。地域ならではの地魚の生産活動を活発化させる効果もあると期待されています。
また、回転ずしのスシローは、プラチナバイオ株式会社、リージョナルフィッシュ株式会社と3社で、ゲノム編集を使った魚類の品種改良にかかわる共同研究を開始することを発表しています。

水産資源を安定確保することが狙いと見られており、生産から消費までシームレスでつながる取り組みが進みそうです。

高GABAトマト(4倍以上のGABAを含有するトマト)

筑波大学発のベンチャー企業であるサナテックシード株式会社は、ゲノム編集技術で開発したトマトを販売しています。
このトマトのGABA含量は元品種のなんと4~5倍を誇ります。
GABAはアミノ酸の一種(gamma-aminobutyric-acid)で「ギャバ」と呼ばれ、脳の興奮を鎮めて緊張やストレスなどをやわらげる働きがあると言われています。また、GABAには、睡眠の質を高め、血圧を下げることが報告されています。

ストレス社会と呼ばれる現代において、一般の食卓に並ぶサラダの中に、このようなスーパー食材があれば、体と心の健康を維持する上でも大きな役割を果たしそうです。

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ゲノム編集とは?遺伝子組み換えとの違い

ゲノム編集食材と遺伝子組み換え食材との違い


それでは改めてゲノム編集と遺伝子組み換えの違いに迫っていきましょう。

ゲノム編集食材

ゲノム編集は2020年にノーベル化学賞を受賞した「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれる手法をもとに近年急速に研究開発が進められてきました。
ゲノム編集食材は、この手法を用いて、元の生物の遺伝子を切断し、切断された遺伝子が修復される際に起こる突然変異を利用して品種改良を行うものです。

突然変異とは、生物細胞のDNAが紫外線などによって自然に切断され、修復する際に元とは違う並び方になるときに起こります。
これまで私たちが行ってきた品種改良の歴史は、以下のとおりです。

  1. 自然界で起きた突然変異により性質が変化したものを選抜する
  2. 異なる品種を掛け合わせ交配させて育種する
  3. 放射線の照射や薬品処理等による人為的な突然変異を起こす
  4. 別の生物から目的とする遺伝子を導入する遺伝子組み換えを利用する
  5. ゲノム編集による変異

品種改良の歴史


ゲノム編集による変化は、長い時間をかければ、自然界でも起こりうる突然変異であり、それを意図的に発現させる技術です。
遺伝子組み換えと異なり、安全性審査や表示の義務はなく、最終的に外来遺伝子は新品種に残りません。また、ゲノム編集の痕跡を検出できる検査法自体も確立されていません。

簡単に言えば、ゲノム編集は「遺伝子の設計図を書き換えるのではなく、狙った遺伝子を切断することで簡単に特徴を強化できる」技術と言えるでしょう。

遺伝子組み換え食材

一方、遺伝子組換え技術は、元の生物には存在しない外来の遺伝子を組込みます。
したがって、組込んだ外来遺伝子が新品種に残り、自然界で行われる交配では発現しない事象を生み出します。
このような背景から、安全性における審査や表示が義務付けられ、遺伝子組み換えの検査法が厚生労働省や消費者庁から公定法として通知されています。

ゲノム編集食材は個人の生活にどうかかわる?

投資する人


ゲノム編集食材が既に購入できる現実を知って、皆さんはどう思いましたか?
消費者として、ゲノム編集食材を受け入れるかどうかという倫理面は、今後も議論になっていきそうです。
他方、この革命的な技術から、私たちは何を見出して、どのように行動をすべきなのでしょうか。投資や運用に活かすことはできないのでしょうか。

ゲノム関連企業へ投資する

世界的に見れば、食糧難の課題はこれからも大きくなっていくことが予想されます。
ゲノム編集食材が多くの人々に受け入れられれば、この食糧難を解決する救世主となるかもしれません。
実際、人々に受け入れられる下地は出来つつあります。

厚生労働省では「ゲノム編集食品が従来の品種改良と変わりがないと判断した場合は、届出のみで流通販売が可能」と判断しており、食の安全性から考えても、今後の流通の可能性は非常に高いと思われます。
もし、このような最新の技術を活用した企業が今後伸びると考えるならば、ゲノム関連企業に投資できるファンドを探しても良いかもしれません。

食料不足に備え、外貨を保有する

ゲノム編集食材が広く普及していくのであれば、逆にゲノム編集されていない天然食材の値段が高騰することも予測されます。

特に日本では、多くの食材を輸入に頼っているため、輸入物価が高騰すると食生活へ影響する可能性があります。
そして、輸入物価が高騰する直接的な原因のひとつとして、円安が挙げられることは誰もが知るところです。
外貨を保有することで、将来の生活を防衛することも、投資を通じた対策ではないでしょうか。

将来の生活に備えよう

スーパーで食材を選ぶカップル


ここまでの話の中で、ゲノム編集食品と遺伝子組み換え食品は全く異なるものだということがわかりました。
ゲノム編集という、未知の名称を聞いて抵抗感を持つ人がいるかもしれませんが、安全性から見ても、これから普及していく技術だということが理解できます。

消費者として、どのような商品を選択するかというときに、正しい知識を持っていることは重要なことです。
また、今後の「食の未来」に対して、ゲノム編集食材が解決策になり得ると考えたとき、投資判断にも影響するトピックスだと思われます。

普及が進むゲノム関連企業への投資を考えるというのも選択肢の一つです。他方、将来の生活を守るために、外貨を持つことも有効な選択肢と言えるでしょう。
この転機は捉え方によって「どのような投資や運用を行うのか」にも影響するのです。

私たちソナミラでは、最適なライフプラン設計の支援や金融商品のご提供をしています。今後の時代の流れを予測しながら、投資や運用のお話ができると良いと考えています。
このようなお話にご興味があれば、ソナミラのコンシェルジュへオンラインで相談してみてください。

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▼参考
神奈川県衛生研究所「『ゲノム編集食品』ってなに?『遺伝子組換え食品』とはどう違うの?」
『ゲノム編集食品』ってなに?『遺伝子組換え食品』とはどう違うの?/衛研ニュースNo.218|神奈川県衛生研究所 (pref.kanagawa.jp)
農林水産技術会議(農林水産省設置法による、国家行政組織法上の「特別の機関」)
ゲノム編集~新しい育種技術~:農林水産技術会議 (maff.go.jp)
リージョナリーフィッシュ株式会社
リージョナルフィッシュ株式会社|いま地球に、いま人類に、必要な魚を。 (regional.fish)
サナテックシード株式会社
https://sanatech-seed.com/ja/

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