なぜNISAの手数料は無料?投資信託にかかる費用
投資をする際には、さまざまな場面で手数料が発生します。しかし、新しいNISAでは、ネット証券をはじめ手数料が無料となっているところがあります。
投資をする側にとって手数料を抑えられる点はメリットです。しかし、投資に関するすべての手数料が無料ではありません。どのような場面で手数料が発生するのか確認しましょう。
こちらの記事では、NISAで手数料が無料になっている理由や、手数料が発生するケースなどを解説します。
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NISAの手数料が無料なのはなぜ?
NISAの手数料は、金融機関ごとに異なりますが、NISA口座は、銀行や証券会社をはじめとした金融機関で開設可能です。
近年は顧客を獲得するために手数料の値下げ競争が起こっており、手数料を無料化している金融機関も存在します。まずは、NISAの手数料が無料となっている理由から解説します。
NISAの手数料が無料な理由
NISAの口座を開設するにあたって、口座開設手数料や口座管理手数料はかかりません。
NISAは個人が小さい金額でも投資し、資産の形成を支援するために導入された制度です。資産運用を始める心理的・経済的ハードルを下げるために、開始にあたって手数料が発生しない仕組みとなっています。
また、2024年から始まった新しいNISAには、旧制度のつみたてNISAを継承した「つみたて投資枠」があります。つみたて投資枠の対象は、購入時手数料が無料の「ノーロード」の投資信託(投信やファンドとも呼ばれます)なので、購入時に手数料が発生しません。
「つみたて投資枠」とは別に設けられた「成長投資枠」ではノーロード商品だけでなく、国内株式や米国株式をはじめとした外国株式などの金融商品を対象にしています。ノーロードの投資信託以外を購入する際には、金融機関によっては、購入時手数料をはじめとした手数料が発生する可能性があるため、事前に確認しましょう。
【出典】
政府広報オンライン「NISAの日」
https://www.gov-online.go.jp/data_room/calendar/202402/event-2349.html
一般社団法人投資信託協会「旧NISA(つみたてNISA)ってなあに?-概要としくみ-」
https://www.toushin.or.jp/nisa_contents/tsumitatenisa/index.html
手数料無料に関わるNISA設立の背景
NISAは、イギリスの資産運用を後押しする制度であるISA(個人貯蓄口座)※をモデルにした制度です。日本でも日本版のISAとして、NISA制度が2014年から始まりました。
※「Individual Savings Account」の略
NISAは「少額投資非課税制度」のことで、成長資金の供給拡大を促しつつ、家計の安定的な資産形成を目指しています。一定額の投資に対する利益を非課税にすることで、政府としては投資を促進する狙いがあります。
つまり、NISAは個人の資産形成だけでなく、家計の金融資産を活用して国の経済成長へとつなげる目的があると考えられます。
値上がり益や配当金、分配金が非課税になるNISAですが、以下に該当するケースでは非課税にはなりません。
- 非課税限度額を超えて投資した場合
- NISA口座から課税口座(特定口座か一般口座)に移した場合
- 配当金の受け取りを「株式数比例配分方式」以外にしている場合
NISAの非課税投資限度額は、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円です。また、NISAにおける生涯の非課税投資額は1,800万円となっています。年間投資上限額と制度全体の上限額を超えた分はNISA口座以外で扱うことになりますが、特定口座、一般口座で投資した分の利益に関しては非課税とはなりません。
たとえば2023年以前の旧制度のNISAでは非課税保有期間が決まっており、非課税保有期間の終了に伴い、資産を課税口座に移す必要がありました。課税口座に移したあとの配当金や分配金、課税口座に移したときよりも高い価額で売却した場合の利益部分に対して20.315%の税金が課されます。
さらに、配当金の受け取りを株式数比例配分方式以外にしている場合、配当金は課税の対象となります。配当金の受け取り方法は、株式数比例配分方式以外に「配当金領収証方式」「登録配当金受領口座方式」「個別銘柄指定方式」があります。これからNISAで証券口座を開設する方は、株式数比例配分方式を選択するとよいでしょう。
【出典】
金融庁「新しいNISA」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html
国税庁「NISA及びつみたてNISA手続に関するQ&A」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/nisa_qa01.pdf p.5
NISAにおいて発生する手数料はある?
NISAの口座開設手数料や口座管理手数料は無料ですが、投資信託やETFなどの投資商品を購入する際には手数料がかかるケースがあります。
まったく手数料を負担することなく投資できるわけではない点に留意しましょう。手数料は、金融商品や金融機関によって異なります。
できるだけ手数料を抑えて投資したいのであれば、手数料が安い金融商品と金融機関を選択しましょう。
投資信託でかかる主な手数料(費用)
投資信託は、購入するとき、保有しているとき、売却するときに手数料が発生します。手数料は投資をする側からすると軽視できない額であり、できるだけ抑えるに越したことはありません。
以下で、具体的な手数料の種類や、発生するタイミングについて解説します。
販売手数料
投資信託の販売手数料(売買手数料)とは、購入時や売却時に発生する手数料です。投資信託の中でも「ノーロード」と呼ばれる商品に関しては、購入時の販売手数料はかかりません。
販売手数料は「売買額の〇%」という形で設定されているケースが一般的です。たとえば、販売手数料が3%の投資信託を100万円分購入した場合、3万円の販売手数料を支払わなくてはなりません。
金融機関によって販売手数料は異なるため、口座開設前に複数の金融機関を比較検討しましょう。
【出典】
一般社団法人投資真楽教会「投資信託のコスト」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/costtax/index.html
信託報酬
信託報酬とは、投資信託の管理や運営にかかる費用です。投資信託を保有している間に発生し続ける手数料で、「年率〇%」のように設定されています。
たとえば、年率1%の投資信託を100万円購入した場合、1年間で1万円の信託報酬が発生します。なお、信託報酬の年率は投資信託の種類によって異なります。実際に購入する前に、目論見書を通じて信託報酬の年率を確認しましょう。
【出典】
一般社団法人投資信託協会「投資信託のコスト」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/costtax/index.html
信託財産留保額
信託財産留保額とは、投資信託を解約換金する際に支払う手数料です。「売却代金の〇%」という形で設定されているのが一般的です。
信託財産留保額には、投資信託を中途解約するときの諸費用を負担する意味合いがあります。投資信託を運用する安定性を高め、長期投資している人との公平性を確保するために換金代金から差し引かれます。信託財産留保額が無料の商品もあるため、購入前に確認しましょう。
【出典】
一般社団法人投資真楽教会「投資信託のコスト」
https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/costtax/index.html
NISAの手数料に関するよくある質問
NISAの手数料に関して、実際に投資をしている人や投資を始めようとしている人から寄せられる疑問にお答えします。
NISAとは?
NISAとは、2014年1月にスタートしたもので「少額投資非課税制度」と呼ばれます。家庭の安定的な資産形成の支援と成長資金の供給を目的に導入されました。
通常であれば、投資で得られた利益に対しては20.315%の税金が課されます。しかし、NISA口座を利用すれば売却益や配当金、分配金などの利益に対して課税されません。
2024年1月に制度が改正され、年間非課税枠の拡大や非課税期間の無期限化が行われました。
NISA口座の開設時に費用はかかる?
NISAの口座開設にあたって、費用はかかりません。初期費用をかけずにNISA口座を開設できます。
なお、すべての金融機関を通じてNISA口座は1人1口座のみ開設できます。複数の金融機関でNISA口座は開設できません。
NISA口座の維持に手数料はかかる?
NISA口座を維持する際に手数料はかかりません。NISA口座を取り扱うすべての金融機関で、維持管理費用(口座管理手数料)は無料となっているため、口座を保有しているだけでコストが発生することはありません。
NISA口座を開設する金融機関の選び方は?
多くの金融機関がNISAに対応していますが、取扱商品数や取引にかかる手数料などを考慮して選ぶと良いでしょう。
自分の投資方針やリスク許容度に応じた投資をするためにも、多くの商品を取り扱っているか確認することが大事です。また、金融機関ごとに手数料の有無や金額が異なるため、あわせて確認しましょう。
手数料無料でNISA口座を開設して投資を始めよう
NISAは口座開設手数料や口座維持手数料が無料です。コスト負担を抑えて投資でき、投資をする人にとって好ましい制度といえるでしょう。
NISAは、国民の資産形成を後押しするための税制優遇制度です。投資を始めようか検討している方には、自分に合った金融機関を探すことをおすすめします。
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